誰も来ない三原キャンプ場でひっそりと夜明けを迎えた。

朝から焚き火をしなくても困らないんだけどさ。

良くこう言うでしょ。「米粒残しちゃダメだあ!お百姓さんが汗水垂らして作ったお米を無駄にしたら目が潰れる」って。

だからね「薪を無駄にしちゃダメだあ〜せっかく拾い集めて汗水垂らして作った薪を無駄にしたら、勿体無いオバケが出るぞー。」って心境で燃やしてる。

消えるまでに珈琲を乗んだり朝御飯食べたり…。


調理道具を洗いに行ったり。

のんびり片付けて居ると軽トラが入って来た。

荷台には大きな黒い犬が乗っている。

やっとこのキャンプ場に人が来たなって思い見ていたら荷台から黒い犬を降ろしたとたんに、犬がこちらに猛ダッシュ。

リード付けて無いのか。

この時はまだ余裕だったよ。

友好的に走って来た黒いラブラドールレトリバーかフラットコーテッドレドリバー辺りだと思ってたから。

目前まで迫ってま来てけたたましく吠えたてる犬を見た瞬間に背筋が凍る。


↑こんな優しい目をした黒いラブラドールレトリバーじゃない…。


↑こんな気品のある高貴なフラットコーテッドレトリバーでも無い。


↑こんなヤツだった。土佐犬?高知だけに…(画像はイメージです。)

しかも尻尾も振ってない。「ガウワウ!ガウワウ」吠えながら捲し立てて来る。

その距離二メートルまで接近。

飼い主は呼び戻すでも無く100メートルぐらい離れたとこから見てるだけ。

犬は悪く無い。飼い主が馬鹿過ぎる!

飼い主からしたら人を襲わない自信があったとしても、こちらからしたら襲われない保証なんて何処にも無い。

他人に迷惑かけてるのわかんねえのかよ!

噛みついて来たら犬は可哀想だけど斧で闘うしか無い。

どちらにしても不幸な結果が待っている。

そう思ったら飼い主の方に走って戻って
った。

これ小さな子供だったら慌てて走って逃げて後ろから噛まれてたかも。

怒り!朝から怒りだ!!

毎朝此処まで犬を連れて来て散歩してるのかもしれないが非常識過ぎる。

またいつ来るかもしれないのでテントを撤収して出発!!

舗装路に出る迄が厄介だ。

絶対に来て欲しく無かったゴロタ石セクションで来やがった「ガウワウガウワウ!!」

飼い主の姿は見え無い。

足に噛みつきそうな勢いだ。

たぶん俺からただならぬ怒りのオーラが出てたんだと思う。

犬と目が合った瞬間に「オラーッ!!」

土佐犬怯む。

そのまま逃げてったぞ。

勝ったらしい…(笑)


「ホントに馬鹿飼い主が!…」(犬は悪く無い)

此処まで来れば大丈夫だろ。

やっと舗装道路に出て地図で確認する。

このままこの県道21号を進めば太平洋側に出るね。

国道321号に出たら土佐清水方面へ右折すれば足摺岬方面へ行ける。

足摺岬に10年ぶりに行ってみよう!

鬱蒼とした渓流沿いの狭路、県道21号を抜ければ開けた海岸線の国道へ出た。

「海よ!久しぶり!」

数日ぶりの太平洋。

山からやっと降りた感



大岐海岸。



開放感たっぷりの広い砂浜がつづく。




やっぱり広い海は良いねえ。




足摺岬まではもう少しだ。



来ちゃったね。足摺岬。



懐かしい〜!

「ジョン万!久しぶりー!」

十年前と同じ様にジョン万次郎がお出迎え。

万さんとツーショットだ!

