まだ誰も起きて無いキャンプ場。目の前の清流で。昨夕の雪辱戦だ。

昨日のは絶対にアマゴだった…。もはやウグイでもアマゴになる。逃がした魚はヤマメにもイワナにもなる。

しかし意気込んでルアーを投げるもさっぱり。



今朝も撃沈だ。

どうも旅に出てから釣り運は無いらしい。

まあ何も調べて無い釣り場で場当たり的な道具で闇雲にやってもやはり釣れ無いんだな。

何と無く神奈川の渓流みたいに魚もスレて無くやれば入れ食いかと思ってた。

朝から残りの薪で焚き火。

朝からやる焚き火ってのんびり旅でしか出来ない贅沢な時間だ。

燃え尽きるまでは出発しなくていいやね。

この間に本日の作戦会議。

夜から確実に天候が崩れるなあ。いよいよ雨かあ。
更に翌日も雨マーク。

宿を探すべきか?

キャンプ場のバンガローとか。

ツーリングマップルと睨めっこする。

実はここから奈良県の池原ダムに上りバス釣りの聖地でバスを釣ると言う夢が一応はある。バス釣りをやった事がある人なら知っているはず。池原ダムは日本有数のバスポンドだからねえ。

むむむ。


「下北山スポーツ公園。ダム直下の広大な敷地にある施設充実。」

ツーリングマップルのこんな記載を見てググる。

おおー!この施設。ライダーハウスプランなるお得なプランがある。屋根付き駐輪場も有り。温泉も入れて。バンガローに泊まれ2500円。

これだ!早速、電話で確認すると空いてる。

予約完了!

ツーリングマップルとグーグルさんの連携はかなり使える。

これで今日は安心だね。

ゆっくり焚き火してから向かおう。

昨日夕方からやって来たライダー。

少し離れた所に張ってたから声かけなかったけどバイクはGB350Sかな?

キャンプ映えするバイクだな。

それにしてもテントから出てる煙突が凄い。

テント内に薪ストーブか何か有るんだろな。

さあぼちぼち片付けて出発しないと。



炊事場で昨晩使った鉄板などを洗おうとしたら、後から来た御婦人がこっちは「お湯が出るよ!」とお湯の出る蛇口を教えてもらう。

御婦人「今、電源も入れたから!」

私「お湯が出るなんて!ここのキャンプ場は設備良いですよねえ。」

御婦人「そうなの!だから毎年2泊で来るのよ。温泉もあるし。」

私「そう言えばキャンプ場に入って来る辺りに焼き鳥、おでんって書いてあるお店あったけどあそこは、やってるんですか?」


御婦人「あ!あのお店。居酒屋さんで夜はやってて、凄く美味しいの!毎回一度は行くの。」

私「え〜!そうだったんだ!行けば良かった。」

私「連泊して今晩行きたいぐらい。」

御婦人「今日は確か休みかも。おでんも湧水で炊いててね〜凄く美味しいのよ〜。」

うう…。食べたい。

熊野おでんってどんな、おでんだろ。

こんな山奥でそんな居酒屋があったなんて…

次回は必ず行こう。

そう心に誓い撤収。





のんびり出発!

川沿いを快走!

山の景色が気になり直ぐに停まる。

昇仙峡みたいな景色だな。


花崗岩かなあ…


気になったら直ぐに停まれるのがバイク一人旅の良いところ。



橋があっても停まる。


このアングルとかどうだろ…とか奥行きを出して旅感をとか…。

のんびり撮影。

一人旅って自己満足の極地だよね。

下を覗き込めばかなりの高さ。



うわああ〜怖い……!

ア◯コがすーっとする。

もうすぐ奈良県に入るのかなあ…。

川を間近に見たくて脇道へ。

日の当たる斜面で山菜採りのおじさんが何か採ってる。

私「ワラビ採ってるんですか?」

おじさん「そう!ワラビ!」

そうか。もうそんな時期なんだね。


深そうな川だね。








絶対に大イワナとか居そう。


でも降りるのは命懸けだから遠慮しておこう。




滝だ!


