高知県宿毛市松田川で夜明けを向えた。

きのう草刈りしてからテントを張ったから程良いフカフカで良く眠れた。




夜露が凄い。

周りの草むらもびっしょりだ。

これはどうせ直ぐにはテントを畳め無いから釣りでもしながらお日様が上がるのを待つ事にしよう。




これは河口から2キロって事だろうな。

まだまだ汽水域。

高知だけにアカメが居るかもしれないな。

他にはシーバス(スズキ)

クロダイなんかは居そうだな。


いつもの安物コンパクトロッドに初めはダイソーのメタルバイブ7gをセットする。



これは飛ぶし小刻みに良く動く。

地元横浜では顔見知りの近所の中学生がいつもこれでシーバスを釣ってる鉄板ルアーだ。

ビュンビュン投げてひたすら引く。

釣れそうで釣れ無いな。

ボラはいくらでも居るんだけど。


少し上流に進むと水門があった。

こういう変化があるところには魚が居る。

メタルバイブでアタリが無いから往年の名ルアー。バッシングシャドに交換だ。


数投しているとルアーの後ろを追って来る魚が!

30センチ無いぐらいの魚影だった。クロダイっぽいな。

ひたすら繰り返し投げるも見切られた様だ。

半ば諦めながらテントまで戻りつつ20メートル間隔で投げてテントに到着したら終了しようと決めて移動。

移動しては投げる。巻く釣れない…

さらに移動。投げる。巻く釣れない…。

また移動。投げる。巻く釣れないなあ。

ダメかな。

テントまであと少しだ。

移動。投げる。巻く…。

「!!」ヒット!

来たー!まさか土壇場でかかるとは!ほぼ諦めてたのに。

引くねー!クロダイか?

タモは無い。

抜けるかあ?

行く!

おりゃ~。

あがったー!!

「やったぜー!」



キビレだ!(クロダイの亜種)





がっちり喰ってるねえ。

流石!往年の名ルアー。バッシングシャド。

もう30年も前のルアーなのに。魚には関係ないもんねえ。


25センチぐらいかなあ。

持ってって今晩食べようか?

だとしたら途中で氷買わないと。

でもなあ。今日泊まる場所で水道が無いと腹出したり洗ったり難しいかも。

ここも水面は遠いしなあ。直には処理出来ないし。

一瞬迷ったけど。「ありがとよ!」「ポッシャーン!」放流。

食べたい気持ちもあったけど。

釣れてくれた事に感謝して逃がしたよ。


テントまであと僅かで逆転勝利!!

お日様も上り。あっという間にテントも乾いたので撤収。

出発!

宿毛を出発して宿毛街道、国道56号を宇和島市方面へ走る。



なんだあの島。

島が三つ。連なってる。

ジェットストリームアタックみたいだ。


三ツ畑田島って言うらしい。

風光明媚な海岸線を更に進めば今度はでっかいドラえもんが!


なんでドラえもんが…

ごろく屋って言う今はやってない店舗があり。

そこにずっと放置されてる感。




中を覗けばかつては乗れる遊具だったみたい。

気になって調べたら

1996年バンプレストから発売されてたジャイアントドラえもんって言う子供の乗る遊具で
製造はホープ(既に倒産)って会社が作ってたらしい。



こうやってかつては子供達とこのドラちゃんは遊んでたと思うと…。

久しぶりに遊んであげたいけど動かない。



バイクに乗りたいのかい?

連れてってあげたいけど。

ちょっとデカ過ぎる。


忘れ無い様に場所も記しておく。

国道56号沿い。由良半島の近くだよ。

ドラえもんが一人で寂しがってるからライダーの皆。行ってあげてね。ドラ焼きをお供えしてから食べると交通安全の御利益があるらしいよ。

さあ行こう!ドラえもんまたね〜!!


南国情緒たっぷりの宇和島市に入った様だ。



立ち寄ったコンビニで闘牛大会のポスターが。

一度見てみたいけどまだ先の日程だねえ。

牛の名前で気になるのが…。


「ヒットマン…」

殺し屋か?

