本牧徒然雑記。「世界名言集」(岩波文庫編集部編)。
5月の読書は不十分でした。今週も一冊も読んでいないので書く材料がありません。
苦肉策で、こんな時の為にかねて用意していた原稿を「雑記」として掲載します。
岩波文庫の別冊として1984~87年に「言葉の花束」4冊の刊行がありました。
本書(画像)はそれらを再編して一冊としたもの。2002年初版・20年第19刷版です。
519ページの中から短いものだけを抜粋した中のごく一部を転記します。
*だまっている奴は物騒だ。騒ぎ立てる奴はそうでもない。・ラ・フォンテーヌ「寓話」。
*悪魔でも聖書を引くことができる。身勝手な目的にな。・シェークスピア「ヴェニスの商人」
*君、時と言うものは、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだよ。
・同、「お気に召すまま」。
*われわれも、間違った原因に心を乱されているときに正しい弁護や言い訳をもってこられると、真理と無実に対してさえ怒ることがいくらもある。・モンテーニュ「エセー」。
*「今日もわれらに日々のパンをあたえたまえ、のあと、おまえは、なんて言ったの?」ー「おかあさん、おこらないでね!」と、小さい女の子は言いました。「あたしね、こうお祈りしたのよ。そして、パンの上にたくさんバタをつけてくださいましって!」・アンデルセン「絵のない絵本」。
*すべてを疑うか、すべてを信ずるかは、二つとも都合のよい解決法である。どちらでも我々は反省しないですむからである。・ポアンカレ「科学と仮説」。
*すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する。・アリストテレス「形而上学」。
*死に至る病(やまい)とは絶望のことである。・キュルケゴール「死に至る病」。
*嫉妬をする人はわけがあるから疑うんじゃないんです、疑い深いから疑うんです。
・シェークスピア「オセロウ」。
*記憶はわれわれの選ぶものを見せてくれずに、自分の好きな ものを見せてくれる。
・モンテーニュ「エセー」。
*生は貪(むさぼ)るべく、死は畏るべし。・「万葉集」。
*あるいは自由は不自由の際に生ずというも可なり。・福沢諭吉「文明論之概略」。
*新しいご馳走の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである。
・ブリアーサヴァラン「美味礼讃」。
*沈黙しているとき私は充実を覚える。口を開こうとするとたちまち空虚を感じる。
・魯迅「野草」。
*不思議なものは数あるうちに、人間以上の不思議はない。ソポクレス「アンティゴネー」。
*世間を欺(だま)すには世間並みの顔をしておいでにならなくては。
・シェークスピア「マクベス」。
*人生は短く金はすくない。・ブレヒト「三文オペラ」。
*幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。
トルストイ「アンナ・カレーニナ」。
*わたしたちは、いわば、二回この世に生まれる。一回目は存在するために、二回目は生きるために。・ルソー「エミール」。
*友たるものは、推察と沈黙の術にすぐれた者であらねばならない。
・ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」。
*財産の貧乏を治すことはやさしいが、精神の貧乏を治すことはできない。
・モンテーニュ「エセー」。
*自然はわれわれの知性にとっては限りなく驚嘆すべきことを最高度の容易さと単純さで行なっているのです。・ガリレオ・ガリレイ「天文対話」。
*心というものは、それ自身一つの独自の世界なのだ。地獄を天国に変え、天国を地獄に変えうるものなのだ。・ミルトン「失楽園」。
*僕は元来、あけっぴろげの単純な人間を信用しないことにしている。ことにやつらの話がすじみち通ってる場合はなおさらだ。・ヘミングウェイ「日はまた昇る」。
*人間は、努力をする限り、迷うものだ。・ゲーテ「ファウスト」。
*不幸のうちに初めて人は、自分が何者であるかを本当に知る。
・ツワイク「マリー・アントワネット」。
*社会はわれわれの必要から生じ、政府はわれわれの悪徳から生じた。
・トマス・ペイン「コモン・センス」。
*人間は、欲に、手足の付(つい)たる、ものぞかし。・井原西鶴「好色二代男」。
*年年歳歳 花相(はな・あい)似たり 歳歳年年 人同じからず。・劉廷芝「代悲白頭翁」。
*ニューヨークにはただでなにかを呉れる人間はひとりもいません。彼らの場合、好奇心と慈善心が背中合わせになっているんです。・オー・ヘンリー「マディソン・スクェア千一夜物語」。
*腐敗した善から立ち昇る悪臭ほど胸の悪くなるものはない。・ソロー「森の生活」。
*まず食うこと、それから道徳。ブレヒト「三文オペラ」。
*命長ければ辱(はじ)多し。・兼好法師「徒然草」。
*思考という要素を何ら含まないでは、意味をもつ経験はありえない。
・デューイ「民主主義と教育」。
*世界は偉人たちの水準で生きることはできない。・フレイザー「金枝篇」。
*秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず。・世阿弥「風姿花伝」。
*暗黒のなかでは、我々の想像力は、明るい光におけるよりもたくましくはたらくのを常とする。・カント「啓蒙とは何か」。
*自分を憐れむという贅沢がなければ、人生なんていうものは堪えられない場合がかなりあると私は思う。・ギッシング「ヘンリ・ライクロフトの私記」。
*人間の幸福というものは、時たま起るすばらしい幸運よりも、日々起って来る些細な便宜から生れるものである。・「フランクリン自伝」。
*道に迷うこともあったが、それはある人々に取っては、もともと本道というものが存在しないからのことだった。・トオマス・マン「トニオ・クレエゲル」。
以上、全部で1340言ある内の40言です。
まだ材料はたくさんあるので、また困った時に利用させて貰うつもりです。
まことに図々しい魂胆だけれど……。
読書が進まなかった理由のひとつは、自室を隣のより広い部屋に移したので、業者を頼んだとはいえ相当な時間を要したことです。まだ整理がついていませんが、不要品を廃棄したり、本は10年間位の新しいものを横浜・中(なか)図書館に寄贈、古いものは思いきって廃棄しました。
自分の日常も少々変化しだしたので、折を見て「徒然雑記」に記載します。