「コケコッコー!」

まだ真っ暗なのに一番鳥が鳴いた。

そういや昨晩言ってたなうちの鶏は4時には鳴くよって…。

時計を見たら4時3分!ほんとだ…。時間に正確だな。

それからウトウト…。

明るくなって来たから外に出てみる。





まだ薄っすらと霧雨。

天気は回復する見込みらしいけど。

濡れた芝を踏みながら傘をさして朝の散歩へ。

敷地の向こうはすぐ海。







ライダーズイン中土佐を横切らないと来れない小矢井賀浜。

ほぼプライベートビーチだな。


綺麗に整頓された薪小屋。

焚き火何日分だろ?

良いなあ。薪小屋のある生活。


「おはようございます!」

「グッドモーニング!」

みんなもう起きて朝食食べてた。


朝はまだ冷える。

薪ストーブが有り難い。

ライダーズイン中土佐名物。

卵かけご飯。

運が良ければ産みたて卵。

昨晩からこれを楽しみに頼んでおいた。

オーナーさん「卵産んでるか見に行きますか?」

えっ!収穫も一緒に行けるの?是非!


「コーコーコー。」


「コーコ。コーコ。ココココ…!」

平飼いされた幸せそうな鶏達。

雄鶏が1羽。雌鶏が数羽。

雄鶏「おう!オマエ何しに来た?」

「スミマセン。卵を貰いに…」


朝の産卵タイム。

産む部屋は3つ有るのに。

左が一番人気だって。

順番待ちだね。



裏に周ると小窓があり収穫出来る様になってる。



オーナーさん「あれ。まだ産んで無いか…」



オーナーさん「ピーちゃん卵まだー?」

私「産まない日もあるんですか?」

オーナーさん「だいたい産むんだけど。産まなくてもストックは有りますよ。待ちますか?」

私「出来れば産みたてを食べたいので少し待ってみます。」


管理棟から鶏舎を観察しながら待つ。


いつも雄鶏は不審者から雌鶏を守ってる。


雄鶏「待っててもすぐに産むかはわからねえぞ!」

「スミマセン。もう少し待たせて下さい。」



「ねえねえなんか啄んでないで早く俺の朝御飯を産みに行って!」

オーナーさん「あ!一羽産んでるんじゃない?」

私「ちょっと見て来ます。」




あったー!!

って手を伸ばそうとしたらさらに上からポトリ。

あ〜もう一個落ちて来た。


凄い。

産みたて一秒の方を収穫。




まだ濡れてる。なんかリアルだな。

私「産んでましたー!と言うか産まれるとこを見ました。」

オーナーさん「えっ!それば凄い。何年か飼ってるけど産む瞬間は一回しか見た事無い。」

ビギナーズラックってやつだな。


じゃん!

産みたてにも程がある。卵かけご飯。

何気に湯呑みがSUZUKIのだ。


パカっ。

心して食す。

まだ生暖かい…。

ありがとう鶏さん。

大変美味しく頂きました。


管理棟にあるバイク達。

カブもあるね。



これは何のエンジンだろう…。

オーナーさんはトライアルもやるんだとか。

大阪から来てライダーズイン事業を引き継ぐなんで一代決心だっただろうなあ。

バイクが好きじゃ無かったら出来ないよねえ。


アメリカ、ベトナム混合自転車チームが出発するって言うから見送りに。

「フォト、オッケー?」って聞いたら一緒に撮りましょうってなり。


「チーズ。」

「カシャっ!」


「グッドラック!」

「カシャっ!」



「行ってらっしゃーい。」

また何処かで会うかもね。

こちらも出発だ。

オーナー夫妻に写真を撮らせて欲しいといわれバイクを撮影ポイントへ移動させる。

1番グリッドだよ!


照れるなあ。

「カシャっ!」

もう一枚。「カシャっ!」


今度は海をバックに「カシャっ!」


後ろ向きで「カシャっ!」

貴重なバックショットだ。

オーナー夫妻を今度は逆に撮る。

「行きまーす。」

「はい。チーズ。」



「カシャ」


「ありがとう御座います。ではそろそろ出発します!お世話様でした。」




走り出して考える。

珈琲屋まで真っ直ぐ向かったらすぐに着いてしまうな。

ちょっと気になってるキャンプ場に偵察へ行ってみよう。

ツーリングマップルにはこんなコメントが。


「三堰キャンプ場 四万十川のほとりの無料キャンプ場。」

無料ってどんなとこだろ。

Googleさんに任せて進む。

何もこんな道通らないでも程々の道で良いのにわざわざ誰も通らない様な細道に案内される。

地図で見るとほんのちょっとのショートカット。

今のショートカットは意味があったんだろうか…。

やっと広い道に出たと思ったら到着。

おっ!

