明るくなって来たな…。

テントから這い出してみる。


雨はもう降って無いみたい…

昨日は良く降ったなあ。

雨の中、九州上陸初日に此処までこまで来れたのは大きい。



去年はここから急ぎ足だったから釣りも出来なかったし気になってた沈下橋も寄れなかった。

目の前を流れる緒方川の流域をゆっくり見て周れ無かった。

7ヶ月ぶり。こんなに早く戻って来れるとは!


まだ辺りも泥濘んでるね。


雨水を含んだ草地がぐちゃぐちゃしてるけど長靴は最強だ。長旅には、かさ張るけど必需品。

前室でSOTOのガスバーナーで湯を沸かしコーヒータイム。

目覚めのコーヒーを飲み干したら朝のお散歩。釣り竿も持って行く。

少し上流に歩いたところにある辻河原の石風呂へ。


去年も紹介したけど。

これ古来のサウナ風呂の様なもの。




下の部屋で火を焚いて石室を熱した後に石菖(せきしょう)と言う薬草を敷き詰めて蒸し風呂にするんだとか。



たしか16世紀ぐらいのものだったはず。




驚くのは現代でもお正月には地元の人が利用するんだとか。




それにしても昨日グーグルさんに「ここから近い日帰り温泉」と検索したらこの辻河原の石風呂がヒットしたのには笑った。

徒歩圏内ながら入る迄一昼夜火を焚くらしいからなあ…。


昨年の秋に大きな魚の気配を感じた緒方川で釣り…。

幻の巨大魚を追え!!


釣りキチ三平だったらこの辺りで見た事も無いような魚が跳ねそうな雰囲気だ。




30分ぐらいルアーを投げたけどダメだった。

まあ良いさ。ここで釣りをした事に納得。



ぼちぼちテントに戻ろうか。





お陽様も出て来たから濡れた合羽や湿っぽい革ジャンを干す。

今日は連泊予定だから体制を整えてからツーリングに出よう。


何故だかは、わからないんだけど日本全国旅してると波長が合う土地が有るんだよねえ…。

この辺りの流域がね。

何処かしっくり来る。不思議だよね。

だからまた呼ばれた気がするんだ。

この場所は無料だしね。

難点は水が飲用出来ない事。

地下水にマンガンが多く含まれてて錆た匂いがする赤い水しか出ない事だ。






トイレの水を流したりする分には問題無いんだけどねえ…。





トイレに何故かアマガエル。

どうしたんだ?

カエル「外にヘビが居て怖いんだ…」

そうか…大変だなあ。




大好きな原尻のめがね橋にまた会いに来たよ。

大正12生まれの101歳。


今年も変わらず元気だね。





この橋から眺める緒方川が好き。



この百年。移り変わる時代をずっとここで見て来た橋は欄干にも歴史を感じるねえ。


もう大分では田植えが終わってる?

