本牧徒然雑記「ビジネス・マナー」。
先日、1カ月間病気で歯の自己ケアが不充分であったのと、今までの歯医者が今いちであったので、新しい歯科医院を選び、初診とケアをお願いした。やや高級っぽい医院。
サロンみたいな待合室で、最初の問診票を記入するとき、説明する受付女性が膝をついて話す。僕はこれが大嫌い。隣の椅子に座って話してもらった。
以前、車の定期点検の時も、整備員が膝まずいて結果を報告するので、僕は「ホスト・クラブに来ている訳ではないので、ちゃんと椅子に座ってくれ」と言ったことがある。水商売なら分からないこともないが、普通のビジネスで本人が自発的に、この姿勢をとることは考えにくい。恐らく「ビジネス・マナー」教育のマニュアル通りの行動かと推察される。
顧客訪問時の、室内座席の順序とか、気持ちのよい振舞い・言葉遣いは当然必要だが、何か過剰なインストラクターによる指導が、蔓延しているのではないだろうか。「卑屈」を思わせる姿勢には、当然疑問と抵抗を感じる若いビジネス男女もいるに違いない。
「おもてなし」が喧伝されて久しい。
しかし、その内側にその人からにじみ出るような人格・習慣がなければ、意味の半分は失われる(偉そうなことを言える自分でないことは充分承知しています)。
僕は街中でも、トイレでハンカチで手を拭かず、あるいはハンカチを持っておらず、ハンド・ドライヤーで乾かす男性、数百円にも満たない買いもので、平気で一万円札を出す人(カード時代でも常に小銭を用意しておくのは社会人の常識)、バスを待っている間に用意せず、乗ってから発車を待たせて、カバン中をまさぐって捜す女性。彼らを見て大体その人間の人となりを想像している。彼らの何処に基本的な生活習慣や、「思いやり」があるのだろうか?形ばかりから教わるビジネス・マナーではなく、身についた生活習慣がなければ、本当のマナーは培われないと誰でも思う。
ところで、現在会社で顧客を応接室に迎え、お茶を出すとき女性社員は膝まずくのだろうか?もし相手が外国人なら、「ゲイシャ・ガール」をきっと思い浮かべるだろう。
天皇ご夫妻も、災害被災者を見舞われるとき膝を折られる。そんなTV画像も影響しているかも知れない。とにかく「上から目線」を避ける風潮。一体いつ頃から始まったのだろう。それは、例えば「じゃないですか」言葉が「断定言葉」で相手の感情を害する心配から始まったかと思われることと、共通しているようにも思われる。しかし「じゃないですか」も連発されたら、僕は相手の知性を疑う。
100%近く椅子に座る現代日本の生活の中で、「膝まずく」マナーは、少なくともビジネスや公的な場では異質。
歯の点検を受けながら、そんなことを考えていた。
画像はルソー「Woman Walking in an Exotic Forest」(部分)・バーンズ・コレクションより。
