≪今日のコペル先生独り言≫

今日はこんな本を手にして読んでいる。

表紙と裏も気になるので出しておきます。

「0番目の患者」 逆説の医学史

https://huyukiitoichi.hatenadiary.jp/entry/2020/12/27/080000

著者プロフィール

リュック・ペリノ/Luc PERINO

1947年生まれ。医師、作家、エッセイスト。熱帯医学と疫学で学位を獲得。アフリカ、中国、フランス農村地帯で長年、臨床経験を積んだ。リヨン大学医学部で医学史や疫学などを教える傍ら、医学や生物学の知識を一般向けに噛み砕いて伝えるために小説を含む著作に励んでいる。培った知識や経験に基づき、現代の医療システムおよび医療関連市場の歪みや逸脱を、ユーモアを交えて指摘、批判している。

病気を感じる人たちがいるから医学があるわけで、医者がいるから人びとが彼らから自分の病気を教えてもらうのではない。

――ジョルジュ・カンギレム『正常と病理』より

■内容

これまでの医学史は、患者をないがしろにしたまま、医師の手柄話、治療法や試行錯誤の過程など、もっぱら医師たちに焦点を当てつづけてきた。

しかし、医学者だけが英雄なのか?当前のことだが、患者なくして医学の発展はなかった。

野戦病院や臨床の現場、検査室、診察室で自らの身体や傷口を辛抱強くさらしてきた者たちこそが、医学の歴史に大きな貢献をしてきたのだ。

隔離されたチフスのメアリー、上流階級の見世物にされた女性ヒステリー患者、ある仮説のために女として育てられたデイヴィッド、死してなお自らの細胞を研究されつづけたヘンリエッタ……

本書では、輝かしい歴史の裏側に埋もれた、病者たちの犠牲と貢献にスポットを当てていく。

コロナ後の世界において、最初に感染した者たちへのバッシングは絶えない。

しかし、犯人捜しにも魔女狩りにも意味はない。

Covid-19の感染拡大を受けたロックダウン宣言の直前にフランスで出版されたこの本に登場する患者たちの物語が、私たちにそのことを教えてくれるだろう。

■「Patients Zero」とは?

感染症学では、集団内で初めて特定の感染症にかかったと見なされる患者のことを「インデックス・ケース」または「ゼロ号患者(ペイシェント・ゼロ)」と呼ぶ。微生物やウイルスの研究が進み、詳しいことがわかるようになるにつれ、ときに最初の感染者を特定できるまでになった。本書では、この「ゼロ号患者」という言葉の意味を医学、外科医学、精神医学、薬理学のあらゆる分野に意図的に拡大解釈して適用することにしている。