「あぁ、びっくりした。そういや、津久田さんってこの辺の人だったかもなぁ。」
「池田さん、大丈夫かな?」
「え、何が?」
「だって、まだ誰にも言ってないし。。。」
まぁ、確かにゆりさんと当事者だった竹原くん以外でこの事実を知ったのはこれで津久田が初めてだ。
「でも、仕方ないんじゃないかな?それに隠すことでもない。美央は心配しなくってもいいよ。」
そう言って、また歩き出した。最初は美央を家の近くまで送っていくつもりだったが、結局美央が駅前の本屋に立ち寄ってから帰りたいというので、店の方まで一緒に歩いてきた。
あっという間に店の前まで来てしまった。
「それじゃ、オレ行くね。」
「うん。」
「また終わったら連絡するよ。」
「うん。」
美央はうなずいてばかりで、あまり言葉を発しない。
「どうしたの?」
「あ、いや、なんでもないんです。」
「それじゃ、また連絡するね。」
「うん、バイト頑張ってくださいね。」
「おう!」
オレはわざと少しふざけて返事をしてわかれた。
そして、事務所に入っていくときにメールが入っていることに気づいた。飯田慶からだった。彼とは年末年始のドライブ以来、まともに話していないな、と思いながらメールを見てみると、
『池田さん、見ちゃいましたよ、オレ。なかなかやりますね。』
と書いてある。言っていることは明白だった。飯田もどこかでオレと美央が一緒に歩いているところを見たんだろう。ただ単に一緒ではなく、たぶん手をつないで歩いているところを。。。
これは、きっとすぐに広まるな、とそう思い、そしてわかれる前の美央を思い出した。そうか、彼女はきっと、これが怖いんだな。
実際に竹原に電話し、ゆりさんにお願いしたのも彼女だ、オレよりもきっと怖いんだろう。
『守ってやれるのは守俊だけ』
ゆりさんの言葉が思い出された。そうだ、オレがなんとしなくちゃいけないんだ、美央をこれ以上不安がらせちゃいけない。
それをちゃんと伝えよう、そう思ってオレは仕事に入っていった。