死をリアルにイメージすることで得られる「絶対的空虚」こそが一番簡単な真理であることを示した。
しかしながら、これだけでは誤解が起きる恐れがある。
一番起きやすい誤解が「その空虚というものは、ウツではないのか。ウツに陥ってしまうと、それこそ人生を悲観し、そして最悪の場合はその悲観によって自殺をしてしまうのではないか。」
といった誤解である。
まず、ウツではない。ウツとは「日常生活に支障をきたすくらいに落ち込んだり不眠、食欲不振などに陥る」状況である。ここで言っている空虚とは、その日常が普段どおりに流れている中での空虚である。普段どおりベッドから起き、普段どおり仕事をし、普段どおり風呂に入り、普段どおり寝る。この繰り返しの中で自覚する「空虚」なのである。「生きていることに意味はない」といって、わざわざ日常を壊すわけではない。そういう状況ではなく、ただただ一切が過ぎ去る流れの中(永遠回帰的な感覚)でただただ静かに感じる「空虚」である。
一般市民は、多かれ少なかれ「未来に夢を持ってその夢の実現のために一生懸命に努力する人生」こそが幸せであると思っている。
ここで言っている空虚はそれとは次元を異にする。夢なんてない。未来なんてない。とはいっても悲観主義でもなく、ウツでもない。ましてや自殺を助長しているわけでもない。そこにあるのは、ただただ一切が過ぎ去る流れのみである。
これが一般市民でも簡単に悟れる「一番簡単な真理」である。