先へ進めば由良半島の道標が。



この入り組んだ由来半島は十年前に制覇してるのでさらに北に位置する入り組んだ半島にアタックだ。





宇和海に突き出した細い骨みたいなところ。

離島も点在してるけど陸路で行けるとこまで行ってみよう。


国道から外れて県道を入れば早速、大好きなリアス式海岸。


ここはかなり国道から外れた僻地なのであまり行こうと思う人も居ないのでは?



ワクワクしながら進むと期待通りの絶景。


陸続きで来てるんだけど孤島感。



高台から眺めたり。 
 

下って来ればギリギリ海っぺりに道が延びている。




海に家が建ってる様な風景に出くわした。


あれは何だろ?


そしてやって来たのは日本農村百選にも入ってる遊子水荷浦の段畑。



そして、この集落にあるだんだん茶屋さんでお昼御飯としよう。


この辺りは鯛が有名なのかな?

鯛を使ったメニューがいっぱいある。



迷ったけど鯛のぴちぴち丼に。

この鯛が本当に新鮮で噛むと跳ね返す様な弾力。甘みも有るし。今まで食べた鯛の刺し身で一番美味かったかも。

そして付け合わせのポテトサラダも手作り感があって美味しい。

裏にある段畑で採れたじゃがいもなのでは?



店内の壁には段畑の昔の風景が飾ってあり興味深い。


なるほどね~昔は学校まで農業休暇にして子供達も手伝って収穫したのか。

昔で言う写真機で撮った子供達の笑顔は輝いてるよ。

俺はいつも思うね。

生まれて来る場所や時代って選べ無いけど不便な暮らしだったかもしれないけど、この頃に生まれてた方が自分には合ってるかもって…。

今は便利を通り越して無駄だよね。

便利過ぎて人間が退化してる気がする。

旅にしたって紙地図を見ても理解出来ない若者とか居るだろうなあ…。

スマホのバッテリーが切れたらアウトだよね。

圏外になってもアウトだし。

まあ俺もグーグルナビは便利だと思うけど。

道を選択すると言う旅の楽しい部分を任せてちゃってる感もある。


みんなで、じゃがいもの保存食を作ってる風景。

「アラヨ〜!ヨイサ〜!」

とか掛け声が聞こえて来そう。



平らな土地が無いからこうなったんだろうけど。

並々ならぬ苦労で生き抜いたこの土地の人々の努力の結晶がこの段畑なんだな。

今でも段畑保存会があってこの景観を守ってるんだって。

これは心を揺さぶられた。



食べ終わったのでちょっと見学して行こう。


綺麗に石垣を積むよねえ。




じゃがいもが植えられてた。
 
「耕して天に昇る。」

これが遊子水荷浦の段畑の先人からの教えだ。

汗水垂らして働けば天にも登る畑が築ける。

どんな場所にも不可能は無い。

そんな人々の力強さを感じた。



石垣と緑の調和が美しい。

石垣のある風景。

大好きな風景。

いつまでもこのままで…。

100年先も変わらないで居て欲しい。



さあ!道はまだ続いている行ってみよう。






すっごい道だな…。

つづら折れの狭路を行く。

何だか速そうな国産スポーツカーが追い付いて来たぞ。

地元の若者かなあ…。

ちょっくらスピードアップ。

まだ着いて来る。近いな。詰められて来た。

仕方無い本気を出そう(笑) 

「ブォーン!!」

やべっ!「ガリッ」←センタースタンドが擦れた音。コーナーで寝かし過ぎた。

立ち上がり。ここはライン取りで差をつける!

