仁科港を出発!

◯◯マ君が運転で私が助手席でナビとなる。

私「仁科峠が景色良いのでそっちの道で行こう。」と提案。

県道59号の細い道を仁科川沿いに上がる。

とても釣れそうな渓流が道路の直ぐ脇を流れる。

てんぷら「凄い釣れそうだな。」

てんぷらさんも渓流釣り師。今度は伊豆に渓流釣りに来ても良いかもね。

段々と道は狭くすれ違いも厳しいつづら折れの道となる…。

昼でも暗い鬱蒼とした杉林を抜ける。

ちょっと可哀想な誘導をしちゃったかもバイクだとしても上級者向きな道だね。

それでも、ビビる様子も無く◯◯マ君は進む。

てんぷら「対向車来るかもだから慎重にね。」

私「いつかは必ず対向車は来る!」

私「若い頃、青森の林道でさあ〜お構い無しに突っ込んだら四駆が来てさ慌てて避けたら大転倒!四駆のドライバーに怒鳴れたよ。」

「必ず対向車は来るんだから飛ばしちゃダメだ!って言われてさあ。最後には怪我を心配してくれてたんだけどさ。」

「擦りむいた程度の怪我だったんだけどさ…。」

そうやって身を持って学習したんだ。

最近の若者は始めから飛ばさない。頭がいいな。今の時代はリスクのある事は避けよう。だからな。(昔からそうだったのかも。)

偶然にも少し広いところで対向車と2台すれ違う。

なんて運が良いんだ!運も実力のうち。

そのあと一度だけ対向車と鉢合わせ。

少しだけこちらが下がって回避。

そしてやっと林を抜ければ開放感のある道へ。

「やったー抜けたぞ!」

そこが仁科峠だった。





車を停めて小道を登る。

風は相変わらず強いけど絶景だね。

後からやって来た熟年夫婦と絶景を共感しあう。

御夫婦「昨日は達麿山に登っててねえ…」

聞けば私と同じ横浜から来たと言う。

◯◯マ「せっかくですから2人で写真撮らなくて良いですか?」

御夫婦「え〜!それではお願いしようかしら。」

◯◯マ「行きまーす。チーズ。もう1枚チーズ!」

御夫婦「あらまあ。ありがとう〜!」

…。

◯◯マ君、若いのに気が利くなあ。

なんて良い子に育ったのでしょう。

御夫婦「若いうちはいろいろ見て歩いた方が良いよねえ。」

◯◯マ「そうですね!」

私「そうだ!そうだ!」

自分はもう若く無いけどまた放浪の旅に出ようとしてる事は内緒だけどな。

御夫婦を後にして車にもどる。


さあ行こうか!

広く見晴らしの良い西伊豆スカイラインを快走する。

中々良いペースだな。

「バビューン!」

すれ違うライダー達も天空に延びる様な道を気持ち良く走ってるねえ。

追いついて来た車が居たので譲る意味でパーキングスペースに入ったらその車も一緒に入って来た。

なんだよ…。

同じ所で休みたかったらしい…。

峠道あるあるだな。



僕らの愛車。↑

後ろから入って来たインプレッサも出発したし行こうか。

ここからは、てんぷらさんにドライバーチェンジ。



てんぷらさんゆっくりペース。

昔はタイヤが泣く迄飛ばしてたのに。

安全運転を語りながらゆっくりペースで走る。

てんぷら「◯◯マはスピード出し過ぎだから運転変わったんだ!スタッドレスタイヤだしね。」

良く言うわあ…www。

昔はバイクでも車でも散々無茶したのに…。

俺は何回助手席で死にかけたことか。

まあ歳とったって事だな。




だるま山高原レストハウスにも立ち寄り駿河湾を眺望する。

お腹空いたけど。

ここでカレーライスでも食べるのも有りだけど。

沼津で食べようか。

沼津深海魚水族館にも行きたいって言ってたし。

ナビ通りに水族館を目指したら港沿いの観光街の中にあるんだな!

