1年に1度だけ許される、
そんな星の逢引き、星合い。
想い人のいるアナタにお伝えしたい。
腕のない女神、かの有名なミロのヴィーナスが、
自ら腕(かいな)を拡げてアナタを迎える事などあり得ません。
そんな在りもしないリアルを夢想して、
短冊に思いを込めるような他力本願な人、
僕は嫌いです。
まいど、マキシです。
猫科の獣が獲物に忍び寄るイメージで、
愛する人のハートにしなやかな接近を試みる。
そして思いの丈を存分にぶつけぶちまけて欲しい。
今夜は天空に瞬(またた)く星達も、
きっとあなたの味方をしてくれるはず。
もし仮に夜空に星が見えなくても慌てる必要はない。
そんな時は瞳を閉じて、
自分だけの『星降る夜』を思い描けばいいのだから。
己が力で『カササギの橋』を渡って欲しい。
既に意中の人と恋仲にあるアナタ。
愛する人と肩を並べて仰ぐ星空は、
さぞかしロマンティックなものだろう。
1年に1度の逢瀬しか叶わぬ夜空の悲恋と、
今の自分を照らし合わせてより幸せを噛み締める。
・・・なんて甘やかなシチュエーションだ。
星空を見つめる女の横顔は、
何処か物悲しさを湛(たた)えていた。
女の片鼻からぴろろんとコンニチハしている一筋の鼻毛が、
湿り気を帯びた風に誘われてゆらゆら揺れている。
「どうしたんだい?オリ子、七夕なのに」
女は男の方を向きなおし、
憂いを帯びた眼差しで男を見つめた。
「だって、ウシ夫さん。二人は1年に1度しか会えないのよ?
それを思うと可哀相で・・・」
「オリ子、キミはなんて優しい娘なんだ。
僕たちも1年に1度しか会えない、そんなマインドで、
二人の時間(とき)を大切にしよう」
「ウシ夫さん・・・愛してる」
「僕もだよ、オリ子・・・」
・・・男は女を鼻毛込みで強く抱き締めた。
そして始まる、愉楽の宴。
もういいだろう・・・そんな三文芝居。
アナタたちはいつだってそうだ。
七夕に限らず、我が国の暦に散逸した各種イベントの度に、
アナタたちはそのイベントの本来的な意味を上辺だけなぞるんだ。
そして、行き着く先は常に『SEX』。
日本古来の行事が醸す厳かな雰囲気を掠(かす)め取って、
それを性的なエナジー、前戯へと転化する傍若無人な振る舞い。
無垢な子供たちも楽しみにしている『星降る夜』を、
『腰フル夜』にするようなハレンチな大人たち、僕は大嫌いです。
こんなけしからんカポゥたちを撲滅する為なら、
何をしたところで罪に問われる事はありません。
違法性が阻却されます。
ただし、自らの手を汚すのは無粋でいけません。
他力本願で行きましょう。
子供たちは、短冊に『願い』を。
独身の大人たちは、ゴルゴ13に『依頼』を。
もちろん、心優しい僕は前者をチョイスするつもりだ。
『幸せなカポゥは全員、
どちらかの浮気がバレて揉めろ!』
・・・来年の七夕に、僕が短冊に認める言霊はこれで決まりだ。