就職時に困ること〜戸籍変更前 | 俺、スカートはかないよ

俺、スカートはかないよ

1977年、俺は女性として生まれ、2008年6月27日、戸籍上の性別が男に戻った。 俺の人生が誰かの役に立つように、誰かの苦悩を癒せるよう祈りながら俺の人生を残す

新井光です。

 
 
 
今回は、トランスジェンダーの仕事について、
特に就職するときの困難について書こうと思う。
 
 
 
トランスジェンダーとは、
性同一性障害(GID)や性別に対して何らかの違和感を持つヒトを指す。
 
肉体の性別と、自認している性別が一致してないヒトや、
 
そのことで肉体を自認する性別に合わせるため、
外科的手術やホルモン治療、
改名や戸籍訂正などの法的な手続きをすすめるヒトを、
性同一性障害と呼んでいる。
 
このように書いたのは、
トランスジェンダーの中には、
手術や治療などは望まず、
 
 
性別がない(無性「むせい」)
 
とか、
 
どちらでもある(中性「ちゅうせい」)
 
とか、
 
異性装(自認してる性別の服装)をしておちつく者
 
も含まれるためだ。
 
 
今回は、僕の経験をお話しするので、
性同一性障害のヒトについて、
その中でも、
FTM(身体=女性、性自認=男性)の就職時に困ることについて書いていく。
 
(前置きが長くなってしまった(>人<;)
 
 
 
まず、社会人として初めてやった仕事は、
電話営業の仕事だった。
 
小学生からずっと教員を目指していたが、
大学時代に対人恐怖症になり休学して、
さらに、教育実習でスカートを履かなきゃならないということを知り、
教員になりたいという情熱がしぼんでしまった。
 
ずっと教育に携わることしか考えてなかったから、
企業就職に対する感覚や情報が不足していた。
 
経済的理由で大学を中退して、
就職活動をしようとしたが、
リクルートスーツを着るのが本当に苦痛だった。
 
なので、バイトの延長みたいな仕事を選ばざるを得なかった。
 
 
・制服がない
・服装自由
 
 
まず、これが仕事探しの第一条件になった。
ただ、今後、改名や手術などが控えているから、
休みやすい仕事に就くか、
そのタイミングで転職するかも考えて、
僕は後者を選んだ。
なので、転職回数は多すぎるのだ。
何事も続かないヒトと思われてしまうので、
キャリアアップは到底望めない。
 
 
仕事は選ばなければ何でもあるが、
やはり長く続けたいのでじっくり調べたいものだ。
 
 
が、生活もあるし、
条件に合う仕事はすぐには見つからず。
 
 
なにより、履歴書の記入が苦痛だった。
 
 
まず、名前の記入
割とかわいらしい名前だから、大嫌いだった。
書くのもよばれるのも。
なぜかFTMにはかわいい名前のヒトが多い。
逆に、MTFは男らしい、いかつい名前が多い。
 
 
そして、性別欄の丸つけ
今ではその欄がない履歴書は増えてきたが、
当時は必ずあった。
 
仕方なく、
どちらにも丸はせずに提出した。
 
 
 
そんな履歴書でも採用してくれた職場は、
割と自由な雰囲気で
営業職だから体育会系な部分もあり気にいっていた。
 
男女関係なく働ける職場だったが、
声を出すことが多かったので、
最初はすごく苦痛だった。
 
 
会社がなくなってしまい、
転職を余儀なくされたが、
次の職場もパンツでよかったのと、
あまりしゃべらなくていい環境だったのて、
気に入っていた。
 
ただ、
この会社と同じ業界で
別の会社に面接にいったときに、
 
自分は性同一性障害だから、
男として働かせてほしい、
 
と進言したがダメだった。
不可理由は明かされなかったが、
前例ないので難しいと思います、
と面接で言われたのは忘れられない。
 
 
就職できた会社は、大会社だったが、
部署の統廃合などがあり
スカートを履かなければいけない部署に異動を命じられた。
 
気にいっていた会社だった。
 
でも、それはあまりにつらいので受け入れられず、
コールセンターに転職した。
 
 
その頃からホルモン治療をはじめていたので、
声は男だったが、巨乳は隠せずナベシャツを着て胸を潰していた。
仕事中は常にしゃべるから息苦しかった。
 
名前はまだオンナらしくて、
見た目は男で、
中途半端な過渡期だったが、
人数が多い職場だったのであまり気にされなかった。
 
コールセンターでは私服だし、
バンドマンみたいなヒトもいて、
部活のような雰囲気だったので楽しかった。
多分、セクマイのヒトも結構いたと思う。
 
数年たってから改名をしたので、
職場にもカミングアウトしたら、
すんなり受け入れてくれた。
 
進んだ考えをもった、アライな職場だったと思う。
 
 
ただ、この企業が大事件を起こし、
制服着用が義務づけられた。
僕の事情を知っている上司が、
別のコールセンターへの転籍を提案してくれた。
 
そこなら、
男性として男性用スーツを着て働けるから、
と。
 
そのときまだ戸籍上の性別は
オンナだったから、
そのセンターに残るとなると、
スカートを履かなければならなかったからだ
 
 
 
その提案を受け、
念願のスーツ着用の仕事に就いた。
 
 
長くなってしまったので今回はここまで。
次回からは、
戸籍が変わるまでの過渡期の仕事について書きたいと思う。
 
ではまた!
 
どくしゃになってね!