性別変更の夫と人工授精の子、父子認定の最高裁決定要旨 朝日新聞
「性同一性障害訴訟」決定要旨 産経新聞
FtM嫡出子問題・続④ 嫡出子と認められFtMも父親に
先の判決を受けて、私もおめでたいこととして記事を書いた。
取り急ぎだったので細かい理由は記さなかったが、寺田逸郎裁判官を始め、特例法に触れてくれたことに驚きと感謝の気持ちがわいてきたからだった。
これまでは、血縁がないことが全てで、特例法については一切考慮されなかった。
性別変更者の法適用については、「法律に別段の定めがある場合を除き、他の性別に変わったものとみなす」とされているのにである。
逆に、民法772条の嫡出推定では、特例法による性別変更の事実を参照し推定されないとした。
これでは矛盾している。
特例法によって血縁を否定するなら、同じく特例法で保証された男性という法的立場はどう捉えるのか。
私は、この答えを知りたかった。
だから、その一歩を示してくれたこと、少なくともまともに議論してくれたことが、素直に嬉しかった。
特例法は断種の法律である。
だから、家族など持つ権利などないと言われた性同一性障害に対し、結婚や子供も認める意見が出てきたのは喜ばしいことではある。
ただし、この判決に両手(もろて)を上げて喜んでいる人たちには、苦言を呈したい。
この状況を「勝てば官軍」と表現しているFtMがいたが、この先も官軍でいられる保証はない。
最高裁といっても、小法廷で3対2の僅差ということは、今後、大法廷(裁判官15人)に持ち込まれて覆る可能性もある。
まだまだ、議論の第一歩を踏み出しただけというのが、個人的な印象だ。
前夫の嫡出子とされる離婚後300日問題などはどうなるのか。
FtMの子が嫡出推定を受けるくらいなら、民法772条を杓子定規に当てはめて、やはり前夫の子と後押しされるのか。
血縁も家族の実態もある現夫を父親と認めないとしたら、その方がもっと不公平だろう。
代理母出産などは妻が母親とは認められないが、実際に認められなかったのは、向井亜紀・高田延彦夫妻だけである。
これもAID男性とFtMとの関係と同じで、わざわざ代理母出産とは言わないのでスルーされている。
同じ性同一性障害で見ても、FtMが父親になれるだけで、MtFは母親にはなれない。
同じ親でも父親と母親の認定の仕組みは異なり、父親は民法772条が中心になるが、母親を定める民法上の規定はないからだ。
「分娩の事実をもって母親とする」という、古い判例に従っているに過ぎない。
これらはやはり不公平と言わざるを得ない。
血縁がなくても親子として認めるということは、依然として出自の問題も残る。
今後も、生殖医療に頼る人は少なくないだろう。
これらを包括的に議論する必要がある。
大谷剛彦裁判官が立法化を求めたように、このような判決だけで生殖医療に関わる子の嫡出認定を続けるのは無理がある。
そして、法が整備されなければ私たちFtMやその子も不安定な状態は続く。
これで全て解決したなどと言うおめでたいFtMはいないと思うが、嫡出子になったところで、法的に他のAID家族と同じになっただけである。
血縁上の父親を知ることの出来ない子供を生み出し、それが子供本人にどう影響するか計りかねている社会で子育てすることになるのだ。
不妊治療に関して、方法や費用などに関する情報は多いが、子供への影響についてはまだまだ情報が少ない。
愛情さえあればなどという綺麗事では片付けられない問題があり、対策が必要な状況だ。
子供がほしい大人の気持ちばかり優先されていて、親になる人間の資質は一切問われないというのはおかしい。
もちろん、性同一性障害者だからといって、必ずしも親になる資質がないとは言えない。
実際、海外のデータでは、同性愛者のカップルに育てられた子供に、他との顕著な違いは見られなかったという報告もある。
典型的な男女のカップルのみを理想とするならば、それは異性愛至上主義の発想だろう。
だが、まだ性的少数者を十分に知らない社会では、セクシュアリティの問題がないわけでもない。
ここでも告知の問題などがある。
ちょうど昨日のニュースで、元光GENJIの大沢樹生の息子が、彼の実子ではなかったと話題になっていた。
