FtMにとってのおっぱい。


それは変な存在だ。




FtMの活動家の杉山文野くんが言っていた「おできみたいな感覚」というのが、面白いなぁと思った。


「おできが出来てみっともない」みたいな感覚なんだと言う。


FtMは、生物学的には胸が膨らむことは知っているけど、自分にそれが起こるイメージは持てなかったり、実際起きても受け入れがたい。




まぁ、今の社会では男におっぱいがあったら不恰好なわけで。


世の多くの男性が平らな胸を自分の体と認識しているように、FtMの多くもそれが自分のボディイメージだから、取りたくなるんだろうね。




ただし、胸を取りたいと思わない人はFtMじゃないとか、そういう逆説は成り立たないよ。


性別違和感ってのは、そんな一つでどうこう言えない。


当然、胸を取りたい人がFtMでもない。






で、この自分の体であって自分の体でない感覚で過ごしていると、結構無意識に男を誘惑してしまってたりするんだよね。


俺の記憶だけで複数あるから、相当やらかしてしまったと思う(苦笑)


本当に申し訳ない……




高校~大学時代は一応女子で過ごしてたから、そんなことがいっぱいあったと思われ。


例えば、二人きりで遊びに行ったり、近くで体が触れる機会があっても、こちらには異性という意識がない。


俺が相手にドキドキすることもなければ、相手がドキドキしてることにも気づかない。


嫌悪とかじゃなくて、そんなこと有り得ないと思ってるんだよね。


相手は男、自分も男。


男同士が有り得ないという異性愛の刷り込みプラス、自分が女として性愛の対象になることを、想像だにしていない。




この感覚は厄介よ。


肌の露出も気にしないし、しまいにゃ男の前でも平気で着替えちゃったり。


さすがに裸にはならないけど、普通の女の子が気にするような恥ずかしいというのはないんだよね。






この状態って、結構複雑だと思う。




①自分の身を守るために、女性の体であることを認識する


②周囲の男に気を持たせないためにしっかり距離を置く




本当はこの二つをしっかり実行しなきゃいけないんだけど、そもそも自分が女であると受け入れられないのがFtMなんだよね。


自分の体は確かに女で、それゆえ女に見られる現実があって。


それを受け止めるって、もう、メチャクチャ辛い段階よ……




何か、思い出しただけで哀しくなってきたなぁ(苦笑)。




女の体に迫る現実を受け止めないと危険なこともあるのに、女の体という現実を見るのが何より辛いんだよね。


性同一性障害(FtM)は、体が女だとという正常な判断は出来るけれど、その体は本人には不適切というものだから。




俺らFtMは、みんな女として育てられる。


だから、女の体ゆえに気をつけなければいけないことは一通り教わると思う。


それは、たとえFtMであっても必要なことだと思うんだ。




だけど、きついよね。


だって、女じゃないのに自分を女として見てコントロールしなければいけない。


それって、常に気張ってなきゃいけないってことなんだよ。


俺なんて、ちょっとでも気が緩むと女だってこと忘れてたし(苦笑)




で、女として上手く振る舞えればトラブルはなくなるけど、その平和な状態って綺麗に自分が死んでる状態だったりする。


本当の自分を忘れず、女という現実に対処するのは難しい。


なぜなら、ダブルスタンダードの上に一方を支えるのは自分一人だから。


体が女なら皆が勝手に女にはしてくれるけど、男の自分を信じているのは自分一人だけなんだよ。






だから、皆も自信を持ってほしい。


たった一人で自分を支えてきたことを。


体も戸籍も何にもない中で自分を生きてきたことを。




自分はただの思い込みじゃないかって怯えてる奴。


胸を張れ。


それが性自認だ。