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初めての方は注意事項に目を通してからお読みください
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父親には、他人には意味不明な習慣が随分あった。
弟の靴を玄関からボイラーの側へ移動させるというのも、勝手な習慣にしていた。
おかげで熱に浮かされてふらついている時も、靴を手に取ろうと玄関の段差を降り、頭からタイルに落ちた。
どんなに体調が悪くても、靴のことしか考えられないのか。
ひっくり返っても靴を放さないというアホさ加減に、母親に怒鳴られていた。
自分の具合が悪いことも自覚出来ないらしい。
結局、この後肺炎で入院することになったのだが、数日してちょっと元気になったらうるさいのなんの。
週刊誌を買いに行くから車が必要だの、風呂に入りたいから家に帰るだの。
まだもって自分の立場を分かっていない発言を繰り返していた。
庭いじりも勝手気ままだった。
午後は雨の予定だというのに、水を撒かないではいられない。
水道代が無駄だし、ホースも片付けないから邪魔くさいのに。
ニキ・リンコ(アスペルガー症候群で翻訳家)も同じ失敗をしていたから、発達あるあるなのかも知れない。
彼女は、学校の水やり当番を雨の日でも律儀に守っていた。
植物には水が必要だとは知っていた。
だが、「水やり当番」と「植物に水が必要なこと」を、繋げて考えたことはなかったらしい。
お当番だから、必ずやらなければいけないとだけ思っていた。
だから、雨の中花壇に水をやり、先生に帰れと怒られた。
父親も、己の水やり衝動の前に、何のために水をやるのかという目的は度々どこかに飛んでしまうのだと思う。
適度な量というのも認識していないので、「(雨が降るなら)水をやりすぎだ」と指摘しても「庭に水を撒くのは正しい」で思考停止しているのだと思う。
酷かったのは、馬糞だか牛糞だかを肥料に使っていた時。
「何やってんの?」
「肥料乾かしてんだぁ!」
2階の窓から怪訝そうに聞く俺に、何も読み取れず陽気に答える父親。
糞を乗せたブルーシートは庭の間の道に天日干し。
いくら日に当てたいと言っても、そこは玄関の前だ。
すると、ちょうど母親の友人が訪ねてきた。
父親は調子よく挨拶なんかしているが、その脇にはウンコがある。
しかも、銀バエがたかっている。
汲み取り便所もなくなったこのご時世、銀バエなんか見たことないのに。
俺は、母親の友人がブルーシートに気づくのではないかとドキドキしていたが、この友人もアスペで間違いなさそうな人なので何事もなく終了。
しかし、父親には勉強にならなかっただろうな。
頼むから、誰か言てやってくれ。
「何で玄関前にウンコ並べてるんですか?」って。
いや、これじゃダメだ。
これじゃあ父親は「それ乾かすと良い肥料になるんだ!こないだ○○行ったら…」とか、聞いてもいない講釈を始めそうだ。
ウンコが迷惑だと全然、伝わらない。
「玄関前にウンコ並べちゃダメですよ。汚いです。臭いです。不快なのでどけてください」
ぐらい言わないと。
ついでに、どける場所はここがいいと教えてやらないと、すねていなくなるか、ブチ切れて相手を睨みつけそうだ。
父親は「ウンコを日向に置く」ことだけを考えていたんだろう。
視野が狭く、かつ複数の要素を同時に考えることが出来ない発達障害。
だから、玄関前とか人の通り道を避けるという条件は、頭になかったのだと思う。
それにしても、家の前に銀バエ集めんなよ……。