今日はとても温かくて過ごしやすいですね。
ふと近くを散歩していたら、いい感じの桜が咲いていたのでぱしゃり。
春の陽気も相まってとても雰囲気の良い感じになりました。
暖かくなるだけで気分も明るくなるし、
とても良い休日を過ごしています!
さて、今日、ご紹介するのは
宮下奈都さんの『羊と鋼の森』です。
ひさびさに小説を読みましたが、我ながらとても良いチョイスでした。
平凡な主人公が高校時代に、偶然、ピアノの調律を見たことで
ピアノの調律の世界にのめり込むことになります。
やがて専門学校を卒業して
町の楽器店に就職することになりますが、
ピアノを弾くこともできないし、クラシックをたくさん聴いてきたわけでもないからこそ、
自信をもって仕事に向き合うことができませんでした。
周りの個性的な先輩達や、お客さんである双子の出会いをきっかけに
徐々に自分の個性や、
自分の思いを具現化することができ
1人の人間としても成長していく物語です。
作中では、主人公とビジュアルやファーストネーム等については
ほとんど描かれていません。
しかし、主人公の青年の考えや思い
周囲のとの会話からどんな人物像なのかということが見えてくる
という不思議な構成になっています。
そんな点もとても面白いと思いました。
また、これまでの人生で欲もなく、こだわりも無かった主人公が
はじめて「わがまま」になって
音にこだわり始める姿は
一見、(良い意味で)少年時代に逆戻りしているように思えるのですが、
1読者としては、最も大人に近づいている瞬間のような感覚を覚えました。
「わがまま」という言葉は
どうしても幼いイメージを持ってしまいますが、
本当は、格好良い大人ほど、実は「わがまま」であるのかもしれませんね。
もしかしたら、
プライドや自尊心・こだわり
という言葉に置き換えて正当化しているのではないでしょうか。
音楽という感性で味わうものに向き合い
答えのない仕事に携わるからこその
苦悩と成長と感動を
見事に表現した圧巻の一冊でした。