離したけど…。

まだ僅かに後ろに見えてやがる。

「ビューン!!ヒュンヒュン!!」

消えたな。

ふぅ。デッドヒートの末にぶっちぎる。(相手は家に着いただけかも。)

きっと思ったはずだ「アイツ…よそ者のくせに中々やるじゃねえか…!」

俺「まあな!アンタも中々速かったけどね!!」

こうしてお互いの健闘を称えあい友情が芽生えるのであった。メデタシメデタシ。ナンノコッチャ…。

平和が戻り、そのまま進めばのどかな漁村に。



地図で見る限りはこの先には道が無い。

この神社が海禅寺だな。この先は地図上では道が切れてる。

まだ道は続いているけど、何処まで行けるかわからないから引き返そうか。


また海に浮かぶ小屋だ。

どうやらこの辺りは真珠の養殖が盛んで真珠養殖の作業小屋らしい。



漁港の脇には郵便局。

長旅の時は郵便貯金が圧倒的に便利。

銀行もコンビニも無いとこでも郵便局って必ず有るからね。




郵便局の船?

この辺りだったら海路で配達した方が離島もあるし効率が良いのかも。

地図を見てたら後ろから不意に話しかけられた。

「こんにちは。横浜から来たの?」

見れば野良仕事の帰りの様な地元のおばちゃん。

でも話しを聞いてびっくり。

旦那さんの定年退職を期に毎日釣りが出来る場所に住みたいと言う旦那さんの夢を叶えるべく首都圏から数年前にこの地に移住して来たんだとか。

おばちゃん「地元の人に頼んでね船も桟橋に係留させて貰ってねえ釣りも何時でも出来るんだけど、いざ来て見たらあんまり行かないんだよねえ。」

私「わかる!移住したらもう満足なんだよね!」

私「家もね海は近いんだけど毎日は釣り行かないもん。」

それにしても移住するにしろ良くここを選択したなあ。

確かにここは良いとこだけど買い物とか不便そう。凄い決心だな。

おばちゃんとしばし旅の話し。横浜を出発してから野宿しながら紀伊半島を走破して四国に渡って来てこれから九州に行く話しやら…。

おばちゃん「若い頃はさあ山登りしてても山小屋なんて泊まらないでさあ。私もテントだったのよ〜!」

この人凄いなあ。一見。農家のおばちゃんかと思ったのに元は登山家であり旅人だった。

きっと荷物満載の俺のバイク見てさ旅人の血が騒ぎ声かけたくなったんだよねえ…。

ひとしきり喋っておばちゃんは家路についた。

俺もそろそろ引き返そう。



来る時に気になってた橋で停まる。

さっきはデッドヒートの後でまたライバルが追いついて来ると厄介だから素通りしちゃった。

この橋は離れた島に橋をかけたのかと思ったら逆だった。


なんと。昔は船が半島を迂回してたんだけど難所も多く不便だった事から昭和の時代に掘削して運河を通したらしい。

細木運河と言う。

そしてこの半島の名前が三浦半島だった。

宇和島にも三浦半島があったなんて…。

神奈川の三浦半島と姉妹半島協定を結ばないかい?


これは初代の橋の跡だとか。

吊り橋だったのでは?


こうして宇和海に延びる三浦半島を制覇!!



さてどうしよ。

宇和島市街に出て買い出しをしつつ。本日の野営地を探す。

宇和島市街から山に入った辺りに高月温泉って言う温泉があるなあ。

隣接して成川渓谷休養センターと言うのがあり。宿泊施設がある様だ。地図にキャンプのマークがあったからグクったらなんと無料キャンプ場。

受け付けは成川渓谷休養センターらしく。電話で確認すると開設時期前なので整備していなく荒れてるけど、それでも良かったら泊まれますと。

全然大丈夫!連日の野宿ですから。

宇和島市街からはそう遠く無かった。




ここで受け付けだね。

宿泊も出来るらしい成川渓谷休養センターで受け付けをして来よう。

電話してあったので話しは早かった。

受け付けの男性に促され必要事項を記入する。

名前書いたり住所書いたり…。

注意事項。

いくつかあったけど。ゴミ持ち帰りとか。花火禁止とか。それは当然だよね無料だし。

「焚き火は禁止です。」 

え…。

私「あのう…焚き火台使ってもダメですか?」

「ダメです!」

マジか…。ガーン。

キャンプ場で焚き火台使っても焚き火が出来ないって場所は初めてだ。

要するにガスバーナー以外では炊事が出来ないんだよねえ…。

焚き火フリークな俺としては飲酒禁止と言われたぐらいのダメージが…。

でも仕方無い。無料だし。文句は言えん。キャンプサイトは指定された番号に張って下さいとの事で向かう。



「11番て言ってたな。」

ここか!

