先週、肺炎完治と診断を受けてから一週間が過ぎました。 

この一週間で微熱は1日だけに、でもなかなか元のようにはいかないままですが・・・。

まだ空咳と胸部痛(違和感)、そして息切れと倦怠感が残っていて、怖いのは肺の線維症です。(コロナ肺炎後遺症の一つ、罹ったら治癒しないそうな・・・滝汗

肺炎になってもみんながみんな、線維症になるわけではないので、そろそろ心配の期間は過ぎたかしらと思ってますが、

無理をすると(先日も夕食を作って寝込んでしまった)落ち着くまでに数日かかるのもあって、もうしばらくは気を付けないとって思っています。

大丈夫とは思ってますが、なにせ20%に入ってしまったので・・・。

 

 

では、入院当日、前半の話です。

 

8日目(9月3日)の朝、目覚めた私はだるさで動けなくなっていました。

横たわったままの体温測定は微熱、酸素の数値は95と微妙なライン。

8時に掛かってきた数値報告の電話に、動けないので、朝食は不要と告げたんです。

その時に、「酸素の数値が下がって来てますね」と言われたので、

「じっとして95まで上がるのを確認していますが、94とか93の時もあります。」と、伝えました。

 

これまではじっとしていて測った数値が正確なんだと思っていたけど、体調が悪い時はもっと数値が低い。

 

ただ早くここを出たい私には、悪化?と思える報告だけは、本当なら避けたかったの。

だけど、さすがにこの体のだるさは尋常じゃない、

そう思っての、やっとの表現だったのに、返ってきたのが、

「対面して確認しないといけないので降りて来てください。」
(は?)

「9時まででいいので。」

(だから、しんどくて・・・)

言葉にする事ができなかった。

 

これまでたくさんのコロナ患者を見てきた人が言うんだから、

私の今の状況は、それほど心配する必要はないのかも・・・

そう考えることにしましたが、

8時のこの電話から、30分は動けませんでした。

 

そしてエレベーターのボタンを押してはしゃがみ、乗ってはしゃがみと、何度もしゃがみこみながら、なんとか一階まで降りていきました。

息は乱れ、到着して椅子に座った身体はまっすぐに起こしていられない。

 

それでも装置を指に挟んで数字を見せる。
「指、変えてみてください。」

言われるままに隣の指に挟み直す。
 

「下がってますね。」

いや下がってるレベルじゃないはずだ。

ちょっと動いただけで、80代まで下がるのはすでに確認済だし、呼吸数は100を軽く超えているはずだ。

 

「ドクターとオンライン結びますので、いったん気を付けて部屋に戻ってください。」

 

ほんの数分のやり取りだけで、戻れと言われた私は、朝食配布時間だったのですが、朝食を手にすることなく部屋に戻り、そのままベッドに倒れ込みました。


その一時間後、電話がなって、

3階のオンラインルームに行くようにとの指示。

やっとさっきの状態から落ち着いて来たのに、また動けと?

そう思いながらも、それでもドクターだからと、

なんとかオンラインルームに向かいました。

 

ただ、その部屋に到着してから、

到着した事を知らせる電話番号が書かれた紙を持ってこなかった事に気がつきました。

前回は頭も働いて持ってきた紙(最初にもらった書類)、

だけどもう一度部屋に取りに戻る力はない。

(正直、せめて番号くらいこの部屋に用意しておけないのかと思いましたね。

 ドクターとオンラインという事は病状が悪くなってるからなんだし、連絡先一覧くらいは置いてあってもいいはずじゃないかとね。)

 

私は頭の中にうっすらと残る番号に電話しました。

運良く正解で、モニター前で待つよう言われて、数歩移動。

椅子に座ってドクターのオンラインが開くのを待つ。

 

ここに来て二度目のドクターとの面談だが、前回とは違う人だという事を確認するのが精一杯で、

この部屋に来る事だけでもだが、電話を掛けるという動きでさえ重労働で、もう顔を上げている力はなかった。

 

額に手をやり頭を支えて、なんとかさっきと同じように指の機械を見せる。

 

この時、頭の中ではここで倒れたらここから逃げ出せるだろうかなんて事を考えていた。

 

「ここまで今来たところ? 頭を上げられない?」

 

ドクターの質問になんとか頷く。
それでも倒れるなんて芝居はできるはずはなく、

ただ助けて、助けてと頭の中で願うのが関の山の私。

 

「入院しましょう。 すぐに入院先を探します。」

 

思わず顔が上がる、救いの神は降りたもうた。

「よく聞いてください、ここからもどったらまず休息を取ってください。
それから荷造りをする。残った物は燃やされるので、すべて鞄に詰めて・・・」

私は何度となく頷いていた。

 

