3分。
・・・5分?
・・・・・・10分!?
「遅い!たかが下着をつけてくるだけでどうしてこんなに時間がかかるんだ。救急箱まで用意して準備万端の俺をいつまで待たせるんだ」
なかなか戻ってこないミニョにいらついた俺は脱衣所へ向かいドアを開けた。
「何やってるんだ」
「え?あ、あの、その・・・」
膝を抱えて座り、俯いたまま何だかはっきりしない言葉を口にするミニョの腕を掴み、引っ張っていく。椅子に座らせると、俺は救急箱の中から傷薬を取り出した。
「ほら、手を出せ」
「自分でできます」
「いいから手を出せ」
手首を掴むと半ば無理矢理バスローブの袖をめくり、人差し指に薬をのせ傷口にそっと塗っていく。白くて柔らかな肌なのに、皮膚がむけているところは赤くなり、ひどいところは血がにじみ出て痛そうだった。
ミニョは黙っていた。
痛みのためだろうか。口を真一文字に結び、時々眉間にしわが寄った。
「どうして俺の電話に出なかったんだ。仕返しのつもりか?俺のこと好きじゃないのか。今だって俺の方、見ようとしないで」
電話のことを思い出すと腹が立った。シヌの電話にはすぐに反応してたのに、俺のことは無視。それに俺のことを好きだと言ったわりには、俺から顔を逸らしてる。俺は少しでも長くミニョのことを見ていたいのに。
ミニョは戸惑うように一瞬だけ俺に顔を向けると、またすぐに俯いた。
「電話のことは・・・すみません。ちゃんとしてから、と思って。私、今日・・・シヌさんとお別れするためにあのお店で待ち合わせしてたんです。シヌさんとのこときちんとするまでは、テギョンさんには会わないって決めてて。声を聞いたら、きっと会いたくなっちゃうから。だから出ないようにしてました」
「ずいぶん勝手な言い分だな」
「すみません」
「電話のことは判った。じゃあ何で今、俺の方を見ようとしない?」
さっきからずっと俯いたまま、俺が顔を覗き込めば慌てたように顔を逸らして。
「そ、それは、その・・・・・・あんな恰好見られて、テギョンさんの顔、まともに見れるわけないじゃないですか」
「あんな?」
「さっき、バスタオルが・・・」
なるほど、全裸を見られたことを言ってるのか。
よく見るとミニョは首も腕も脚も、恥ずかしさからか肌は全体に赤く染まっていた。きっと俯けている顔は、これ以上はないというくらい真っ赤になってるんだろう。
俺はくっと笑うと、軽く咳払いをした。
「安心しろ、俺は目が悪い、知ってるだろ」
「・・・あ・・・そういえば・・・・・・」
見えないのは暗いところだけなんだが。
「それに少し距離もあった」
「・・・確かに・・・・・・」
「バスタオルが落ちるのとお前がしゃがむの、ほとんど同時だったぞ。あんな一瞬でしっかり見えると思か?」
明るい部屋の中、ほんの数メートル先だから、ばっちり見えてたけどな。
俺の言葉に誘導されるように、「そうですよね・・・」と少し安心したようにミニョが息を吐いた。
俺はウソはついてない。
見えなかったとはひと言も言ってないんだから。
だから・・・
シャワールームで。
大量の泡を洗い流した時、なるべく見られないようにと俺に背中を向けていたミニョ。
反対側が鏡に映っていたことは気づいてないようだったから、俺はあえて黙っていることにした。
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うわー、もう四月も終わり(;^_^A
ずいぶん間があいてしまいましたm(_ _ )m
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