猿にも野犬にも襲われる事も無く無事に夜が明けた。




すっごい夜露。

これは直ぐには撤収出来ないぞとテントの中から身を乗り出して前室で湯を沸かしてコーヒーを淹れ今日の作戦会議。

と。テントの前に人が現れる!

びっくり。まだ誰も居ないと思ってた。

管理人さんでは無く地元の方らしい。

突然みかんを頂く(笑)

しばし世間話し。

この施設は町営だけど民間の管理会社に委託されてて早番の女性。遅番の男性二人で実質廻してるんだよとか。

このキャンプ場の立派なコテージの一番の利用者は町内の人なんだよとか。

帰省で町に人が帰って来ると、布団用意したり部屋片付けたり大変でしょ。

そんな時は1棟12000円で借りられるコテージが重宝するんだとか。

布団もあるし。綺麗だし。4人で泊まれば一人3000円だし。

御飯だけ実家で食べて寝る時はコテージへ行って欲しいってなるらしい(笑)

おじさんは毎日ここに新聞を読みに寄るんだとか。

なんだか、のんびりしてて良いね。



みかんを食べてから出よう。

荷物になるから。


向かいの区画から日が差して来たからテントとフライシート。ブルーシートを乾かす。

誰もキャンプして無いから贅沢に使わせて貰う。

これで気持ち良く今日もテントが張れる。

テントがすっかり乾いたので撤収して出発。

海岸線の国道を行こう!

交通量も少ない。

荷物も重いし。本日もマイペースで進む。

このバイクまだ買ってから一度も全開にしていない。何キロ出るかもわからない。

所詮184cc…。飛ばすバイクじゃ無いし。

入り江に点在する丸い枠。養殖かな?

あまり見慣れ無い海の風景に通り過ぎたけど停まって眺めに歩く。

今は廃業してしまったと思われる喫茶とお食事の店に停めさせてもらう。

こんな風に今はもう営業していない街から離れたカフェや食堂、ドライブインを旅のあちこちで見たな。

人生を賭けて一度は開業したと思うんだけど繁栄してたのは何時頃までだったんだろ。

せっかく店を始めても繁栄出来る時間の方が短いのかな…。飲食店も大変だよねっていつも思う。

走り続ければ何時の間にか桜前線に突入した模様だ。

横浜を出発した時にはまだ開花して無かったのに。

桜前線に此方から出向いた形だ。

西に行けば行く程、満開だろうな。





思えばこんなタイミングで旅に出た事は無かったな。

世間では卒業。そして入学シーズン。

新しい職場に新入社員。

世の中の流れを無視して旅をする。

孤独と自由。

少しの不安。

心の隅にはあるよ。「帰ったらどうしようかなあ…って。」


あれれれ。

南伊勢町から紀北町に入った辺りか。



なんだか見た事がある様な看板だな。

わざわざ記念撮影して茨城県阿見町の原付きヤマショ〜さんに送ってあげた。


尾鷲市の辺りから一旦山側に入る。

トイレ休憩で寄った道の駅 熊野きのくに。

店舗は営業して無い様で寂れた感じ。

道の駅の店舗すら廃業しちゃうのかな…(土日祝のみ営業だったらしい。)

裏手には綺麗なせせらぎ。

水深もあって凄い釣れそう。

何か居るかな。

ちょこっとルアー投げては見たけど魚っ気はまるで無し。

まあ良いよ。気分だけで。

そろそろお腹空いて来たね。

道の駅でも何も買えなかったし。

山越えの国道42号がまた海側へと下って行く。

鬼ヶ城トンネルを抜けた辺り。

一瞬通り過ぎた食堂が気になってUターン。






良い感じだなあ…。

思いっきり昭和感…。

カツカレーとか有るかなあ。

カレーかカツカレーでも食べようか…。

まあ入ってみよう。


地元と思わしきお父さん達がコーヒー飲みながら井戸端会議中。

お店の方「お食事ですか?」

私「はい!」

お店の方「今日は良いお刺身が有りますよ!」

私「じゃあそれで!」

オススメされてるのにカツカレー有りますか?
とか聞けなかった。

郷に入りては郷に従え。

刺し身定食でも別に良いんだ…。

これが本当に当たりだった。

物凄くコリコリしたブリがメインの刺身。白身はメジナかなあ?美味すぎる。

付け合わせも白身魚のフリッターにサラダ。

大根ナマスにキンピラごぼう。玉子豆腐。味噌汁。

これで1000円だった…!!

お店の名前がくまの古道なのかなあ?

