ライダーハウスKENの夜が明けた。

断続的に激しい雨が打ちつけている。

風も強くなって来たね。

「嵐が来る!」と言ってたテネレ氏の見解は概ね間違っては居なかった。

早朝から京都を目指すと言っていた二兎さんも少し出発を遅らせる様だ。



天気予報では11時迄は雨。その後は晴れるらしい…。

暫くは3人でバイク談義。

テネレ氏。YAMAHAの元開発者だけあって各社の裏事情に詳しかったり。興味深い話しが聞けた。


雨が弱まったタイミングで二兎さんが出発すると言う。もうすぐ9時半。

退屈だから上手くこの時間まで引き留めてたのに(笑)


昨日に引き続き今日も見送り。

此処から先は行く方向が徐々ににずれて行く。

もう会えないかも…。

「もしかしたら九州で再会しましょう〜!」

「行ってらっしゃ〜い。」

テネレ氏は完全に雨が上る迄ライダーハウスに待機すると。

退屈だなあ…。

そうだ!テネレ氏おすすめのヤマハコミュニケーションプラザで時間を潰そう!浜松のスズキ歴史館や茂木のHONDAメモリアルホールは行った事があるけどヤマハのコレクションはまだ見た事が無かったし丁度良い機会だ。

此処から20分ぐらいの様だ。

雨は小康状態。

テネレ氏に挨拶して出発!




Googleナビに連れて来て貰った。

予約無しで見れるのかな?

受け付けのお姉さんに声をかけると特に申し込みは要らないらしい。

合羽をかけるブースが有りますよと教えて貰い入口横で合羽が干せた。これはライダーには嬉しい心遣いだ。

なんだかHONDA車で来て申し訳無いねえ…。

でもYAMAHA車は歴代いっぱい乗って来たからさ。

時間はたっぷりあるゆっくり見て行こう。



これは…!1990年YZF750

鈴鹿8耐でエディーローソンとペアを組んだ平忠彦が念願の初優勝を飾ったマシン。

これはカッコいい!1983年TZ125R(OW37改)

1983年全日本第6戦鈴鹿200Km決勝、スタートで出遅れるも34台をゴボウ抜きにして優勝したマシン。


往年のレーサーマシン群。


スポークホイールのレーサーマシンって鳥肌が立つねえ。


1955年YB-1空冷単気筒2ストローク127cc

通称 黒トンボ

元祖ファミリーバイク1977年パッソルと元祖トレールバイク1968年DT-1の共演。



1984年に発売されたヤマハ初の4輪ATV。

なるほどねえ。それ迄のバギーって3輪だったもんねえ。

1991年YZE750Tスーパーテネレこれは一番釘づけになったかも!

パリ・ダカでステファンペテランセルが優勝したヤツだよねえ。

今見てもむちゃくちゃカッコいいな…。

砂漠の覇王ペテランセルも凄かったな。


往年のレーサーオフロードマシンがあったり。

すっごい綺麗な初期型RZ250。

いま売ったら凄い価格になってそう…。

これまた綺麗過ぎる。初期型のセロー。

これは今でも欲しいなあ。

これは最近のバイクXSR900をベースにレーサーレプリカにしたマシン。マルボロカラーが渋い!これ欲しいよね。買えないけど。

この辺りは近年のモトGPマシンだね。

クアルタラロ…?舌噛みそうな名前だよね。


だんだん新しいマシンへ!



これはロッシが乗ってたやつだっけ?

新製品も展示されてるのかな?

これはきっとコンセプトモデルだな。


傾く前2輪はヤマハ得意分野だよね。


実はヤマハはスーパーカーも売ろうとしてた?

発売しようとしてたけど断念したらしい。


これは買ったら何処で乗れば…。

一通り見たので休憩。



まだ降ってる。

11時からは晴れだったのに、いつしか晴れる時間が13時〜に変わってた…。


こんな日にバイクで見学に来たのは俺だけの様だ。

CB190Xも寂しそうに濡れてるよ…。

腹減った…。

今朝からまだ何も食べて無い。

昼過ぎ。

まだ完全に雨は上って無いけど出よう!



この時、実はやらかした。

出発しようとクラッチを握りエンジン始動!

ギアをローに入れてたの忘れて手をばっと放したら跨って無い状況でバイクが進みあわや転倒必死に傾いたバイクを抑え耐える。

これは無理かも…ゆっくり倒すか?

その時にコミュニケーションホール入り口で見守る家族連れ…。

うう…見てないで手を貸して…心の叫び。

でも倒すのは恥ずかしいぞ!

ここは根性でバイクの持ち易い場所を探る。サイドボックスのバーだ!