祭日と言う事もあり駐車場もいっぱい。

岸壁沿いにやっと停めれる場所を見つけた。

むむむ。岸壁から海中を覗き込むとクロダイかスズキか?排水口を出たり入ったり。

波っけがあってはっきりとは見えないんだけど、かなりのサイズだ。

私「ちょっとだけ釣りしても良い?」

〇〇マ「えっ!」

おもむろにコンパクトロッドにリールを取り付けてダイソーのルアー。メタルバイブ7gをセット。

魚影に投げる。

観光客の熱い視線を感じる。

そりゃあそうだ。こんなとこで竿を出すヤツなんてまず居ないだろう。

冷たい視線だった気も。

追わないな…

魚影を見失ったりまた現れたり。

!!

一瞬鮮明に魚体が見えた。

私「なんだよ!ボラじゃねえか。」

本日2回目の釣れないボラ…。

何がスズキだ!こういうのを大ボラ吹きって言うんだ!

がっかり。時間の無駄。釣り止め止め!

御飯食べ行こ。


なんだか、がっちり観光地だな…。

何処も人で溢れてて…

こういう所は苦手なんだ。

海鮮丼も良い値段だ。インバウン丼だ。

堂ヶ島の民宿で最高に美味い刺し身を食べて来たしなあ。

ごちそう疲れだよ。

もっとひなびた所で良いんだよ。

我らは目抜き通りから外れ。

かつては賑わってたであろうシャッター街へ。

ぽつんと一軒だけやっていた。

てんぷら「絶対にここだ!入ろうぜ。」

異論は無い。

望むところだ。

外にメニューは無い。

蕎麦屋ではあるようだ。


出たとこ勝負で戸を引いた。

「ごめんください。」

店主の方が客席に座ってた。

突然の3名様ご来店。

おそらくここは港湾関係の人達の隠れ家に違い無い。

漫画読み放題。

だいたいこう言う店にはゴルゴ13と釣りバカ日誌があるんだ…。

良い意味の雑然。

自家製梅酒何年物だ?

メニューは壁に貼ってあるのみ。

俺達はこう言う店を欲してたんだよ。


ずっと此処に居たくなりそう…。


日めくりカレンダーが良い味出してるね。

おばちゃんにお茶を入れてもらい振り返りながらメニューを凝視する。

何を食べよう。かなり迷う。

てんぷら「カツ丼にしようかな…。」

私「かき揚げ蕎麦は冷たいのも出来るんですか?」

おばちゃん「全部冷たいのも温かいのも出来ますよ。」

私「じゃあかき揚げ蕎麦を冷たいので!」

てんぷら「あっ!俺もそれが良いや!」

ちっ!真似したな(笑)

〇〇マ「僕はかしわ南蛮そば。」

渋いとこ来たな!

じっくり待つ。

おそらくメイン客層の仕事人が祭日で来なくて釜の火も止めてたし、天麩羅鍋の火も止めてたんだろう。

待っただけある。



こうやってぶっかけスタイルで出て来るのは予想外だった。

冷やしかき揚げぶっかけとでも言おうか。

てんぷら「めっちゃ美味そう!」

いってみよう!

「ザクっ!熱っ!美味っ!」

何気に大根おろしも乗ってるしカマボコ。キュウリと冷やしたぬき蕎麦の要素もある。

蕎麦を啜る。

「うん!ばっちり。シャキっと冷水で締めてるね」良い仕事してる。

天麩羅はあちち。蕎麦は冷えてシャキっ!

あたりまえの様でもこれが出来て無い店が多すぎる。

「旨い蕎麦食わしてやるよ!」

そんな心意気があるか無いかなんだよな。

やれ。何処どこ産の蕎麦粉で手打ちだとか。

うちは十割そばだとか。

どうでも良いんだ。

きちんと仕事すれば蕎麦なんてそれで良いんだよ。大衆食で良いんだよ!

観光地過ぎてがっかりしてたら起死回生のお店だよここ。

沼津で迷ったらここだな(笑)

大満足で我らは店を出た。

てんぷら「沼津深海魚水族館は時間無いから行かなくても良いや。」

てんぷら「お土産だけ買って帰ろうよ。」

だね。

もうそろそろ帰路に付こう。

「プシュッ!」

二人に断り一人で後部座席で缶ビールを開けた。

「たまには、こう言う旅も悪くないね。」

ほろ酔いで帰路につく。

さあ!

次はいよいよ放浪の一人旅さ。

おわり。