≪今日のコペル先生独り言≫
6月4日は1日中雨が降たので450ページの大作
「ディープメディスン」AIで思いやりのある医療を!
著者:エリック・トポル(Eric Topol)を読んだ。
・自然医療≪時間の智慧/ディープメディスン(深遠なる医療)≫
・現代医療≪人間の智慧/シャロウメディスン(浅薄なる医療)≫
・AI医療≪質量の智慧/ディープメディスン(深遠なる医療)≫
上記の2つのディープメディスンの違いとは?・・・・・コペル先生より
僕がこの本で特に気になったところは、
AIは医療の分野にさまざまな副産物をもたらした。そのうち特に重要なのが、時間という贈り物である。
半数以上の医師が燃え尽き症候群の状態にあり、(若い医師の四人に一人以上)があきらかに「うつ病」である。
アメリカでは毎年、300〜400人の医師が自殺している。燃え尽き症候群は医療過誤につながり、医療過誤が燃え尽きる症候群をさらに悪化させる。
患者が受ける医療の質と患者の健康状態の改善にとって、時間は不可欠である。患者と過ごす時間を増やせば、入院率が二割減る。診療時間が長いと、コミュニケーションが深まり、信頼が築かれるだけでなく、予後も
よい。AIには人間が人間的であることに不可欠な「共感」、「存在感」が必要である。それは以下の特徴をもつ。
愛し、笑い、泣き、恐れ、嘆き、喜びを感じ、話を語り、他者を奮い立たせ、感謝し、楽観し、理解し、順応性をもち、直感を働かせ、常識を備え、文化を育む、そして魂をやどす等・・・・
本書は、「ディープメディスン」というコンセプトで、AI(人工知能)と医療のありたい未来の姿を描く。
ディープメディスン(深遠なる医療)はいくつかの要素からなるが、コアとなるのは、「患者と臨床医の間の、心の底からのディープな共感とつながり」である。AIの技術により、自動化・効率化が進むことで人間の本来の役割が復権、強化されるというシナリオだ。これは、医療だけではなく、さまざまな産業においてこれから起きる変化の方向性を示唆しているといえるだろう。ひと言でいえば、AIは「時間という贈り物」を与えてくれるのだ。
とはいえ、実際にAIへという順番が応用されているのはまだ医療の一部にとどまる。対象範囲を限定すれば抜群の精度と速度を達成するアルゴリズムであるが、人の体と病気はとんでもなく複雑である。医療制度というシステムも同様だ。本書は、そうした現状を冷静に、そしてていねいに描き出す。それができるのは、著者が現役の医師であり、AIをユーザーの立場から見ているからだろう。手段と目的という分け方をすれば、常に医療という目的から論考が進められている。技術用語や歴史も過不足なくまとめられており、AIについての一般的な知識は、本書のもので十分であろう。要約では省いたが、紹介されている多くの臨床ケースも理解を促進してくれる。
加えて、本書は今日の医療の現状が包括的に記述されており、現場の息吹もリアルに伝えてくれている。読み解くのに医療の専門知識を必要とはしない。多くの読者の目に触れることを願いたい一冊である。
続きの本の内容は以下をご覧ください。