『 オヤジバンド 』
山々に囲まれたのどかな田園風景。
青空のもと、市民会館のような建物。
ホールではライブが行われている。
中年男4人組のロックバンド。
ボーカルの男が曲の合間に語っている。
男 「・・・この4人で、高校ん時の文化祭に一回限りのライブをやりました。
熱くて、ワクワクして、もう楽しくて・・・最高でした。
それから30年、それぞれの人生を生きてきて、
想い出を今一度、自分たちの手で甦らせようと決起しました。
・・・今、感じています。まだまだいける、大丈夫だと。
何よりも、やりたいことをやって心の底から楽しめることが、
こんなにも幸せなんだと・・・つくづく想います。
本当に、すべてに「感謝」です。
ありがとう!
さあ、みんなで楽しみましょう!盛り上がっていきましょう!
次の曲は、俺たちが過ごした青い時の応援歌です。
今でも励まされている想い出の一曲です。
♪ つっぱることが男のたったひとつの勲章だって この胸に信じて生きてきた・・・♪
オヤジバンドのメンバー4人がひとつになる。
♪ 泣きたくなるようなツライ時もあるけど いつも俺たち頑張ってきた・・・♪
4人それぞれが「夢中」を楽しんでいる。
♪ ガキのころ路地裏で見た 夜空にキラめいた 流れる星を見て 誓った想いを忘れちゃいないぜ・・・♪
いつの間にか観客とひとつになっている。
♪ つっぱることが男のたったひとつの勲章だって この胸に信じて生きてきた・・・♪
オヤジバンドが弾ける。
観客も負けまいと奮い立つ。
会場全体が熱気を帯びていく・・・。
山々に囲まれた田園風景が青空に映える。
(ナレーション) 一生、青い時間。
『 我が春祭り 』
春の訪れを感じる気持ちのいい青空。
桜が開花している。
パソコンを見つめている男。
YouTube に夢中になっている。
楽しそうに・・・なつかしそうに・・・。
急にカレンダーを見つめる。
カレンダーから目を外し、ため息をつく男。
男 「無理か・・・・・」
立ち上がり窓に向かう。
青空を見上げる男。
男 「もう・・・20年以上経つのか・・・」
(回想)
満開の桜が咲き誇る広い神社の境内。
豪華絢爛、華やかな化粧屋台を大勢の男衆が担ぐ。
その中心で着物姿の若い男が指揮を執る。
若い男の一声で、男衆の力がひとつになる。
天高く差し上げられた大きな化粧屋台。
見事な光景。
必死に掛け声を出し続ける若い男。
(戻る)
青空を見つめる男のすがすがしい表情。
男 「あー、行きたいなー・・・」
ふっと微笑む。
青空には真っ白な雲がゆっくり流れ、川沿いの桜並木では人々が賑わう。
その中で、まだ蕾のまま花をつけていない桜の樹が、存在感を放っている・・・。
(ナレーション) いつか・・・ふるさとの春祭りへ
『 歩けば 道 はできる 』
青空のもと、一本の道が続く。
ひとりの男が歩いている。
ゆっくりと前へ歩みを進める。
遠くには山々が広がり、近くには川が流れる。
一歩また一歩と、歩いて行く男。
空が曇りはじめる。
男の歩みが戸惑いをみせる。
じっと真っ直ぐ先を見つめる男。
立ち尽くす。
目の前に道がない。
大きな山が立ちはだかる。
男、山を見上げる。
男 「・・・・・」
男の表情がわずかに微笑む。
一歩、前に踏み出す。
立ちはだかる山へ向かっていく。
慎重に、一歩ずつ、坂道を進む。
その男は一点の曇りもない、潔い表情。
まるで楽しんでいるかのように・・・。
前を向いて、歩く。
男、ふと何かに気づき後ろを振り返る。
驚く。
道が出来ている。
そして人々が歩いている。
笑顔で・・・。
男 「・・・・・」
その光景に見とれている男。
突然肩をポンとたたかれ振り向く。
人 「さあ、一緒に前に進みましょう。」
いつの間にか人が集まっていた。
男 「あっ、はい・・・」
男は再び前を向き、歩み出した・・・。
(ナレーション)
歩いていけば 道 ができる。 そして 人 がつながっていく。