お店を出て屋号を確認しても何も書いて無い。

尾鷲市側から熊野市に入った辺りにある鬼ヶ城トンネルを出たとこにあったお母さん二人でやってる食堂はオススメだ。


ちょこっと走ったら、あっ!獅子岩のとこか。



前にも寄ったけど。


頑張って想像力を膨らませればあら不思議。

ライオンに見える。

海沿いの国道42号から山に向かう国道311号にバトンタッチ。


いよいよ桜本番。

春は今だとばかりに咲き誇る。

カーブを曲がってもまた桜。

花見ツーリングとなって来た。

川湯温泉に向かってんだけど。

県境が目まぐるしく今は何県なんだろ。

三重だったり。和歌山だったり。奈良だったり。




この辺りの清流が旅ライダーの足を何度も止める。








なんて美しい景色なんだろ。


旅に出ると信心深くなる。

お地蔵さんはいつもここで通り過ぎて行く旅人を見守ってる。

「お地蔵さん旅の御慈悲を安全を…。」


熊野本宮大社のお膝元。川湯温泉郷に入った様だ。

程なく本日のキャンプ場。

おとなしの郷に到着。

朝に連絡したらバイクは専用サイトがあって予約無しで大丈夫って言うからそのまま走って来た。

受け付けで1750円払うと施設内の渡瀬温泉も入り放題だとか。なんて良いとこなんだ。

施設からすぐのキャンプサイトに行き早速テントを張る。

なるほど入口が狭くバイクしか乗り入れ出来ない様な造りなんだね。



渓流から護岸を一段上がったとこにサイトが広がりロケーションは抜群。

バイクサイトは先客1名のみ。

一人を愉しんでそうな雰囲気だからそっとしておこう。(これ大事。)

空は快晴汗ばむ程。

対岸の桜が見事だな。

車サイトの御夫婦がお散歩に来て羨ましがってた。

「この場所、桜が見えて最高だね!こっちは桜が遠くって。」だって。

買い出しがてら対岸の桜を見に行こう!


歓迎されるかの様な桜の乱れ咲き!


圧巻!とはこの事だ。




スイセンと桜。春の狂宴。


今晩の食料品を買いに彷徨うものの。

小規模な商店ばかり…。



まあ大きなスーパーなんてある訳無いか。



最低限の物は手に入りそう…。

ちょこっとした惣菜は買えたんだけど。

でも酒が売って無いからビールが買えなかったり。

グーグルマップでコンビニを探すと近くにヤマザキストアがヒット。

探しているうちに道に迷い、いつの間にやら参道らしき所に紛れ込む。

何やら立派な鳥居が…!


猫も杓子も外人さんも鳥居を目指して歩いてる。


こんなとこバイクで入って良いんだろうか…。

こっそり本線に戻ったらあったぞ!

ヤマザキショップ。


なんださっき通り過ぎてた。

てっきりヤマザキは黄色と赤の看板だと思い込んでたからスルーしてた、きっと景観条例か何かだね。

熊野本宮大社の前だから地味なカラーリングにしてるのかもしれない。

流石に観光地。外人さんが多いね。

バックパッカー風の外人さんがタバコを買って出て来たところ。

お店のオバちゃんも実は英語で喋ってるのでは?と思うぐらい外国人がいっぱい歩いてる。

熊野本宮大社の入口を見をただけでお腹いっぱい。中は入らず(笑)

別に良いんだ。伊勢神宮もスルーしたし。

ヤマザキで無事にビールも惣菜も買えたしキャンプ場に戻る。

ひとっ風呂浴びて来よう。


キャンプ場からすぐの渡瀬温泉へ。


まさかの貸し切り状態だった。




窓から満開の桜も見れて最高この上ない。

これはもう。

風呂上がりの…。



もう今日はバイク乗らないし。

早くもビール行っちゃうよ〜!


キャンプサイトの目の前が清流。

嗚呼…。

こういう所でキャンプしたかったんだ!


対岸には桜並木。



適当に買って来た惣菜でもこの状況ではご馳走となる。




早くもビール二本目。


ぷっは〜。

旨い!

でもペース配分を考え無いと。

ビールは1日4本迄!と決めている。

まだ夜にもなって無いぞ。

残りはお預けだ!

この川ってもしかして釣れるかも。


ちょっとだけやって見よう。



コンパクトロッドに道糸3号。重いスピナー。

こんな太仕掛けに渓流の魚がかかるとは思え無いけど気分だけでも…。


ニゴイでも良いから。

ウグイでも良いから何か釣れ無いかなあ。

何故か白い鯉が行ったり来たりしてる。

アイツが釣れたら凄い引きだろうなあ。


やり始めたら真剣にやってしまった。

こんな最高のポイントは無いだろってとこで、
遂にヒット!20センチ程の魚体。アマゴか?

足元まで来てバレたよ。

ちっ!塩焼きが逃げた。






まあ良いさ。

ままかり漬けがある。


暗くなって来たから今日も焚き火だ。




持ち歩いてたピーマンで天ぷら。


ここにアマゴとか贅沢は言わないからハヤ(ウグイ)の天ぷらでも入れたかったなあ。


今日のメインディッシュはさわらの照り焼き。


炭火焼きで豪華に温まりました(笑)

山で食べる海の魚。

何故か旨い!!

結局は魚って海の魚の方が美味い!!






渓流のせせらぎを聞きながら今日も焚き火をしながらほろ酔いで悦に浸るのであった。

遠くでカエルが鳴いている。

良く眠れそうだな。

つづく。