名も無き滝なんだろうけど。


結構なスケールだな。

歩を進めれば川の様な湖の様な流れに。


どうやらこの辺りは瀞峡(どろきょう)って言うらしい。

観光遊覧船なんかもあるみたいだ。


桜が見事だったから立ち寄った道の駅 おくとろ


人かげもまばら。




凄いな。

見る者を圧倒するかの様な桜林だ。


桜が咲くタイミングで来れたのはラッキーだよなあ。

桜咲く広場も独り占めの様相だ。


仕事を辞めて無かったらこの景色も見れ無かった。

やっぱり絶妙なタイミングで辞めたんだ。


「自由って素晴らしい〜!!」

って自己洗脳。

正当化…。

良い子は真似しちゃダメ。



眼下には奥瀞峡。


桜の散策道をゆっくり歩く。


えっ!ええ〜!!

いつもの仲間達が何故居る!!



これは!!

ちょっと驚いたぞ。

何故ならほぼ同じ光景が頭に良く浮かぶんだ。

森の仲間達が分け隔て無く。仲良く切り株に腰かけて焚き火してる風景。

自分の脳内で描く最も平和な世界。

それが現実に目の前に突然現れた。

自分と同じ世界感を持った作家さんが居たんだなと静かな感動を覚える。






幻想的な美しさで我を忘れそう。


鯉がいる。

桜吹雪のカラス鯉。

山紫水明。

桜花爛漫。

儚くも。待ち侘びた春に輝く。

桜に酔いしれど腹は減る。



隣接するレストランで昨日から食べたかったカツカレー。

花よりカレー…。

桜を見ながらのカレーは美味かったよ。


池原ダムまで後僅か。

あまり早く着き過ぎてもチェックイン時間前だしなあ。

わざわざ本線から下り寄り道。



ここは池原ダムの下流に位置する。

北山川なのか…

七色貯水池の1部なのかダムの様だし川にも見える。


この辺りだってブラックバスは居るのでは?



ちょっとルアーを投げてみる。

足元を見ると水底に何か居る?

ツチノコ!?


引き上げて確認すると豆科の植物のサヤだなあ…(笑)


うわっ!今度は猪の頭骨か何か…。


川を下りつつ。

ルアーを投げる。

釣れ無い…。

魚の姿すら見え無いし。


ちょっとした堰まで降りて来た。

全くアタリも無い。

またボウズ。


走り出したらまた桜。

桜。桜。また桜。

あっちも桜。

こっちも桜。

進めど桜。

桜街道を突き進む。

もう1日で一生分の桜を見てしまった感。


桜満開。

桜全開!!

全力で桜!

ちょっと早いけど下北山スポーツ公園に着いてしまった。

ここが広大な施設で。

スポーツ、アウトドア、食、温泉と多目的な施設の様だ。



受付をするとバンガローがある場所はさらにバイクで7、8分走るらしい。

てっきり受付横に広がるキャンプサイトの奥に有るのかと思ってた…。

詳細な地図を貰い山を上がって行く。

さっきの桜並木が眼下に見える。

一気に標高が上がってるね。

本線から分岐して更に山道へ。

つづら折れのコーナーを慎重に走るとバンガロー。コテージ群がある場所へ出た。

指定された番号のバンガローに辿り着いた!

お〜!良いじゃん。


バンガローの裏側には池原貯水池。

島も見える。


サザエさんのエンディングに出て来そうな家だな。

なんと冷蔵庫完備。

石油ファンヒーターも完備。

テーブルもあるし電気スタンドもある。

布団もある!

照明器具もあるし。

エアコンも完備。

そして、この絶景。

近くにはバイク専用屋根付き駐輪場もある。

そして誰も居ない…。

2500円で雨風を凌げ。冷暖房完備で温泉に入れる券も付く。

このライダープランは素晴らしいな。

今晩は此処で雨を迎え討つ。

荷物を置いたら薪拾いと買い出しへ。




バンガロー群を出てすぐの所からダムサイドを望める。




最高だなここ。

値千金。良い場所を見つけた。



下界に下れば桜並木を見下ろせる。


川沿いを下り河原に降りてみる。

河原には大抵こうやって流木が溜まってる場所があるからね。


沢山積んでこう。

そのまま釣り予定なんだけど…

池原ダムって湖岸に降りれそうな場所って無く無いかい?