駐車場からもすぐ。炊事棟からもすぐ。

そういや「荷物は多いですか?」
って聞いてたな。

「わりと有ります!」って答えたからここにしてくれたんだな。

まあ俺しか居ないから如何様にも出来るんだろうけど。有り難い!

それにしてもこのウッドデッキタイプって…。

平成初期に流行ったけど使い勝手が悪くて廃れたよね。

何しろペグが打てませんから。

久しぶりに見たぞ!

ここは腕のみせどころだ。

枝を拾って来てウッドデッキの板の隙間に合わせてナイフで木ペグを作り打ち込む。





鉛筆削りの要領だ。


ペグも数が必要だから大変だけど。

手抜きはしない。
















完成!!

我ながら良くやった。

完璧だ。

設営も完了したし。

隣接してる温泉へ。



ここ。サルが出るのか…厄介だな。

前室に置いた荷物を風呂に入ってる間に荒らされなければ良いが…


隣接する高月温泉。

昔ながらの日帰り温泉だ。

料金が410円。これぐらいだよね。温泉の料金って。最近の日帰り温泉はスーパー銭湯化してて風情が無くて1000円近くするからねえ。

こういうのが良いんだよ〜。


温泉も実に良い感じだったよ。

昭和の香りがする。シンプルイズベスト。

いい湯だった。

旅の汗も流せたしキャンプ場に戻る。

さっぱりした身体で森林浴だ。


このキャンプ場は成川渓谷沿いの林間に広がる。

苔むした岩肌が静かに深呼吸して空気を綺麗にしてくれてかのよう。

岩盤の上を流れる渓流は高月山、梅ケ成峠に源流を持つと言う。


太古から変わらぬ流れは…


もののけの森を流れてるかの様だ。


米良美一の歌が聞こえて来そう…。

さあさあ晩御飯の準備。


宇和島市街のスーパーで180円で買ったイサキ。

今朝からここに泊まる事が決まってたら釣ったキビレを持って来たんだけどな。


おつとめ品だから煮ようかね。


水、酒、砂糖、粉末だし、醤油…。

これだけ入れればそれらしく煮付けになる。

いつも持ってるピーマンも一緒に煮てしまえ。


スーパーで買ったエビチリ。

温め直しで炒める。楽チン手抜きキャンプ。

定番の冷凍枝豆。



ウッドデッキの前にあった石のテーブルでまだ日が落ちる前から飲みはじめた。



落ちてたツバキの花も飾ればハイビスカスの様だね。



渓流の流れを聞きながら明るいうちから飲むのも悪く無いね。



イサキも美味い!

それにしても焚き火禁止かあ…

あちこちに直火禁止とは書いてあるんだよなあ。

焚き火台使ってもダメって言ってたのは誰かがなんかやらかしたのかもなあ…

ウッドデッキの上でやって板を焦がしたヤツがいたとかかも…。

あっ!炊事場に炉があったな。

そこなら許されるはず。火を炊く場所だけに。

脇にドラム缶を切った様な炭捨て場があり。

まだ燃えそうな炭も拾う。

薪は周りに落ちてる枝を拾い集めて来た。

日が落ちるのを待って着火!

炊事場の照明も消そう。

雰囲気が大事だ。


焚き火しないキャンプなんて…夜が長すぎる。


誰も居ないからね。

きちんと片付ければ大丈夫。

もはや焚き火依存症だな…。

夜はまだこれから。

じっくり燃やそう。

また明日。

つづく。