両手で持ってたハンドルの右手を放し体を入れ替え左手はハンドル。右手はサイドボックスのバー。

ここから…「グギギギ…!!」

「うおりゃー!!」

起こせた!あぶねー。倒さなくて良かった。

あ〜恥ずかしかった(笑)

やっとコミュニケーションホールを出発。

昼過ぎてた。

幹線道路沿いにあったお蕎麦屋さんに迷わず入る。

本日最初の御飯をやっと食べれる。



やはり静岡来たら桜海老のかき揚げ蕎麦だ。

味わう余裕も無く空腹を満たす。

あ〜やっと血が通って来た感覚だ。

さて。今日は何処まで行こう。

放浪の旅と言っても一応の目標はある。

目下の目標は伊良湖岬まで走りフェリーで紀伊半島の鳥羽に渡り紀伊半島を走る事だ。

でももう今日はその手前の渥美半島辺りまで行けば良いね。

然らば…。

表浜ほうべの森と言う渥美半島の遠州灘に面した海沿いのキャンプ場に予約を入れる。

空いていた。一泊2000円は高い気もするけど払え無い額でも無い。まあ久しぶりだし。行き当たりばったりの野宿はまだ良いでしょう。って事で予約。

昔の俺なら有り得ない選択だな…(笑)

風は強いけど向かう先から天気は回復傾向。

だんだんと晴れ間が見えて来た。

浜松を過ぎて浜名湖。

みかんで有名な三ヶ日町に後ろ髪を引かれた気もするけど「先に進みます!」と心の中で呟いた。

右手に浜名湖。左手に海を望む浜名バイパスに入った。

綺麗だけど強風で飛ばされ無い様に必死。

景色を楽しむゆとりは無かった。

軽量バイクにこれだけ荷物積んでると風に物凄く弱いな…。

良くバイクって軽さこそ正義!とか言うけど。

その軽さが命取りだ。

慎重に行こう。やばくなったら一速落として回転を上げて乗り切る。

潮見バイパス(国道1号)から渥美半島を目指す国道42号へ。

一気に田舎道になったね。

ここは数年前に走った時は土砂降りで道路が冠水してたり大変だったんだよなあ…。

あっ!その時に雨宿りしたローソンを発見!

不思議だよね。

旅をしていてまた同じ道に戻って来ると、普段絶対に思い出せないその時の情景や感情。雨の匂い迄もがタイムスリップしたかの如く蘇るんだ。

今日は見事に晴れて来た。

晴れてるとこんなに気持ちの良い道だったんだねえ。

もう。キャンプ場に着いちゃうなあ…

ちょっと買い物してから入ろうと国道から離脱。市街地に一度出る。

スーパーでビールや食材を買って積み込む。

「横浜から来たんですか!?」

隣りに駐車してた男性に不意に声をかけられた。

「そうですよ。」って微笑みかけるとなんだか嬉しそうだった。確かにこの大荷物で横浜ナンバーだと目立つよな。

荷物満載で旅に出ると良く声をかけられる。

みんな本当はこういう旅をやりたいんだよな!

羨望の眼差しを浴びながら「気をつけて!良い旅を」と立ち去って行った。

まだまだ先は長い…。もっと遠くまで行くんだ。自分でもゴールは決めて無いけど。

走り出すともう表浜ほうべの森キャンプ場はすぐだった。

15時過ぎに到着してしまった。


到着すると管理人の方が出て来てくれた。

バイクはスタンドがめり込まない様にレンガを敷きつめた駐輪場所を教えてくれた。



車両は乗り入れ不可なのでリアカーを借りて荷物を運ぶ。

広々とした整備された綺麗なキャンプ場だね。

雨上りの芝生。

低い場所はまだぬかるんでる。

リヤカーを引きながら一回り。

ここで良いかねえ。


久しぶりに張るテント。

張り方を思い出しながらのんびり張る。


海は見えないけど林の後ろは断崖になっていてその下には海が広がる。

風が強かったから海は大荒れながら林に囲まれてるのでキャンプ場の中はそよ風程度。


エアマットを膨らましたり。

テント泊は中々忙しい。

初日のキャンプから手を抜いた。

薪も300円なら買った方が早いと薪を買う。

焼き鳥も焼いてあるやつを温める程度。

ファミリーキャンプのお父さんみたいに頑張り過ぎない。

これ大事。

明るいうちから飲むビールは至福だな。



焼き鳥の次は鉄板焼。

「ジュー!」美味そう!

このダイソーで買って来たステーキ用の鉄板。

一人焼き肉に丁度良いな。

なんか楽しいな。

ビールが進む。

暗くなって来たら焚き火も本番!

調理用の火から鑑賞用の火に育てる。



日もとっぷりと暮れ。

焚き火を肴にビールを飲む。

結構酔ぱらって来たね。

↑ビールが無くなれば最後の砦だ。

しょうも無い大人だ。



熾火がまた綺麗なんだ…。

小腹が減ったね。

あっ!ポテト持ってた。


炭火揚げって新しい試みだ。

大丈夫出来た。

美味かったよ。

いつの間にかもう22時過ぎ…。

テントに潜りこんで…

何を撮りたかったんだろ…


眠くなって来たな…。

寝るか。

ゴソゴソと煙臭い身体でシェラフに潜り込んだ。

明日もきっと楽しい1日に違いない…

おやすみなさーい。

また明日。

つづく。