いよいよ、家庭教師初日がやってきた。
あれから、すぐに美央からメールがはいって
『ママ、オーケーだって!今度の金曜日はどうですか?って。やった♪』
という返事がきていた。オレはすかさず、
『ちゃんと、勉強だからねー』
とメールしておいた。美央からは、
『えーえーえー、ぶーぶーぶー、はい、嘘です。わかってます。よろしくお願いします。』
という返事がきていて、思わず笑っていた。
金曜日、オレもシフトもなく、美央も学校から直で帰っていたので、オレは夕方5時にお邪魔することにした。
前回のドライブで近くの公園まで来ていたが、家の前まで来るのは初めてだった。さすがにちょっと緊張をして、ドアベルを鳴らした。
するとすぐに美央ではなく、お母さんが出てきた。
「あ、池田さんですか?美央がいつもお世話になっています。」
「あ、いえ、こちらこそ、美央さんにはいつもお世話になっています。」
急にお母さんだったので、ドギマギしながら返事をしていると後ろから
「ちょっと、ママー、私が先に出るからって言ったのにー」
という美央の声がした。
「池田さん、今日はどうもありがとうございます。どうぞ、上がってください。」
「あ、あぁ、お邪魔します。」
美央も外向きの声をしていた。
家は吹き抜けがある割と広い家で、1階はリビングなどの生活空間で、2階に家族全員の部屋があるようだった。
まず、いきなり度肝を抜かれたのはリビングのテーブルにオレの分まで夕飯が準備されていることだった。
「今日、パパ遅いし、ちょっと早いけど、ご飯食べてからゆっくりみてやって欲しいと思ったんだけど、池田さん、お腹すいてますか?」
「あ、はい。」
こう言われて、いいえ、と言える人はいないだろう。
「ごめんね、ママがどうしてもって言うから。。。」
「あ、いいんだよ。」
そういって、オレは言われるがまま、席へついた。
「えーっと、今日はお勉強だからビールはなしね。お茶でいいかしら?」
「はい、あ、どうぞお構いなく。。。」
オレの言葉など聞こえていないように美央のお母さんはせっせと準備している。
「はい、どうぞ。それじゃ、いただきましょう。」
「なんか、こんなに準備してもらって、かえって申し訳ありません。」
オレが謝ると、
「いいのよ、さ、まずは食べて。」
「あ、それじゃ、頂きます。」
そういって、美央とオレは夕飯を食べ始めた。