前編からのつづき。

前編を読んで無い方は前編からどうぞ。

県境、兵超峠を抜けて兵超林道を走り国道152号に復帰。

少し南下して向市場の辺りから県道389号(水窪森線)を東に向う。



「高根城ってのがあるね。」

気になったので少し県道を外れて行って見る事に。



なんだかわざわざ訪れる人も少なそう…。

民家の脇から遊歩道が延びている。

ちょろっと見て行こうかねえ。




亀社長が先頭だって上がるバックシーンを撮ろうとしたら振り返りポーズとってる。

あ〜!余計な事をブログ書く時に編集して顔にボカシ入れないといけなくなるじゃん!ってここでブロガーならではの悩みがあった事は言わずに後を追う。

まあ鮮明じゃ無いからこのまま使おう(笑)

しかし蒸し暑い。良い登りだ。

登り始めてすぐ後悔する二人。

何となく入口からすぐだと思ってたのに。

入口からは見えなかった絶望の階段がつづく。


まさか往復3時間とかじゃ無いだろうなあ…。

この時、既に15時ぐらいだった。

暑さでバテた亀社長を抜き去り先頭で引っ張る。


左だね。


いつしか石の階段となり…


そして登山道の様な山道となった。

熊とばったりとか充分に有りそうな道を肩で息しながら登り続けた。

怖いので時々大声を出しながら登る。

「熊さ〜ん!!居ますか〜?居たら先に逃げてー!!」

残り200メートル。果てしなく長く感じた。

頂上が一向に見えない不安。




やっと城壁みたいのが見えて来た。


おお〜!やっと着いたー!!

「ボゥオォ〜〜〜!!」

合戦のほら貝の音色が聞こえそうな幟に心がはやる。


入ってみよう!




これ城!?


なんか時代劇のセットみたい…。


弥生時代の高床式倉庫にも似てる様な。

城ってイメージでは無い。

でも蒸し暑い中を苦労して登ったので二人してこの時はがっかり感を微塵も出さない。

「なんて素晴らしいところなんでしょう!!」

って思わないと損をした気持ちになる不思議な感情が湧いた。

登ったからには下る。

下りは早かったけど膝に痛みが…

ヤバい…膝に抱えてる爆弾が久しぶりに小爆発した様だ。

限界が来る前にバイクに戻れた。

「暑い!!」

バイクに置いて来た、お湯になった水をがぶ飲み!

2人共に瀕死から一命を取り留めた。

走ろう!走らないと暑過ぎる!!

県道389号の鬱蒼とした舗装林道の様な道を亀社長を先頭に進めば左に布滝の看板が…!

滝はどこ?右を向けばかなり高い岩肌から一糸落ちる見事な滝が!!

亀社長は気が付かず行ってしまった。

まあ仕方無い先を急ごう。

しばらくしたら亀社長が停まる。

しょぼい滝で停まる…。(笑)


俺「さっき布滝って言う高い岩肌から落ちる滝に気がつかなかったでしょ!」


亀「え〜!そんなのあった?停まってくれれば良かったのにー!」

まあ良いよ。時間も押してるし。

どんどん標高を上げて行く。


山住峠に出た。でっかい鹿のオブジェ。

これは映える!


此処から山住方面へ向かう水窪森線をそのまま南下すれば、ライダーハウスやおき方面へ東に向える重複国道362号473号に出れるのに通行止め!

グーグルさんにも通行止めが反映されて無かったから直前に何かあったか?


これはどうすれば?

ツーリングマップルで見ると左のページから右のページに行けば良いだけなのに道が無い。

残された選択肢は一つ。この分岐から南下してる天竜スーパー林道を南下して少し遠くなるけど同じ国道に出るしか無い。


※真ん中の天竜スーパー林道は通行可。右の水窪森線は途中で通行止め。              
             

この大荷物で林道かあ…不安しか無い。でも舗装林道だと言う吉報が!

だいたいスーパー林道って名が付くと長いんだよ。

道東スーパー林道とか。剣山スーパー林道とか…。

そんな不安の中、亀社長のスマホに緊急アラートが届く(自分のスマホはとっくに圏外)

亀社長「えっ!天竜市内瞬間的豪雨警報だって…」

遠くで雷鳴が聞こえて来た…。

不安MAX!!

下界で何かとんでもない気象現象が起きてるらしい。今日見て来た川の濁りも異常だったし。

不安の中で俺は違うスイッチが入ったよ。

「行ってやろうじゃねえか!天竜スーパー林道ってヤツをよう〜!」




突っ込んだら直ぐに凄い濃霧に巻かれる。


前を行く亀社長のセロッカーすら良く見えない。


もう俺。覚悟決めたら笑っちゃって。

思わず写真撮りたくてクラクション鳴らして停車した程。

俺「ヤバいなこれwww」


何やら分岐に出た。

どっちが正解?

運命の別れ道かもよ。





福沢線だと西に行っちゃうね。


本線はこっちだね。

本線を更に進むとまた分岐が!