バスボートも高台からクレーンを使って降ろしてる様だし。

随所にあるボート屋さんに降りる階段しか湖岸に降りる場所が無い様な。

更に調べたら岸釣りは禁止の様だ(笑)

そうだったのか!確かにすり鉢状の地形で危険過ぎるよねえ。

釣りをしてる人を見ても手漕ぎボートなんて居ないし。皆エンジンの付いたバスボートだねえ。

ははは。もっときちんと調べてから来るべきだったねえ。ボート免許取るとこから始め無いと…。

池原ダムでバス釣りをすると言う少年の頃からの淡い夢は呆気なく崩れさるのであった。

まあ諦め無いけどね。

池原ダムの下流の七色ダムの辺りなら降りれる場所が有りそうだ。

行き辺りばったりに下る。

あったよ。降りれそうな場所が。





先ずはトップウォーターから。

往年の名機ティファ ペンシルパップ。

水面をポコポコと飛沫を上げて引くけど出ないね。


もしかしたらここにはトラウト類の方が居るのでは?とカラフトマス用のスプーンで広範囲に引くも全くアタリ無し。


おっ!小魚の群れ。

そして遂にバスの姿も!

小魚が小砂利をついばんで何か餌を食べてるね。

それを追って40センチ程のバスが時折り回遊している。


小砂利をつつく小魚を演出だ。

バッシングシャドでやってみよう。

これも30年前のルアー。

そもそも俺のバス釣り知識は30年前で止まってる。

回遊して来たバスの鼻面に投げると全く無視。

以外にもスレてるんだな。

相模湖のバスと大差無い。

何度か投げてたら警戒されて姿を消した。

そしてまた撃沈。

あ〜あ。本当に遠征したからって簡単には釣れ無いんだねえ。

止め止め!

温泉入って帰ろう。






どうやら池原ダムの北側の国道169号が昨年末から土砂崩れでずっと通行止めの様だ。

ここが通行止めだと北側から来るにはかなりの迂回をして廻り込まないと辿り着けない。

その為に温泉では「来てくれてありがとう」の割引が実施されてた。

通常700円が300円。凄い割引率だね。


だからバンガローも誰も居ないのかも。

温泉も空いていてゆっくり入れたよ。

帰りは周辺で唯一の商店であろうヤマザキストアで最低限の食材を買って戻るのでした。


戻ったら今日も焚き火。

バンガローだから新鮮だな。

テラスから1段降りた砂利スペースに焚き火台を設置してバンガローを燃やさない程度に燃やす。


あっ!柿のタネをぶち撒けた。

1、2、3…。

3秒で拾え無かったからアウトー!残念!




ヤマザキストアで買ったハズレ無き味。田舎のスーパーで迷ったらシャウエッセン。

当然ビールは買ってある。

グビリ。

ブッハ〜旨し。


まだ燃やす物は沢山あるなあ。

こうなってると安心。

これはさつま揚げみたいな物かなあ。

山価格で物価が高くて刺し身も僅かに売ってたけどとんでも無い値段だった。(カツオの柵が2000円超え)冷凍の干物類も微妙だったから、何と無くこれを買って見た。

「生が一番」って書いてあるからそのままワサビ醤油で。


確かに旨いなこれ。

スマッシュヒット!

ってここで遂に予定通りの雨が…ポツリポツリ。

これは本降りになるぞ。

取り敢えず軒下に道具を撤収。



濡れ無い状況で焚き火をのんびり鑑賞は中々オツである。

雨にも負けず燃えてるね。


火が負けて来たら薪を足しに行く。

こちらは安全地帯のバンガローの中から高見の見物!

布団も引いたし。

新しいスタイルの焚き火だ。

こうして今日も焚き火マニアな夜が更けて行くのであった。

明日は1日雨かもね…。

つづく。