自分を入れたら万さんは首から上が切れた。

縁起が悪い…。 

万さんを完全に入れると自分の顎下が切れた。

でも我慢だ。

万さんが優先だ。





万さんの生涯は凄いよなあ。

少年期に漁の最中に嵐にあい遭難したけど無人島に辿り着き数ヶ月生き延びる。米国船に助けられ渡米。鎖国下の日本に戻れば処刑が待ってるので戻れず米国で猛勉強して帰国の機会を待ち。遂に鎖国が終わる間際に帰国…。

12年ぶりに故郷で母親と再会出来たんだよねえ…。生きて帰って来た息子に母親はさぞ感激しただろうねえ…。

それからは優れた語学力や航海術が買われ幕府の役人に抜擢され勝海舟と共に咸臨丸でアメリカへ行ったり。日本の近代化に貢献した偉人である。

「万さん…スミマセンがお腹空いたので御飯食べて来ます…」




足摺岬の遊歩道入口にある昔から有るような食堂が二軒。


どっち入ろうかなあ…。


こっちにしようかねえ…。




観光地だけどわりとリーズナブルだしね。

まだお店開けたばっかりの時間。

店主さんと思わしき人が履き掃除してるけど入って良いかな?

私「もう大丈夫ですか?」

店主さん「どうぞ!お好きな所へ。」

良かった。大丈夫だった。

誰も居ない広い店内。




昔の観光地って感じで良いなあ。


迷ったけど足摺荘名物かつおめし丼に挑戦だ。


なんだこれ?

鰹のたたき丼かなと思ったら。

スライスした、なまり節が乗ってる!



甘めの醤油タレがかけてあって混ぜて食べると不思議な美味さがある。

なまり節食べるの子供の頃以来かも。

なまり節ってボソボソしてて苦手だったんだけど、これはスライスしてあるのでボソボソ感が無くてタレにも馴染んで中々美味いね!

後から外国人の女性が一人やって来た。

アイスコーヒーを頼んでいる。

なるほどねえ。今や半分は外国人観光客なのかもねえ。

昭和感たっぷりなのにメニューに英語表記が有るしねえ。

きつねうどんってFox Udonじゃ無いんだね…

フライドトウフって言うのか!…なんか納得いかないけど…。

腹ごしらえも出来たし足摺岬灯台まで歩いて行ってみよう。

鬱蒼とした遊歩道を歩く。


ところどころにこんな奇石が点在してる。

ゆるぎ石。

弘法大師が発見した石。出たな弘法大師。


ここは運命の別れ道かも。

左に行けば足摺岬灯台と展望台。

右に行くと千万滝と白山洞門。

行った事の無い白山洞門方面へ。



汐の満干手水鉢。

岩に窪みがあってさ。

汐が満ちてる時は水が溜まり引いてる時は水が無くなるらしい…。

きっとこれも弘法大師の仕業だよ…。




ここが断崖絶壁でさあ…


柵を越えたらダメだ!あの世行きだぞ。


戻れ!まだそっちに行くのは早い!


「命に代わる借金はありません!解決は必ず出来ます!」

そうだ!そうだ!死んだら元も子もない。

自己破産して図々しく生きよう!

でも借金以外が原因の人はどうすれば…。

失恋とか。病苦とか。イジメとか。失業とか…。

ギクっ!失業…。

失業したら旅に出よう!(出てる人)




亀石?

亀に見える?

どういう構図だろ。

心が清い人にしか見え無いんだよきっと。



俺にはラクダの横顔に見える。



こんな感じに…。

まあ先に進もう。


この道はアップダウンが凄い。

登ったと思ったら。


下る。 




こんなに下るのは危険だ。

帰りはここを登るんだろ!




もう帰りの事は諦めて大変だけど来たからには行く。



神社を横目に進めば海岸に降りられた。


これが白山洞門だな。

この角度からだとハートに見える。


でも位置がずれるとハートが消える。

どうやら本当にハートに見えるのが売りの映えスポットだった様でハートに見える角度の場所にスマホが立てられる台が設置されてた。

記念撮影して下さいって事だよね。

誰も居ないしやるか!

本来はカップルでやるのかも。

オッサン一人でかなり不気味だけど絶妙なフレーム角度でスマホをセッティングした。

セルフタイマー10秒。行くぜ!

         10

                                     9

                                     8

                                     7

                                     6

                                    5

                                     4

                                     3

                                     2

                                     1

       「カシャッ!」

        閲覧注意。
       

これはヤバい!かなり気持ち悪い(*´∀`*)

撤収!!



景色だけ撮ったら逃げるぞ!


ひい〜!


