夜が開けたら天気が悪い。

夜中も時折雨音がしてたしなあ…。

それでもテントから這い出したらプライベートビーチの様な海岸は開放感いっぱい。


入り江だし波も穏やか。

浜辺を朝のお散歩がてら昨日は偵察していない右側へ歩く。


海岸右端の辺りに小川の流れ込みがあったのか!

流れ込みは海底に変化が出来るし汽水になるし魚が居るんだよなあ。釣りをするべきか。

でも朝イチ釣れたら魚を持って走るのか?って問題もあるからやめておこう。

テントに戻り際にまたうす気味悪い物を発見。

位牌が二つ防波堤に立て掛けてあった。

昨日見つけた枯れたお供えの仏花と言い。

何か有るんだろうなあ。海に散骨でもしたのかもなあ。

ある意味。テントを張る前に気がついたら張るのやめただろうから張った後に気がついて良かったのかも。

少し不気味を除けばここは良い場所だよ。

夜が明けてしまえば幽霊が出ない事も判ったしね(笑)



朝からまた焚き火。

昨晩から焚き火してるからだいぶ周りの焚き火跡も片付いて来た。

燃えそうな消し炭はみんなこちらに運んで灰になるまで燃やしきる。

浜辺の美化委員長。

周りの流木もだいぶ減ったかも(笑)

焚き火してたら雨が降って来た。



おユキ三度笠の出番だ!

そしてテントの前室の覆いを雨除けのタープにしたいなとポールになりそうな棒を探しに行ったら浜辺に長い竹が転がっていた。

こんな丁度良い物が良くあったな…。

これを高さを合わせながらノコギリでカット。

素晴らしい!

オーダーメイドの様なポールが出来上がる。




残ってたロープを繋ぎ合わせて石で固定。

自画自賛!!

前室の軒下から雨に濡れずに焚き火を見守れる。

流木を燃やしきり雨が止んだタイミングで撤収だ。

竹はこれからも活用しようと旅のお供に。

新しい仲間。竹夫と命名。

固定もバッチリ!

すさみ町方面へ走り出してすぐの昨日から気になってた道の駅 イノブータンランドすさみに寄る。


イノブータンランドだって(笑)

このなんとも言え無いキャラクターデザインが
昨日、温泉へ向う時にぷぷぷって笑ってしまったんだよねえ。

どうやら、すさみ町の名物がイノ豚料理らしいね。


この道の駅で顔を洗ったり。

トイレ行ったり。

水は普段はボトルに1.4リットルしか持ち歩いて無いので焚き火で煤けた手も思い切りここで洗う。

真水が使えるってのは有り難い。




この辺りの国道42号はしばらく海ギリギリを走れる。奇石、奇岩が多くて変化がある海岸線は楽しいツーリングとなった。

白浜町。田辺市。みなべ町。印南町と海岸線を走り抜け昼過ぎには御坊市へ。

お腹空いたタイミングで昭和の香りがする食堂を発見!!


きっとこう言うところは美味いに違い無い。

メニューはテーブルには無くて入った所に書いてあるのだけらしい。



うーん。

中華そばセットAで!





中華そばセットA650円。

ラーメンとチャーハンにサラダがついてこれは安い!

そして食べやすいさっぱり醤油系。

もうこの辺りは和歌山ラーメン?