んん?麦畑かも。



原尻橋が好き過ぎて。

対岸に渡っても撮る。


ここはゆっくりとした時間が流れてる。




後あと知ったんだけど去年この緒方川と緒方盆地の農村景観が国の重要文化的景観に選定されたとか。

どうやら俺も見る目があったねえ…。


サワサワサワワ…。

目に優しい緑色。

麦畑揺れる。

まだ春の頃。
 



橋を渡った農道にはお地蔵さん。

ずっとずっと座ってた。

「こんにちわ。」



昔の丸いポストも健在だ。

旅先からの手紙しばらく書いて無い。

「拝啓。元気にしてますか?…」



赤いポストが背筋を伸ばして待っている。

大事な手紙。預かる為に待っている。



旅先から貰った手紙。

今でも大事にとってある。



ちょこっと走ってまたお地蔵さん。


新しい花。

大事にされてるお地蔵さん。

お地蔵さんは親しみやすい地域の守り神。

この道。あの道。どんな道。  

これから何処を走るのか。

あの日も今日もずっと旅を続けてる。



神社があるね。

今日も旅人待っている。


御光さす神の道。


立派な杉。

御神木。


真っすぐ伸びる。

天まで届け。


苔を纏う。

石碑何を祀る。


苔むした石段。

恐れ多くも踏み締め昇る。


八幡様が。

神々しく。

佇む。



「この旅が無事に終わります様に。」

旅に出ると神頼みが多くなる。



振り返れば。

思い出。

振り返らなければ明日しか見えない。



狛犬さんこんにちは。


こっちの狛犬さんもこんにちは。


そろそろ滝へ。

旅人は向かう。


原尻の滝。


東洋のナイアガラ。

緒方川の奇跡。


滝の上からこんにちは。



 どうしても此処に建てたかった鳥居。


渡らずの吊り橋。

少しの後悔。



咲いた咲いた。


チューリップの花が。

並んだ並んだ。

赤白。ピンク。

黄色は無いけど綺麗だな。






じりじりじりり…原尻の滝。



ニホンカモシカ見れるといいな。



腹が減っては旅は出来ぬ。

道の駅で食べてから行く。



昼明けは洗濯から。

晴れて来たら暑くなる。

洗濯日和。

さあ!

気になってた沈下橋。



用も無いのにわざわざ渡る。


沈下寸前。沈下橋。


物事は。いろんな方向から見るタイプ。


右斜め後ろを行くタイプ。



ずっとここに来たかった。


旅の理由なんてそれだけだ。


そろそろ行こうか。

あの場所へ。

大野の名瀑。沈堕の滝へ。


来ちゃったな。



前にも増して豪快な沈堕の滝。



怒涛!の雄滝。


こちらは雌滝。

ここは、かつての刑場。罪を課すか判断出来ない被告人を上から突き落とし無事に泳ぎ抜けたら無罪放免面としていたらしい…泳ぎ抜けたのは一人だけだったとか。

黑か白かも体力次第…(怖)



沈堕のパルテノン宮殿。


正式には沈堕発電所跡。



ここから見る沈堕の滝がまた一興。

大分のラピュタ。






この看板に嘘偽り無し!

遊歩道を進めば滝の間近まで近づける。


「ズドドドドー!!」


相変わらずの迫力だ!

飽きるまで眺めたから引き揚げだ。


駐車場に戻れば隣りにバイク。

出たな。これが噂のトナラーか。

何故。広いのにわざわざ隣に並べた?

わざわざ向きまで揃えてさ。

たまたま俺が置いただけでバイク置き場の指定は無い。

サイドボックスが横に出てるから出す時に気を使うんだよ…。




う〜む。狭い駐輪場なら仕方無いが倒れた時のリスクを考えたらバイクなんて離して停めた方が安全だと思うんだが…。悪気が無いのはわかるんだけど…。

モヤモヤしながら走り出した。

キャンプ場に戻る前に飲料水を確保したい。

近くにあった宇田姫神社で湧水を汲んで行く。


「宇田姫様〜♡お水を貰います。」




なんか御利益がありそうだねえ。


宇田姫様に御挨拶して行こう。






「チャリーン」(10円)

「ガラガラガラガラ。」

「宇田姫様お水をありがとう御座いました。」



今日は神社に良く来る日だな…


「さよなら宇田姫様。」


「さあ買い物して戻ろうか。」


帰りに見つけた小さな滝。

この辺りは滝の宝庫。

買い物も済ませて最後は薪集め。


川岸に降りればあるだろう。


遊歩道が有るんだなあ。

!!

うわっ!

蛇だ。



黑い蛇って日本に居たっけ?


「我々取材班は幻のカラスヘビを目撃した!」  

水曜スペシャル。川口浩…(古)

白ヘビは神の遣い。

黒ヘビは…?


不吉な…!


でも薪は大量ゲットだ。


テントに戻れば近くに車が!

う〜む。

まだいっぱい空いてるのなあ。

今日はトナラーに好かれる日かも。

まあ良いさ。

良く見たら40代ぐらいの女性ソロキャンパー。

一応挨拶しといたけど、ほっといて欲しそうだ。

う〜む。もう少し離れればもっとプライベートを保てるのに…。

女心はわからないからそっとしておこう。

「ブォーン」バイクが1台やって来た。

えっ!ええー!



昨日フェリー一緒だったMT07のテンション高めオジちゃんだ!

なんとなんと。

再会するなんて!

名前はキクリン(仮)って事で。

キクリンも驚いてたよー。

キクリンがテントを張ってる間にこちらは薪を割ったりお散歩したり。

そしたらまた蛇だあー。


今度はシマヘビ。

死闘の末に捕獲成功!!