帰りの階段は心臓破りだった。

上ってると下って来る御婦人が。「帰りは地獄ですよ!」って言ったら「今は考えたく無いです!」だって。そうだよねえ(笑)


さらに足摺岬灯台へ足を延ばす。

中々距離を歩いてるぞ。


ここは亀呼場。

弘法大師がここから亀を呼び亀の背中に乗って不動岩に渡り祈祷した場所らしい。



亀の背中に乗るなんて弘法大師って浦島太郎みたい。

亀に乗った著名人は浦島太郎。弘法大師。おぼっちゃまくん…だな。

この亀。皆んなが触るからツルッツルだね。





今度は地獄の穴。

小銭を落とすとチリンチリンと落ちて行き、その穴は金剛福寺付近まで通じているとか…


試してみよう。

う〜ん。わりと浅い気もする…。

騙まされて募金したかも。



さらに歩いて足摺岬灯台はこっちから見た方が綺麗だなあ。



それにしても足摺岬に長い事居たね。

1時間40分も滞在してた。

さあ走ろうか!

走り出して自動販売機で停まる。

野宿で出たゴミは焚き火で燃やすんだけど空き缶だけはリサイクルして貰おうかと。

捨てればゴミ。生かせば資源。アルミ缶だからいま高値だよ!




あっミカンを売ってる。


ブンタンも売ってる。



向かいの漁港の島からなにやら「ギャーギャー」鳥が鳴いてる。


おお!こんなところに鷺のコロニーがある。

それにしてもこの辺りって漁港内でも綺麗だねえ。



土佐清水の海岸線、足摺サニーロードを征く。


この辺りは竜串海岸かな。




自然が造りあげた奇石。奇岩が続く。





これも凄い岩だね。


言わば岩の品評会。

これは金賞受賞クラスの芸術だねえ。



そろそろ密かに本日のキャンプ地にしようと思っている樫西園地があるはず。



樫西園地 景色の良い展望台付近でキャンプ可  
冷水シャワー有り 無料

無料だよ!大好きな言葉だ。


あった!道から黄色い花が見えて綺麗だなと思ったらそこが樫西園地だった。


綺麗に整備された遊歩道。




これは何の花だろうなあ…。



展望台まで進んだらありゃ?

グランピング施設が…。

駐車場に戻るとやはり樫西園地には間違い無い。

ここ無料なのか?

シャワーやトイレもあって。炊事棟もあって。しかも設備が新しい。

駐車場に管理棟らしき建物があったので中に入ったら、お兄さんが居たので聞いてみた。

私「ここは有料キャンプ場ですか?」

お兄さん「そうです。有料です。」

私「そうですか。地図には無料って書いてあったから…」

お兄さん「えっ!どの地図ですか?」

私「これ。TURING MAPPLE2024年版」

お兄さん「本当だ!!」

どうやら公園を再整備して昨年からグランピングも出来る有料キャンプ場として運営してるらしい。

TURING MAPPLEの情報がまだ更新されて無かったんだねえ。


料金表を見せてもらうと中々強気な価格帯だねえ。

とても貧乏野宿ライダーが泊まれる値段じゃ無いから退散。

あっ。受付のお兄さんはとてもフレンドリーで感じが良かったよ。

お兄さん「これから何処へ行くんですか?」

私「柏島に行ってみようかと。」



数年前にちょっとした話題になった大月町の海岸線(ニホンカワウソらしき動物の動画が撮られた。)を抜け県道43号で柏島に向かう。

柏島へは橋がかかっていて陸続きで行ける様だ。




もう着いちゃったよ。

恐ろしく綺麗な海だな。

えっ!

何か泳いでる。



イルカだ!


おー!イルカに会えるなんて…。


2頭のイルカが橋の下を行ったり来たり戯れている。


わあ〜。


凄い。


動画の撮影にも成功。


イルカが居る海辺でキャンプ出来たら良かったんだけど…。


柏島はキャンプ禁止。

近くに竜ヶ浜キャンプ場がありますと表示があるものの料金を調べたら宿泊6名まで5000円…!