シンプルイズベスト。ハズレ無き旨さだったよ。

御坊市で洗濯も済ませてから行こうかな。

便利な時代だコインランドリーもグーグルさんに聞けば連れてって貰えるんだから。




今日は洗濯が終わったら和歌山市街まで走りビジネスホテルに泊まる予定だ。

いよいよ長居した紀伊半島を出る時が来た。

最後の夜は街に飲みに繰り出そうと密かな計画を立てた。

幸いにも5200円の安めのビジネスホテルを予約出来た。

たまには宿に泊まらないとバイクのUSBだけじゃLEDランタンやモバイルバッテリーの充電が追いつか無いしね。

御坊市から和歌山市街までは1時間半ぐらいで到着。

あれ?お城が近くにあるぞ。

本日のお宿スマイルホテル和歌山。軒下にバイクが5〜6台置けるスペースがあるのは有り難い。

たまたま同時に到着した方が荷物を降ろしていたハンターカブで四国をバイク遍路として廻って来たとか。

此方は和歌山を出たらフェリーで徳島に渡る予定。

四国から帰る人。これから行く人が交差するのが和歌山なのかも。





野宿からのホテル泊。

変り身が凄い。 

飲み屋で焚き火臭い奴だと思われ無いようにシャワーで証拠隠滅だ。


夕焼けがとても綺麗だった。

一息ついたら飲みに行くべし!

外に出て見たらここって和歌山城が目の前なんだねえ。

ゆっくり見たい気もするけど先ずはビールかな。

何も考えずに値段だけでホテル決めたけど繁華街からは遠いって事に気が付く。

ここは官庁が多い辺りの様だ。

ホテルから少し歩いた所に本まぐろ、地魚、地酒って暖簾が出てた居酒屋さんに入る。

中には水槽があって魚が泳いでたり、和食屋さんに近い居酒屋さんの様だ。



先ずはビールを頼んでタッチパネル式のメニューを覗く。

お通しを食べながらメニューを見るも。

ほ〜。本マグロの盛り合わせ2600円〜とか良い値段だねえ。和歌山と言えばマグロらしいんだけど一人だし遠慮しておこう。


生タコの刺し身。

黒豚のモヤシ炒め的なやつ…。


自家製さつま揚げ。

どれも美味しいんだけど単価が高めだから次行こう!

生ビール3杯。ツマミ3品でまあまあのお会計だった。



ほろ酔いでもっと賑わってる辺りへ歩く。


和歌山城のお掘りに夜景が映り込み良い感じだねえ。


ライトアップされたお城が見える!




なにやら妖しげな通りに出た。

スナックや一杯飲み屋がたち並ぶディープな通りだな。

ちょっと入る勇気は無い。

「一見さんお断りだよ。」とか言われそう。


さらにほっつき歩くと気になる看板が。

「うなぎ釣り?」


誰も居ない店内に生け簀があって、沈められた数個の塩ビパイプには満員御礼でウナギ達が顔を出している。

これってさあ。昔、夜店で見たウナギ釣りの店舗型?

めっちゃ気になる。


釣り上げると此処で捌いて蒲焼きにして食べれるシステムの様だ。

奥に戸があってその奥が座敷。

そこでウトウトしてる、おじちゃんに声をかけた。

私「すみませーん!ウナギ釣りってまだ出来るんですか?」

おじちゃん「出来ますよ!やりますか?」

私「やります!」

竿が500円、800円、1500円とあり糸の強度が違うとか。

私「500円の竿でも釣れる人は居る?」

おじちゃん「う〜ん…。」

きっとかなり厳しいんだな。

私「先ずは500円の竿でやってみる。」

おじちゃんが塩ビパイプを全部、水から引き上げてウナギ達を泳がせる。

おじちゃん「ほら!オマエ達、仕事しろー!」

ギャハハ!ウケた。

蛇使いならず。鰻使いだな。


500円の竿を手渡されコツを伝授される頭の後ろ辺りに引っ掛けて直ぐに抜かず。

充分に泳がせて動きが止まったら引き抜くと良いらしい。

カエシの無いトリプルフックに糸は0.1号ぐらいでは無いのだろうか?

