≪今日のコペル(臨床自然運動学)先生の独り言≫

筒井重行が提唱する「臨床自然運動学」

からだ日記と自然運動と白隠の環(メビウスの輪)その15

今回紹介している絵は、「白隠の環」です。

作者は、白隠慧鶴です(江戸時代中期の禅僧)。

清洲で一枚の襦袢(じゅばん)を作ったその重さは七斤(ななきん)であったとこの環の表裏に書かれています。

表には「在青洲作一領」、裏には「布杉重七斤」と書かれています。この環は「メビウスの輪」なのです。白隠禅師はドイツの数学者のメビウスが表裏の区別ができない曲面を発表する(1858年 多面体の体積の決定について)100年前に、「白隠の環」を書いています。

白隠禅師は、なにを伝えたかったのでしょうか・・・・・・。

私はメビウスの輪は「陰陽の本質」だと考えています。

陰陽は「可分不離」、「互根互用」、「対立制約」、「陰陽転化」、「陰陽消長(変化)」です。布袋は何をあらわしているのか?

可分不離とは、陰と陽は分つべくして、離すべからず。

陰と陽は一体であり、一体の中に陰と陽を見出すことができる。

東洋医学においては、陰陽論を診断の指標として使います。

▪︎ある現象や機能が発現するときに、必ず拮抗する2つの構成関係を分析する視点。

▪︎ひとつのように見えるものの中に、「2つの方向性」や「2つの力」の因果関係を見いだす視点。

▪︎陰陽の側面をもつ機能の役割分を診断する視点。

▪︎陰陽論を臨床に持ち込むには、抽象的な現象を正しく理解するために自分自身で確立した、「人体マンダラ図」を作り上げる必要があります。

「いのちの流れとメビウスの輪」と 東洋医学

▪︎陽(熱)と陰(水)の2つの視点で有機的に体の状態を把握する。

▪︎体の現象を熱と水それぞれの不足や過剰の状態として、「寒・熱」、「燥・湿」の二つの軸で立体的に分析する。

▪︎体の寒熱、燥湿の状態は臨床症状・舌所見・皮膚所見・髪所見を診ることが有益です。

▪︎人体を層構造で診ると、中心から陰(腎・脾) 陽(肝・心・肺)と広がる球体になります。

 この層構造の中心からの流れ・巡りが「いのちの流れ」になります。この流れは多次元的です。

▪︎夜間は陰を充実させ、日中は陽を充分に解放する事が陰陽共に育てる理想的な生活様式です。

いのちの流れは、陰陽の流れ巡りが基本になり、命の原初が「腎」となります。

この腎は心の影響を強く受ける存在です。

「病は氣から」と言われる理由がわかります。