移動を始めて暫らくはお互い会話が無かった。周りをキョ
ロキョロと見渡しながら歩く由紀。そのチョッと後を歩く
僕だった。僕も歩きながら、企画書の構想を考えていた。
そんな折、突然に。
「 ねえ、たかし。」
「 な、なに突然に。」
「 突然って、ずっと黙ったままじゃない。こういう時は
男の人から声をかけるものだぞ。」
「 ゴメン。考え事してたから。」
「 考え事!?由紀が一緒に居るのに!何?それって由紀
の事考えてたの?ちょっとエッチな事とか・・・・。」
「 エ、エッチな事ってなんだよ!?そんな事思ってない
よ!」
「 そうなんだ・・・・。」
「 びっくりさせるなよ。今考えてたのは、新番組の企画
を考えてたの。」
「 新番組?そんな事考えてたの。な~んだ、残念。でも~
女の子と居るんだから、チョッとは考えてよね。この後
どうするだとか。」
由紀の唐突な問い掛けに僕は戸惑っていた。さらに驚きを
見せる事になったのは、気づかないうちに歩いていた先が
チョッとそれっぽい場所だったから。
「 ねえ、たかし・・・・。お互いをもっと知る為にさ、
ここ入ってみない?」
「 ここって・・・・・・。ば、馬鹿言うなよ。これって
あれだろ。」
「 そうよ、ラブホテル。ねえ、どうする?」
「 そんな事できないよ!!俺達まだそんな関係じゃ。」
その言葉に由紀は表情が曇ったように見えた。
「 冗談よ。本気に摂った?・・・・・でもね。由紀はね
たかしだったらいいって思ってるんだよ。」
僕はその言葉に返せないでいた。由紀と僕はその後また暫
らく無言の状態だった。