良さげ。

四万十川のほとりに張れるなんて最高だな。





薪が売ってる。


売ってるというか、協力金として金額はいくらでも構わないので宜しくお願いしますだって…

凄い!

良心を試される。

自分だったら、最低300円は入れるなあ。




スェーデントーチ(ウッドキャンドル)まである。

こちらは協力金500 円以上お願いしますって
これネットで良い値で売ってるよ。

これってこの上に直接鍋を載せてジンギスカンとか出来るんだよねえ。

もはや良心の塊。


炊事棟もシンプルながら綺麗。

そしてトイレが最近建て替えた?ってぐらい新築の匂いがして綺麗だった。

此処でキャンプも有りだけど今日から珈琲屋に居候だから。見るだけ。

この堰なんてやれば絶対に釣れそう。


天気も劇的に回復して天まで抜ける様な青空に。

あまりにも気持ちいい場所なのでわざわざ荷物を降ろしてバーナー、コッフェルを出して珈琲を淹れる。



四万十川を眺めながら飲む珈琲は最高だ。

そして昨日買ってたオールレーズンを発見!

おー!買ってたの忘れてた。

昨日の俺でかしたぞ!

至福の時間。


このまま天気が良いうちに四国カルストに行ってしまおう。


チャンスを逃すと山の上はいつも雲の中だ。

出発!

鬱蒼とした杉林を抜けて県道19号窪川船戸線を上がって行く。


おお〜。絵に描いた様な沈下橋。



四万十川の沈下橋が見えるとこでバイクの写真を撮る。

ツーリングライダー憧れのシーンだよね。

それを今まさにやっているんだよな。

こんな青空の下で。

贅沢な時間だ。

時折現れる沈下橋を横目に山をぐんぐん上がって行くとありゃっ。

コーヒー7不思議が現れた。

あっ!そうか。県道19号って珈琲屋に面した道だったんだ!

昨日は雨の中。津野市街から国道197号で来たからわからなかったよ。

既にお客さん?が3人入ってる。

バイクを横付けしたら凄く視線を感じる。

なんかニコニコしてるなあ。

私「おはよー。天気が良いから四国カルストを今のうちに見て来るよ。」

3人のお客さんは女性陣。「え〜良いなあ。」だって。

兄「これ弟。」

女性陣「へー旅人ー?」

軽く会釈してそんなやり取りを横目に挨拶だけして立ち去る。

後から聞いたら現役の※地域起こし協力隊の人達だったみたい。

(※地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年です。)


思えば兄もこれで13年前に津野町に来たんだよねえ。


珈琲屋を起業して良く此処に根付いたよねえ。


俺は相変わらず根無し草なのに…(笑)



根なし草は走る。鼻歌を歌いながら。


♪「根なし草はどこ吹く風サヨナラは鼻歌ついで…」


♪「何処まで行けばいいのかなんて誰にも教えて欲しくないのさ…」



ぐんぐんと標高を上げて行く。

10年前は大雨の直後で道に何本も沢が横切り落ちた枝葉がいっぱいだった道だな…。

今回は走り易いぞって思ってたらなにやら風が強くなってきて天狗高原に着くと物凄い吹きっさらし。

風は中々写らない。

実はこの時バイクを掴んで無いと倒れるかと思ったほど。




遮る物が無い四国カルストの稜線は暴風だった。

こんなに天気は良いのに恐怖感を覚えるほど。




バイクを降りて撮影してバイクが風に倒される前に戻り跨がる。


怖ええ…。



怖いけど撮りたい!

こんなに四国カルストが晴れてるタイミングも中々無い。


風が強くて跨がったまま撮る。

一瞬ハンドルを離そうもんならそのまま立ちゴケだよ。

左手でハンドルを押さえ。

右手でスマホを持ちシャッターを切る。


執念の撮影。


激写!


道路から落ちると放牧された牛が逃げない様に電流柵または有刺鉄線が待っている。

一人電流デスマッチ!


姫鶴平から地芳峠辺りに抜ける道なんて真っ直ぐ走るのも難しい。


3速で風に煽られ2速!!

ブンブン回転数上げながらジャイロ効果?で乗り切る。

それでも道から落とされそう。



景色は凄ごいんだけど。

これはもはや生き残りをかけた戦い。

どうしてもバイクを入れたくて降りる。


おし!撮った。

四国カルストを脱出しよう。

森林帯に逃げこむぞ!




いやー。

怖かった。

さっきの風は中々無い経験だ。

高知から愛媛へ県境を越えた辺りで休憩。

さてとどうすっかあ。

風が強いから標高を下げよう。

舗装林道を延々と下る。

梼原町を抜ける。

あっ!吊り橋。

沈下橋よりむしろこの辺りでは珍しいかも。




かなり老朽化してて板も抜け落ちてしまってて通行止め。

後から頑張って調べたら梼原町初瀬本村の県道26号にある初瀬橋。1938年完成だって…

そりゃぁ朽ち果てるよねえ…。

そのまま走ると国道439号。有名なヨサクだ。







やれやれ。この狭さで国道だからな。


また吊り橋だ!