ソロでも5000円…。そりゃぁ無理だ。

この辺りは楽園みたいな雰囲気でキャンプしたかったけど諦めて走り出した。

国道321号線に戻り北上する。



道の駅 大月で作戦を練り直そう。

どちらにしても今日はキャンプだから食料だけでも買っておこう。


魚が豊富。

シマダイ(イシダイの幼魚)にイサキが3割匹!惹かれるなあ。


天然マダイも安い。

でもなあ。魚を買っても水道があって捌ける環境でキャンプ出来る見込みは無いからなあ…


干物焼くだけなら良いかも!


なにこれ?マグロの心臓?



骨無しウツボ(骨を抜く作業は職人技です。)もある!ウツボが気になるけど少し旬は過ぎてるしなあ…


ヒョウダイ?初めて聞く名前。

安いからこれにしよう。


本マグロの心臓の塩干しも話しの種に買ってみた。

後はコンビニでビールを買えば野宿ポイントを探すだけ。

長年の旅の勘を働かせ。出来るだけ海岸線などを覗き込みテントを張れそうな場所を探す。



ここなんて道の下へ降りればテント張れそうではある。


ちょっとゴミが多いかな。

微妙に傾斜池だな。

万が一川が増水したら危険だな。



でも張ってしまおうか?

いや田舎道とは言え車が通るなあ。

丸見えだからやめておこう。

地図で見るとこの先に松田川って大きな川があるね。

大きな川には広い河川敷があって野宿出来る可能性が高い。ちょっとそこまで行ってみよう。

案の定。松田川の河口付近にある松田大橋から土手道に出れた。

ただね。土手下に広い河川敷があるかと思えばそうでも無い。

土手上に張ると通行の妨げになりそうだし。




ゆっくり走りながら張れそうな場所を探す。


少し土手道が広くなってる部分があり。

その下にかろうじてテントが張れそうな空間を見つけた。




「ここを本日の野営地とする!」

草が伸びてて張りづらいな。

ナイフで草刈りから始めた。

0円キャンプも楽じゃ無いね。



頑張ってこうなった。

目立たなくて良いね。

一度河口付近に戻り流木も集めて来た。

今晩も焚き火してやる!

昨日も風呂入って無いから今日は入りたいなあ。

テントを張った状態で留守にしてお風呂に向かった。





やって来たのは宿毛湾に浮ぶ大島(橋で行ける)にある宿毛リゾート椰子の湯。


こんな感じの棚田状露天風呂であった。




ちょうど夕陽が沈む時間で露天風呂から素晴らしい夕陽が眺められた。(画像は椰子の湯のインスタグラムから拝借したイメージです。)



野営地まで戻ったらもうこの暗さ。

今日は観光をしながら125キロぐらい走ったな。

でも俺は気が付いてしまった…。

三原キャンプ場から太平洋側に出て海岸線を走ってただけで…。



朝出て来た三原キャンプ場まで25キロしか離れて無かった!真っすぐ向かってたら34分の距離だったなんて。


まあ寄り道旅だ。

それが放浪だ。

何はともあれ焚き火だ。









炭火になって来たところでヒョウダイとマグロの心臓を焼こう。



ヒョウダイの味醂干し美味そう!

ヒョウダイって馴染みの無い名前だから調べたらヘダイの地方名だね。

マダイ、クロダイ、キビレ、チダイ、ヘダイ…

コイツは正真正銘のタイ科の魚だから。きっと美味いと思って食べたらかなり美味いね。

それにしてもマグロの心臓塩干しは塩辛くて…血生臭いし。炙って食べる物じゃ無いのかも。

もしかしたら水に戻しつつ塩抜きしてスライスして料理するのでは?

これはちょっと食べれないからいっぱい跳ねてるボラに食べて貰おう。

「ボッャン!」餌だよー。お食べ。

アテが外れたとは正にこう言うことを言うんだな。


でも大丈夫。


隠し財産のさんま蒲焼き缶を食べるから。

やっぱりこれは外れ無き旨さ!!


今日も焚き火が良い感じだ。



♪「ほろ酔いはー俺を〜ダメな男にするー!」


♪「あの時も〜そうだったろう〜。」


♪「今日は酔いに酔ってオマエを忘れさせてくれー。」


あいみょんの「ほろ酔い」を歌う。

泥酔すると川に落ちるから程々で…

おやすみ。

また明日。

つづく。