2人して地図とにらめっこ。

看板は有るんだけど土地勘が無いからイマイチ良くわからない。

亀「天狗広場って方がたぶん正解だよ。」

どうやら前に走った事があるとか。

それは心強い。


こっちであっててくれ〜!!


霧を突き抜けて遂に国道に出た模様。


安堵…。

それもつかの間…。

国道を北東に迎えばライダーハウス方面なのにその国道もこの先暫く行くと通行止めとなる。

「一難去ってまた一難!!」

まあグーグルさんに頼ればなんとか行けるらしい。所要時間1時間だと。

この時、17時。

「任せた!グーグル!」

途中から天竜スーパー林道よりも激アツ胸アツな道を案内される。苔、枝葉、亀裂、陥没、浮き砂利。沢。なんでもござれな道となった。

「うお〜!苔でリアが滑った〜!」

「危ねえ〜!!」

2人して滑りまくる。

前を行く亀社長が停まった。

ライダーハウスまで残り5キロ…

目の前にはガレたダートが!

亀「ダートになっちゃったよ…どうする〜?」

俺「行こうぜ!ここまで来たら行くしか無い。」

完璧にスイッチが入った俺。

かつてオーストラリア一周の時なんてフルパッキングで砂地でも泥地でも数百キロ行くしか無かった時の覚悟を思い出したよ(笑)

大丈夫だ2人共にダート経験は豊富だし。

俺達なら行ける!そう自己暗示しながら突っ込む。

「これがオフロー道じゃあ!!」

久しぶりに走りながらこのセリフを叫んでた。

入口こそガレてたが基本はフラットダート。

取るに足らん。


しかしグーグルさん中々やってくれる。


アドベンチャーバイクだけどノーマルタイヤだと滑ってばっかりだし。

なんとか時折路面が荒れて来ても進んでるんだけどさ。

グーグルマップのオプションには高速道路は使わない。有料道路は使わない。フェリーは使わない迄は有るけどダートは使わないは選択出来ないしねえ…。

これさあ。ここ迄、誘導されてガレたダートが突然現れたら初心者だったらパニくるだろうな(笑)


また霧だ。

あと少しなのに全然着く気がしない。

やっとダートを抜けて舗装悪路が現れた。最後は鋭角に曲がる分岐を降りれば遂に到着!!



初日の走行距離444.8km

久しぶりにガソリンが残り一本の赤目盛に入って焦ったね。

ここがライダーハウスやおきかあ〜!一見すると大きな民家だった。

優しそうな、おかみさんに出迎えられて裏のカーポートに案内される。

屋根付き駐車場や砂利ではあるもののサイドスタンドめり込み防止用の小板も有り流石ライダーハウス。



ちなみに奥のセローはおかみさんの愛車だって。

ライダーは着いてから玄関に入る迄が長い。

カッパを脱いで干したり。

着替えを出したり。

やっと準備が整った。


「お世話になりま〜す。」


広い玄関をくぐれば長い廊下。

天井が高くて気持ちが良い。

男女別の相部屋って聞いてたけど宿泊客はこの日は我等のみ。


部屋に案内される。

畳がひいてあり布団もある。

ついたてもある。

小綺麗だし今迄泊まった事があるライダーハウスとは雰囲気が違う。

民宿かゲストハウスって謳った方が合ってるかもしれない。


シャワーもあるし。何なら風呂もある。


しかも綺麗!


トイレも広い!!

シャワーを浴びて暫くすると頼んでおいた夕食(シェア飯会)の時間だ。(食材は持ち込みも可能)


食堂(談話室と言うべき場所)ではモトGPが放映されていた。


じゃ〜ん!気さくなおかみさんと一緒に作った創作和食!?美味しそう〜!ちなみにシェア飯会は参加料1000円で希望者のみで大丈夫。

冷蔵庫には的価で譲って貰えるビールが沢山入ってたコンビニ価格ぐらいで買えるので持ってかない方が良いなこれ。冷えてるし。しかも限定のサッポロの静岡麦酒だったよ。

※ちなみに宿泊費は4400円。夕食を頼めば1000円。朝食を頼めば500円。酒は飲んだだけ別途かかります。

三人で宴の始まり!

しこたま飲んだよ。ビール500mi缶4本ぐらいは1人で開けた記憶が…!

話しは尽きない。

おかみさんもバイク歴は長く20年以上のベテラン女性ライダー。

今はセローで近隣のダートを走って居るとか。

かつては、ドゥカティ。モトグッチなど大型バイクも乗ってたらしい。

バイクメーカー、ツーリング誌業界にも知り合いが多いらしく貴重な話しを聞けました。

こちらは今迄の若い頃からの旅のエピソードを語ってたかも。

熊事件。テントに郵便物が届いた話し…。

まだまだ話しきれない程いっぱいあるけど…。

このままだと朝になっちゃうからお開きとなる。



寝ますかあ〜。

部屋に戻れば網戸に扇風機で心地よい涼しさ。

やっぱり山の中は夜は涼しいねえ。

1日走った疲れと酔いであっと言う間に眠りにつくのでした。