私は、この事実は当事者間で受け止める問題だと思っている。
だから、今になってDNA鑑定をしたことも、血縁がなかったという結果をどう受け止めるかも、他人が口を挟む問題ではないと思う。
しかし、こうして公表されてしまうと、私を含め興味本意の意見が多く飛び交うことになる。
大沢樹生と元妻喜多嶋舞は、芸能人である以上、ある程度の詮索はやむを得ないかもしれない。
だが、息子は一般人であり、このような出自に関わる事実を他人に知られる立場にはないだろう。
漏れたのか、大沢自身が公表したのかわからないが、大沢も週刊紙も子供のことを考えていないのが残念である。
この安易な判断に、私は前田氏を重ねずにはいられない。
地元では性別変更した人として知られ、しかしながら男性としては受け入れられていない彼。
男性であると言いながら、戸籍が男性になっても男性として認められない現状。
それを冷静に考えられたのなら、子をもうけるより自身の受け入れに奔走するのが先である。
そんな状況で訴訟を起こし、公に子供の精子提供者を明かしたというのは、親として無責任と言わざるを得ない。
これでは、子供が告知の前に出自を知ってしまうのも、時間の問題だと思われる。
FtMだけが他のAID男性とは違う扱いを受けたという意味では、性同一性障害に対する差別と言っても過言ではない。
だから、性同一性障害も同じ扱いを受けるべきと考えれば、今回の最高裁の判決は妥当だろう。
だが、訴訟を起こした本人の状況だけで言うのならば、そうとも思えない。
子供の出自を公言し、周囲から知らされてしまうリスクをばらまいている人に、果たして親としての資質はあるのか。
そこを問いたい。
★参考
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
法務省:民法772条(嫡出推定制度)について
性別変更した夫、戸籍上の実父に! 民法772条による無戸籍児家族の会
向井亜紀 - Wikipedia
大沢「事実」、喜多嶋は怒りのFAX 日刊スポーツ
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先の判決を受けて、私もおめでたいこととして記事を書いた。
取り急ぎだったので細かい理由は記さなかったが、寺田逸郎裁判官を始め、特例法に触れてくれたことに驚きと感謝の気持ちがわいてきたからだった。
これまでは、血縁がないことが全てで、特例法については一切考慮されなかった。
性別変更者の法適用については、「法律に別段の定めがある場合を除き、他の性別に変わったものとみなす」とされているのにである。
逆に、民法772条の嫡出推定では、特例法による性別変更の事実を参照し推定されないとした。
これでは矛盾している。
特例法によって血縁を否定するなら、同じく特例法で保証された男性という法的立場はどう捉えるのか。
私は、この答えを知りたかった。
だから、その一歩を示してくれたこと、少なくともまともに議論してくれたことが、素直に嬉しかった。
特例法は断種の法律である。
だから、家族など持つ権利などないと言われた性同一性障害に対し、結婚や子供も認める意見が出てきたのは喜ばしいことではある。
ただし、この判決に両手(もろて)を上げて喜んでいる人たちには、苦言を呈したい。
この状況を「勝てば官軍」と表現しているFtMがいたが、この先も官軍でいられる保証はない。
最高裁といっても、小法廷で3対2の僅差ということは、今後、大法廷(裁判官15人)に持ち込まれて覆る可能性もある。
まだまだ、議論の第一歩を踏み出しただけというのが、個人的な印象だ。
前夫の嫡出子とされる離婚後300日問題などはどうなるのか。
FtMの子が嫡出推定を受けるくらいなら、民法772条を杓子定規に当てはめて、やはり前夫の子と後押しされるのか。
血縁も家族の実態もある現夫を父親と認めないとしたら、その方がもっと不公平だろう。
代理母出産などは妻が母親とは認められないが、実際に認められなかったのは、向井亜紀・高田延彦夫妻だけである。
これもAID男性とFtMとの関係と同じで、わざわざ代理母出産とは言わないのでスルーされている。