私「キクリーン!!蛇!蛇とったよー。」

キクリン「うわあ〜持って来ないで〜。」

残念。シマヘビは可愛いのに…。

逃がしてあげたらイジメ無いのがわかったのか急いで逃げ無い。

頭ナデナデしても嫌がらない。

不思議だよね。はじめは牙剥いて戦ってたのに。飼いたいぐらい。



明るいうちからもう飲もう。

今日はイナダの刺し身。笹竹の天ぷらを買って来た。




今日も薪はふんだんにある。

キクリンにも落ちついたら一緒に焚き火しようって誘っておいた。



スタンバイOK

もう始めちゃおうー。

着火!



「パチッパチっ!」

小枝から徐々に太い枝へ。


来たね! 


後から来た男性2人の登山の方。


ソロキャンプのジムニーの方。


そしてキクリン。

キクリンは社交的。

居合わせた全部のテントに挨拶周りしてる。

流石。年の功。

動画のカメラを首にぶら下げこちらにもやって来た。

何やら実況しながら近づいて来る。

YouTuber気取り(笑)

隣りのお姉さんのとこにも実況しながら挨拶周り。

姉「あのー。プライベートがあるので!!」

注意されてる…。

凹んだかと思ったらニコニコしながら「そうだよね〜!」って。

メンタル最強!!

キクリン帰ってった。



こちらは本日のメインディッシュ。


豚バラの塩焼きとピーマン。


やっぱり豚バラは最高だ!!



程なく焼酎を持ってキクリンがやって来た。

二人で旅談義。

キクリン定年退職してから北海道に何回も行ったりバイクでキャンプ旅を楽しんで来たとか。

キクリン「Vちゃん北海道は行った事あるの!」

私「まあ…あるけど…」

キクリン「俺は4回!行ったよ!」(誇らしげ)

私「へ〜。俺は何回だろ…覚えて無いけど沢山…。」

キクリン「え!」

私「何回かは忘れたけど北海道何回かと東北ウロウロ野宿旅とか。日本一周もしたし。四国放浪とか…。」

私「若い時にオーストラリア一周とかあ…」

キクリン「えっ!」

私「20代が終わる最後の日に野宿してた日数を足し算したら約二年だった…」

キクリン「ガ~ン。」

キクリン「俺…恥ずかしくなって来たよ。偉そうに北海道4回とか行ったとか言ってる場合じゃ無かった…」

俺「別に大丈夫!キクリンにはキクリンの旅がある!!まあ気にしないでーwww」

キクリン「あー。失敗したな俺。恥ずかしいー。」

ウケるキクリン。確かに野宿ライダーって北海道に何回行ったか競い合う節はある…。

でも、その上にランクが有るとしたら沖縄へバイク積んで行った事があるか?さらに。八重山諸島までバイクを積んで行ったか?とか。石垣島の米原キャンプ場行ったか?とか。

日本一周はしたか?とか。

で次はオーストラリアで。ツアーだったか。単独だったか。
オンロード車で舗装だけか。オフロード車でダートも走ったか。
一周はしたか?縦断したか?とか。

さらに上があってケープヨークは行ったかとか?ナラボー平原のレイルウェイ行ったか?シンプソン砂漠は超えたか?とか。

シンプソン砂漠はディクルートか?(少し走り易い。)フレンチラインか?(かなり厳しい。)

キャニングストックルートは行ったか?とか。

更に行くとバイクで世界一周した事があるか?

さらに上が北極点まで行った事があるか?

野宿ライダーマウント(笑)キリが無い。

キクリン良い感じに酔っ払い。

もう寝るって戻ってった。

それから一人で焚き火。

しばらくしたら…。

何故か戻って来た。

どうしたんだろ。

キクリン「俺、忘れ物しちゃってさあ。ヘッドライトしてたよね!」

ヘッドライトかあ…。

落ちてるかなあ…。

座ってた辺りに…。

キクリン「あっ!ごめん!何でも無い!」

えっ…。




首に下げてた…。  

「ギャハハ!!ウケる!!」

キクリン「あ〜恥ずかしい…。」

キクリン面白過ぎる!!

愛すべき旅人。

「おやすみキクリンwww」

こうして愉快な夜は更けて行くのでした。

つづく。