通り過ぎたけどバイクを停めて歩いて戻る。





赤い吊り橋。

今度のは金網タイプ。

宗海橋。1968年完成。

今度のは渡れそう。

よし!行ってみよう。


おお〜!素晴らしい。


檮原川のほとりに石垣があり段々畑の名残りかなあ…。


限界を突破してしまった。

限界集落なのか?

人っ子一人歩いて無いし。

バイクを停めてても誰も通らない。


そのままヨサクを走って脇道へ。

下津井橋と言うメガネ橋。

かつての※森林鉄道の跡らしいね。


※下津井にあった佐川事業所には、共同の炊事場、大浴場などが完備され、最盛期には約60世帯、200人以上のひとがいた。この事業所と下津井貯木作業場間4,100mが、高知県で最後まで残った森林軌道である。昭和42年3月25日に終山式が行われ、機関士がディーゼルカーに酒をかけるセレモニーを最後に軌道も姿を消した。

 昭和15年から伐採がはじまった佐川山国有林は、モミ、ツガの天然林だったが、スギ、ヒノキが植林された。

 払川と檮原川の接するところにかかる下津井のめがね橋は、鉄筋コンクリート造りの三連アーチ橋で、昭和14年に完成した。建設には朝鮮半島から労働者も来て、原木やかずらを縄で縛って組んだ粗末な足場で作業をしていたという。現在でも地域のシンボルとして親しまれている。


(↑調べたらこんな歴史が…自分の行った所が気になりだしたらとことん調べるから全然ブログが進まない。)


ずっと走ってもうすぐ14時。


お腹空いちゃったよ。


やっとヨサクから土佐街道381号に接続。




やった〜道の駅だ。

御飯食べれる。


道の駅 四万十大正。






お腹が空き過ぎて真っ先に目に付いたこれを注文。

私「うなぎの石焼きまぜ御飯下さい。」

店員さん「うどんも付けますか?」

私「ん?うどん付きもあるの?じゃそれで。」

これが中々の逸品で熱々に焼かれた石焼きの丼ぶりに、うなぎと高菜と海苔が乗ったご飯。そこへ出汁をかける。

「ジュー!!」

お茶漬けみたいになるのかと思いきや出汁の量が絶妙で瞬時に蒸発して立ち昇る出汁の香りを楽しみながら熱々の丼を混ぜてハフハフ掻き込めば濃厚で脂の乗った鰻に高菜のシャキシャキ感。海苔の風味も相まって絶妙な美味さ!!

最高に美味かったよ。

良く考えたなあこれ創作丼にしてはあっぱれだ。



そろそろ珈琲屋に戻ろう。

居候させて貰う身だから何かお土産でも…。

窪川の辺りでスーパーに寄る。

津野町に住んでる人に隣町で作ったお米をお土産に買う。お米なら無駄になるまい。

やばい重い…。キャリアが折れるかも。

帰路に通った道が朝も中土佐から走ってた国道56号。

ずっとぐるぐる廻って一周してきた感じだ。

中土佐の海から高知の山奥を走って一瞬愛媛も跨ぎまた海側に降りて来てさらに山を上る。

早起きしたから睡魔が襲って来た。

朝から190Km走ってコーヒー7不思議にやっと帰還。



「ただいま〜。すっごく今眠くてさ。目が覚めるコーヒーちょうだい。」って頼んだら。



一番好きなアイスコーヒーが出て来た。

このアイスコーヒーがね。本当に目の覚める旨さで眠気が一気に吹き飛んだ。

私「四国カルストがさあ超強風で…あそこって道の下に落ちる人とか居ないの?」

兄「あそこって本当に危ないから直すらしいよ」

兄「こっちも凄い強風で軒先のテントが飛びそうだったんだよ。こんな事は中々無いからこんな時に四国カルスト行ってて大丈夫なのかって心配してたんだよ。」

そうだったのか…。

無事に帰ってこれて良かった。

凄い日に行ってたんだな。

どうりで命懸けだったわけだ(笑)

夜はお刺身を用意してくれてた。

山だけど30分走れば海だからね。

海の幸も手に入れ易い津野町だ。

そして高知と言えばカツオ。

カツオと言えばこの辺りは藁焼きのカツオのタタキ。

これが本当に格別な味!!

もはや横浜で買う冷凍のカツオなんて食べれなくなるのである。

「10年分の話しを一晩では語り尽くせないから明日も連泊だね。」

明日は何しよう?

気の向くままで。


つづく。