≪今日のコペル先生独り言≫

ネズミを宇宙ステーションで研究した(ゲートウェイ反射)、北大の村上正晃教授が企画した

実験医学 2021年3月号

「免疫系の暴走 サイトカインストーム」

多様な疾患で生じる全身性の炎症反応 その共通機構から病態を理解する

企画者のことば

サイトカインストームは,「何らかの原因で,血中サイトカインが過剰に産生され,致死性の病態が誘導された状態」を指し,一種の免疫の暴走と捉えることができる.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化にも関連すると考えられるが,すべての感染者がサイトカインストームになるわけではない.実際にCOVID-19患者のほとんどは無症状,軽症で回復する.重症化する,つまりサイトカインストームが誘導されるのは,高齢者や,基礎疾患,ストレスがある患者が多い.じつは,このCOVID-19のサイトカインストームに似た症状が,血管炎やがん免疫治療の副作用においてもみられることが知られている.本特集を弾みに,サイトカインストームの分子機構が明らかとなりCOVID-19を含む疾患・病態でのサイトカインストームの治療が可能となることを祈念している.…

村上正晃(北海道大学遺伝子病制御研究所 分子神経免疫学分野)

免疫の暴走「サイトカインストーム」と基礎疾患・ストレスについて

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

は多くは無症状、軽症であるが、加齢、既往症、ストレスなどで高率で重症化する。

精神的ストレスや喫煙、栄養の偏り、代謝異常、炎症などの外因性・内因性ストレスは免疫防御

機構に影響をおよぼし、過剰な炎症病態を引き起こす。

精神的ストレスでは交感神経の活性化により炎症性サイトカインの産生が亢進し、慢性炎症が

誘導される(ゲートウエイ反射)。

COVID-19患者においてもストレスに関連する神経活性化や酸化ストレスにより血管内皮細胞

を含む細胞集団にIL-6アンプが活性化されて、炎症が誘導されやすい状態となっている。

ゲートウエイ反射とは?

ストレスや重力、光、痛みなどの環境刺激によって引き起こされる、組織特異的な自己反応

性T細胞の侵入メカニズム。

組織特異的な自己抗原に反応するCD4+T細胞が末梢血液中に存在し、かつ特定の環境刺激

を介する交感神経活性化が起こると、当該組織の特異的な血管においてIL6-アンプが活性化

され、中枢神経系や網膜への自己反応性T細胞の侵入ゲートが形成される。

北海道大学遺伝子病制御研究所 分子神経免疫学 (hokudai.ac.jp)

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