車内での行為をサレ妻が知ると、
サレ妻名義の愛車とは言えども、
サレ妻が知れば、その車はただの汚物。
彼らが車の中で行為をした後の
その車で家族を連れて、旅行するなんて
受け入れらませんでした。
そう、せめてラブホに行くためだけに
使用しているならば。。。
ここまで悲惨なことにはならなかったの
かも知れない。
不倫夫に不信を抱き始めたのは3年目の夏。
サレ妻家族は例年、夏は友人家族と共に
キャンプへ行くのが定番になっていた。
ところが、
今年、学会の準備があり、自宅に引きこもる
と言い出した不倫夫。
疑いもなく、不倫夫を残し、4泊5日の
キャンプへと出かけた。
キャンプへは、荷物と運転のしやすから
普段は不倫夫の使用する車で移動。
残されたのはサレ妻が通勤に使用する車。
車を使うことがないから、大丈夫だよ。
せいぜい食材を買いに行くくらいだから。。
それでも、疑いを持っていたサレ妻は
自身の車に用意したGPS端末を
装着した。
それは、自宅周辺半径300mを
超えた場合のみ稼働するようになっている。
不倫夫のいうことが事実ならば、
スーパーもコンビニも稼働しない範囲であり
警告がありえないのだが。。。
友人家族と合流し、関越道に入った頃
サレ妻のスマホにGPSの稼働を知らせる
メールが入った。
不倫夫は時間を遅らせ、途中で不倫相手と
合流、草津温泉へと車を走らせていた。
サレ妻は子供達をPAで友人家族の車に
移動させ、後から来る不倫夫を
追い越させようと考えた。
どこかのPAで二人でいる姿を確認しようと
するのだが、
何故か、同じような距離感を保つ。
PA,一箇所分が縮まらないのである。
のちに判明したのだが、入れ替えた不倫夫
の車にも、
GPSが装着されていた。
そこで再びサレ妻は友人と合流。
今度は友人の車と乗り換えた。
するとついにサレ妻の車両を追い抜いた
不倫夫。
PAで待ち伏せしていたサレ妻はイートイン
スペースにいる不倫夫を確認。
気づいた不倫夫は、驚いた様子。
しかし、不倫相手とその娘(中学生)は
サレ妻を知らない。
近寄るな!とばかりに
カウンター越しに睨み合う不倫夫とサレ妻。
不穏な様子に気づいたのは不倫相手の娘。
何か、不倫相手に一言話すと、不倫相手も
サレ妻の方を見ている。
不倫相手は不倫夫の耳元で何かを囁くと
不倫夫は何もなかったような仕草。
サレ妻は不倫夫とはPAでは接触せず、
そのままキャンプ場へ。
不倫夫も温泉宿に到着した。
翌日、サレ妻は調査会社に車両についている
GPSを見つけてもらい、友人に預け、
単身で不倫夫の温泉宿へと向かった。
この温泉宿には、以前から私が可愛がって
頂いた方のお鮨屋さんがあるんです。
昨夜、確認したら不倫夫が今夜予約を
取ってました。
事情を説明して、お昼を貸切にして
もらいました。
サレ妻が到着した頃、すでに不倫夫は
到着している。
カウンターにいるのは、調査スタッフと
二席離れてサレ妻、四席離れて不倫相手の娘、
不倫相手そして不倫夫。
互いに目も合わせず、もちろん会話もしない。
一番気まずそうなのは、夫婦を知っている
店の主人だろう。
食事も終わりかけた頃、
サレ妻はバックから離婚届を取り出し、
用意した印鑑を持って、不倫夫の方に
歩き出し、何も言わずに印鑑と離婚届を
差し出した。
こわばる不倫夫。
ここに署名と捺印を。
何言っているんだ!
こんな場所で。
今更、言い訳もないでしょ。
しばらくの沈黙の中、背後にいるサレ妻を
振り返る事なく、正面を向いたままの
不倫相手とその娘。
どうしてここが判ったんだ、探偵でも
尾けたのか!
いらっしゃるわよ、そちらに。
すると、すし職人も含め、一斉に視線が
こちらに向く。
お前はそんな事して、人として
恥ずかしくないのか?
と立ち上がり、サレ妻を怒やしつけた。
人として、恥ずかしいのはお宅でしょ。
すうっと立ち上がり、探偵はスマホを
片手に外へと出た。
すると、探偵と共に入って来たのは
身重の女性。
あ!思わず声をあげた不倫夫
どういうこと?夫の不倫を教えてくれた方?
誰?誰?この人が依頼者?
現れたのは第三の女性。
奥様には失礼を承知で探偵に依頼し、
事の真相を知って欲しかったのです。
どうゆう事?貴女、妊娠中よね。
その子供は、主人(不貞夫)の子供なの?
はい、4ヶ月間に中絶しろと彼に言われ
納得がいかず、彼の元を去りました。
奥様が不妊治療をしているが、望みがない
と彼に言われ、妊娠が判った時点で
産む決断をしました。
ところが、妊娠を喜んでくれるどころか
中絶しろの一点張りで、彼の言っている
事に真実はあるのかと疑い、探偵に
依頼したのです。
三番目の女性の登場に言葉を失った
不倫夫と不倫相手。
貴女一人でその子を産むの?
はい、幸い今は親も理解してくれて
協力的なので。
出産前に、彼の本当の姿を知り、
見限るつもりで依頼をし、他にも
3年程前から女性がいる事を
知っていたので、判明させてから
奥様に謝罪をしようと思ったのです。
貴女はどのくらい前から?
私はもう8年になります。
奥様が不妊治療をされ始めた頃から。
私は3人目なんですか?
先月離婚成立したと。。。。。。。
先月から帰宅しなくなっただけよ。
私は誰か女性がいる事は判っていたの。
貴女が依頼した探偵さんに声をかけて
頂いて、やっと解放されると思って
ここに来たのよ。
さっさと離婚届にサインして!
既に離婚届と離婚合意書を用意
していたサレ妻は、書面を取り出し
不倫夫が財産放棄する趣旨の書面も
用意していた。
黙々と書面に署名する不倫夫。
不倫相手の娘は思わぬ展開に状況が
読めずキョロキョロするばかり。
請求していただけば、慰謝料は出来るだけ
お支払いします。
いや、これから大変だろうし、こいつから
ガッツリ取るから。
それに調査費用のかかったでしょうから。
あ、貴女からは請求するわよ。
だって、私。。。離婚したと言われて。
いいじゃない、今、区役所に出せば、彼と
再婚すればいい。
女性をおもちゃにする男と一緒になれば
良いのよ、ね。
私はこれで帰るわ!
と、カウンターにあったグラスの水を
不倫夫の顔にかけて、
貴方の荷物は母親のところに送ったから
溺愛している母親に自分で説明するのね。
そう言い放つと、サレ妻は店を出た。
私もやりたい事はできたし、もう充分。
タオルで顔を拭いている不倫夫の顔に
お刺身用に出されたワサビを押し付け
お店を去っていった。
残された不倫相手と娘。
顔にワサビを塗られ悲鳴を上げ、トイレで
顔を洗っている不倫夫。
不倫相手の娘が、
私帰るわ、こんな人いやだ。
その言葉にハッとしたのか、不倫相手も
娘と共に店を出た。
不倫夫がトイレから戻った時
何もなかったように調査スタッフが
黙々と食べていた。

