≪今日のコペル先生独り言≫

今日は、こんな学会誌を読んだので紹介いたします。

「科学と生物」Vol59(2021)No4日本農芸化学会

新型コロナ禍の医食同源 感染予防におけるビタミンCの多機能性

https://katosei.jsbba.or.jp/

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空気中には、新型コロナウイルス以外にも、さなざまな微生物や花粉、PO2.5のような有害粒子が含まれている。

我々は、多段階の生体防御システムを駆使して、呼吸の際に侵入してくる多種多様な異物を無害化している。

鼻や喉の細胞からは、「活性窒素」の一酸化窒素(NO)ガスが放出され、侵入者を化学的に不活性化している。

異物が肺にまで達した場合でも、白血球がつくる次亜塩素酸(活性酸素)によって、異物の化学構造を無差別的に破壊してしまう。

この第一次防衛システムである「自然免疫」が過剰に働いた場合、自分自身の肺や臓器までも活性酸素で損傷・破壊してしまうことがある。

過剰免疫応答の一つとして知られる「サイトカインストーム」はCOVID-19の重症化および多臓器不全の原因だと考えられている。

胃細胞からは、プロトンのほかにビタミンC(アスコルビン酸)が分泌されている。

胃液のビタミンC濃度は、血中よりも高い。胃酸に含まれるビタミンCの生理的機能については、「活性酸素」毒性を低下させる「抗酸化機能」以外は明確になっていない。

疫学的研究では、胃液ビタミンCに胃潰瘍や胃がんの発症を抑える効果があることが指摘されている。

ビタミンCは、唾液に含まれる亜硝酸塩(NO2-)を還元して一酸化窒素(NO)を発生させる。呼吸器では、NOは酵素的に合成されるが、胃液ではビタミンC、プロトン、唾液の組み合わせで、抗ウイルス活性のあるNOを化学的に発生させることができる。

含硫化合物(イオン化合物)は、亜硝酸塩依存性の化学的NO産生を促進る。

野菜にはさまざまな種類の含硫化合物が含まれており、健康維持にかかわる機能性が報告されているものも多い。

大根やわさびの辛味成分であるイソチオシアネートも含硫化合物である。

理屈のうえでは、ビタミンCと硝酸塩が豊富で、イソチオシアネートが含まれるアブラナ科の葉野菜(チンゲンサイ、小松菜、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリ等)を食べれば、抗ウイルス活性のあるNOが胃液に発生し、新型コロナウイルスの経口感染リスクを下げることができると考えられる。

COVID-19は「症候群」であり、原因と結果が単純な1対1関係にはならない。

症候群と呼ばれる病気の進行過程では、細胞内の活性窒素、活性硫黄のバランスの崩壊が共通して見られる。

ビタミンCは、これらの活性分子種の制御に重要な働きをもっている。

ヒトはビタミンCも硝酸塩(亜硝酸塩)も合成できないので、毎日の食事から摂取する必要がある。

東アジアでは、欧米に見られるようなCOVID-19の感染爆発が起きていない。理由を説明するさまざまな仮説が提唱されているが、食生活の違いも一つとして考えられる。経口感染予防の観点からは、炭水化物、糖、動物性脂質が多いファーストフードよりも、野菜、ビタミンC、機能性成分が多い東アジアの伝統料理の方が理にかなっている。野菜食に発がん予防効果や生活習慣病の改善効果があることは、数多くの疫学的研究で示唆されている。感染予防と健康維持のために、新型コロナ禍の医食同源を考えてみては如何だろうか。

僕は上記を身読し、養生法(快食・快眠・快便)と鼻呼吸と口ぱくぱくの実践が大切であることを実感した。コペル先生より