部屋に戻るエレベーターの中で、しゃがみ込みながら荷造りについて頭を巡らす。
そして、部屋のドアを開けるのと同時に、帰るとき用にとドアの横に掛けておいたワンピースに手を伸ばした。

 

それからベッドまでの僅かな距離の間で、掴めるものを手にしてベッドに倒れ込む。

(ゆっくり横たわるのではなく、ドサッとダイブする感じ。)

荷物の量は多くない、普通の状態なら10分と掛からずに荷造りできる。

だけど今は10分も動く事はできない。

私は身体を横たえたまま、片付ける順番を決めることにした。


そして一つ鞄に詰めたら休むを繰り返して、一時間以上かけて荷造りをした。


すべてを終え、救急車を待つ。

この時の私は、もう少しすればドアが開けられ、救急隊員が入ってくる、と信じていたのだ。 

だけど、甘かった。

 

電話が鳴る、何で?と思いながら出ると後30分もすれば救急車が着くとの事。

 

「荷造りは済んでますか? 測定装置とカードキーは1階ロビーにて消毒を済ませて返却してください。」

 

正直、耳を疑った。

私、救急車を待つ患者だよね、と思ったが、出てきた言葉は、「今からですか?」だった。

 

もう少し近づいたら、もう一度知らせますと言われ、

私はドアを開いて入って来る救いの天使(救急隊員)は諦めた。

 

自力で出て行くしかない。
二度目の電話を受け、荷物を持って降りる。

だけどそれは本当に容易ではなかった。

 

ただ1階に降りるだけでも大変だったのに、

1週間分の荷物を持ち上げて歩かなければならない。

人間の体は、筋肉に力を加えればそれだけ酸素を消費するので、1階に着いた時には、このまま倒れ込みそうな状態となっていた。

 

それでも、電話で指示されたように装置を消毒し、受付の窓口をノックする。 装置は置かれている缶に入れ、カードキーを台に置く。

 

「ああ、救急車の・・・まだ到着していないので、一番端に座って待ってください。」

 

言われた一番端は、椅子4つほど向こうに行ってという事、

その椅子に座って、テーブルに頭を伏せてぼんやりと思う。

 

返却は済ませたけど、ちゃんと消毒できてるとは思えないなと。

呼吸は乱れてるし、指は震えていて、

丁寧に拭くなんて、注意を払う気力もなかったからだ。

(仕返しではないが、いいのだろうかとは救急車を待つ間、本当にずっと思っていた。)

 

待つこと10分くらいだったと思うけれど、私には一時間にも感じて、やっと「救急車が到着したので、外に出てください。」と言われた時は、外に出られると思ったほどでした。

 

重い鞄と重い足、重い身体を引き摺るようにして、一人で外に向かう。

(このホテルに着いた時、こっちでいいのかと思いながら入って行った部屋や通路)

ビニールシートで覆われたその通路となった通りを越えると、

救急車が見えた。

 

私は荷物を床におろして救急隊員に訊く。

 

「しゃがんでいいですか?」

 

もう対応する力など残っていなかった。

 

だけど相手は、救急隊員だ。

これまでのように距離を置かれる事はなく、指にまた例の装置が取り付けられると、医療ドラマなんかでよく見る鼻にチューブ(カニューレ)がつけられた。

 

 

「とりあえず2で流します。」

意味は分からなかったのですが、

呼吸が少しらくになって、

私は生還できるのだと思ったのでした。

 

人間の身体は多少食べなくてもなんとかなりますが、

酸素が取り込めないと、ホントにこんなに苦しいのだと、思いました。

この時には、もしかして肺炎?という文字が頭に浮かんでいましたが、深く考えないようにしていたような気がします。

だから病院に着けば、すぐに良くなるとどこかで思っていたし、

生還も、実際にこの時に頭に浮かんでいた文字で、

やっとこのホテルから脱出できたとも思っていました。

 

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念の為、書きますが、いろいろ思うところはあっても、

隔離ホテルで頑張っている方たちは、毎日コロナと向かい合うわけで、この徹底的な線引きは仕方ないと思うのですよ。

 

だけど、それと並行して急速に悪化する人もいるわけで、

隔離施設や自宅で亡くなった方の中には、数値では判断できない病の進行があったのだと思います。

 

体温にしろ、血中酸素量にしろ、数値は基準に過ぎず、

本人を見なければ分からない。

だけどコロナ患者との接触は避けたいのも事実。

 

私はコロナ発症者数ピーク時の発症で保健所の手が回らない時だったのかもしれない。

でもこの後病院で病状説明を受けた時は、文句の一つも口にしたくなったのも事実で、そう言った思いをここに吐露していますが、誰かや何かを責めたいわけではないです。