引っ掛けるのは訳なかった。

「かかった!」

おっとっと。

まだまだ泳がせてから。

これ面白いなあ。

動画撮りたい。

スマホを出して片手で撮影しようとしたら…。

「バシャっ!」

切れたよ…。

おじちゃん「ハハハ。そりゃぁ撮影しながらなんて無理だよ〜。」

私「難しいね。これ糸は何号ですか?」

おじちゃん「これ絹糸だよ。もう中々手に入らない。的屋さんが売ってくれって来るぐらい。もう手に入らないから絶対に売らないけど。」



悔しいなあ。

財布から500円玉を出してもう1回!

おじちゃん「800円の竿を使わせてあげるよ!」

私「えっ!本当に!ありがとう!」

800円の竿は絹糸が2本になっていた。

なるほど。あくまでも絹糸なんだね。

おじちゃん「ナイロンなんて使ったらさ全部直ぐに釣られちゃって商売にならないよー!」

私「そうだよね。鰻も高くなったしねえ。」

しばし、おじちゃんと鰻談義で盛り上がる。

私「昔さあうちの方でも江ノ島ってとこで夜な夜なヤ◯ザな人達がカーバイトランプつけてシラスウナギ(ウナギの稚魚)を掬ってたよ。」

私「シラスウナギが取れなくなったらしいね。」

おじちゃん「そうなんだよね。もうどんどん高くなってる。」

おじちゃん「たいして儲からないしもう辞めても良いんだけどさあ。辞めたらこの歳で雇ってくれるとこ無いからやってんだよ(笑)」

私「そうなんだ!(笑)でも続けて欲しいなあ。」

おじちゃん面白いなあ。

「かかったよ!」

今度こそ。

「バシャっ!」また切れた。

はい!もう1回!

また500円で800円の竿を借りる。

鰻の野郎。警戒しだした。簡単に引っかからなくなって来たけど。

絶妙な角度で引っ掛かける!

「バシッ!」

おじちゃん「お兄ちゃん引っ掛けるのは凄い上手いよねえ。」

ま…まあな。

鰻を泳がせながら、今までの釣り歴や此処までの旅の話しを語る…。

鰻の動きが止まった!今だ!引き抜くと糸に団子の様に絡みつき。また切れた。

惜しい!もう一歩だったのに。

ラストだもう1回だけやる!

いよいよ鰻が警戒マックス!紙一重で針を交わす。

私「これ。釣れる人居るの?」

おじちゃん「居る居る!この前入れた鰻もみんな釣られちゃって、これ昨日新しく入れた鰻だよー。」

「バシっ!」

おし!かかった。

今度はじっくり行くよー!

散々、鰻の動きに合わせて竿を操り。

今だ!

おし!

「バシャっ!」

切れた(笑)

ダメだった。

私「おじちゃんありがとう!面白かった。」

おじちゃん「ごめんねえ〜。釣れ無くて。」

私「良いんだ!面白かったから。」

私「一緒に記念撮影しよ。ブログにあげても良い?」

おじちゃん「良いよ!良くわからないけど宣伝しておいて!」

「カシャ!」



最後はおじちゃんに見送られてお店を後にするのだった。

いや〜。釣れなかったのに。

2000円分の楽しさはあった。

そりゃぁ鰻食べたかったけどさ。

まあいいさ。

また挑戦したい!

おじちゃん「今度はさ。始めから1500円の竿がいいよ!」

私「そうだよねー(笑)また来るね!」


裏道に入ったら良さげな大衆居酒屋が。

此処で飲み直してホテルに戻ろう。


俺の好きな感じの店だ。



ウツボもサメもあるなんて…。

無難に鰯刺し身。

気取らない感じで良いね。


そして玉子焼き。

こういうので良いんだよねえ。



「富乃宝山とお水も下さい!」



食べたい物はいっぱいあったけど。

お腹いっぱい。


サクっと飲んで…

トイレ行って帰ろう!

はじめからこの店が良かったかも…。

ホテルまで歩きながら思った。

凄い遠くまで歩いて来てたんだな。

無事に帰れたのかな?

朝起きたら帰れてたらしい…。

楽しい夜だったな。

たまには街も良いね。

つづく。