同じ性同一性障害で見ても、FtMが父親になれるだけで、MtFは母親にはなれない。
同じ親でも父親と母親の認定の仕組みは異なり、父親は民法772条が中心になるが、母親を定める民法上の規定はないからだ。
「分娩の事実をもって母親とする」という、古い判例に従っているに過ぎない。
これらはやはり不公平と言わざるを得ない。
血縁がなくても親子として認めるということは、依然として出自の問題も残る。
今後も、生殖医療に頼る人は少なくないだろう。
これらを包括的に議論する必要がある。
大谷剛彦裁判官が立法化を求めたように、このような判決だけで生殖医療に関わる子の嫡出認定を続けるのは無理がある。
そして、法が整備されなければ私たちFtMやその子も不安定な状態は続く。
これで全て解決したなどと言うおめでたいFtMはいないと思うが、嫡出子になったところで、法的に他のAID家族と同じになっただけである。
血縁上の父親を知ることの出来ない子供を生み出し、それが子供本人にどう影響するか計りかねている社会で子育てすることになるのだ。
不妊治療に関して、方法や費用などに関する情報は多いが、子供への影響についてはまだまだ情報が少ない。
愛情さえあればなどという綺麗事では片付けられない問題があり、対策が必要な状況だ。
子供がほしい大人の気持ちばかり優先されていて、親になる人間の資質は一切問われないというのはおかしい。
もちろん、性同一性障害者だからといって、必ずしも親になる資質がないとは言えない。
実際、海外のデータでは、同性愛者のカップルに育てられた子供に、他との顕著な違いは見られなかったという報告もある。
典型的な男女のカップルのみを理想とするならば、それは異性愛至上主義の発想だろう。
だが、まだ性的少数者を十分に知らない社会では、セクシュアリティの問題がないわけでもない。
ここでも告知の問題などがある。
ちょうど昨日のニュースで、元光GENJIの大沢樹生の息子が、彼の実子ではなかったと話題になっていた。
私は、この事実は当事者間で受け止める問題だと思っている。
だから、今になってDNA鑑定をしたことも、血縁がなかったという結果をどう受け止めるかも、他人が口を挟む問題ではないと思う。
しかし、こうして公表されてしまうと、私を含め興味本意の意見が多く飛び交うことになる。
大沢樹生と元妻喜多嶋舞は、芸能人である以上、ある程度の詮索はやむを得ないかもしれない。
だが、息子は一般人であり、このような出自に関わる事実を他人に知られる立場にはないだろう。
漏れたのか、大沢自身が公表したのかわからないが、大沢も週刊紙も子供のことを考えていないのが残念である。
この安易な判断に、私は前田氏を重ねずにはいられない。
地元では性別変更した人として知られ、しかしながら男性としては受け入れられていない彼。
男性であると言いながら、戸籍が男性になっても男性として認められない現状。
それを冷静に考えられたのなら、子をもうけるより自身の受け入れに奔走するのが先である。
そんな状況で訴訟を起こし、公に子供の精子提供者を明かしたというのは、親として無責任と言わざるを得ない。
これでは、子供が告知の前に出自を知ってしまうのも、時間の問題だと思われる。
FtMだけが他のAID男性とは違う扱いを受けたという意味では、性同一性障害に対する差別と言っても過言ではない。
だから、性同一性障害も同じ扱いを受けるべきと考えれば、今回の最高裁の判決は妥当だろう。
だが、訴訟を起こした本人の状況だけで言うのならば、そうとも思えない。
子供の出自を公言し、周囲から知らされてしまうリスクをばらまいている人に、果たして親としての資質はあるのか。
そこを問いたい。
★参考
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
法務省:民法772条(嫡出推定制度)について
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向井亜紀 - Wikipedia
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