「あんなに慌てて・・・どうしたんだろ。」
マ室長と入れ替わるようにボーイが運んできたルームサービスをジェルミが頬張っていると、テギョンが血相を変えて部屋から飛び出して行った。血相を変えて・・・とは少し大げさな表現だが、目の前を脱兎のごとく走り過ぎて行ったテギョンの姿はジェルミの目にはそう映った。
「さあな、でも何かワケありなことは確かだな。」
「ワケって?」
さあ、と今度は口には出さず首をすくめて答えるシヌ。
ジェルミはピザを口へと運びつつ、そのワケとやらを考えてみる。そしてふと思いついたのは・・・
「もしかして、会いに来た女の人って・・・テギョンヒョンの元カノ・・・とか?」
「・・・ありえなくはないな・・・」
元カノ・・・
こんな時ミナムがいれば、「おもしろそー」と即座にテギョンの後を追い、ジェルミもそれについて行くのだが、あいにくここにミナムはいない。うずうずと好奇心を刺激されたジェルミは、口の中のピザをごくんと飲みこむと、そわそわとテギョンの消えたドアを見た。
行くべきか、行かざるべきか、それが問題だ・・・
他人のプライバシーを覗くのはいけないことだと思いながらも、テギョンの反応が気になって仕方ない。
ここは韓国から遠く離れたアメリカ。
思いもよらない場所で再会したかつて愛した人。
忘れた筈の想いはよみがえり、その炎は一気に燃え上がる・・・
「どうしよう、シヌヒョン、ミニョが悲しむようなことになったら。」
妄想は広がり、ジェルミの頭の中ではすっかり元カノになってしまった女性とテギョンが手を取り合い、見つめ合っている。
「そんな心配はいらないと思うが・・・可能性としてはゼロとは言い切れないかもな。」
結婚するまで合宿所で共同生活はしていたが、事務所に入る前のテギョンの女性関係は全く知らない。ミニョとの付き合い方を見ていて、恋愛に不慣れだということは判っている。しかしだからといって過去に彼女がいなかったと断言はできない。
ジェルミと同様、シヌもミニョの悲しむ顔は見たくなかった。
「ちょっと行ってみるか。」
二人はエレベーターで下に降りた。
「ねえねえ誰なのあの人、テギョンヒョンとずいぶん親しそうだけど。」
「とりあえずファンという線は消えたな。」
テギョンを追いかけるようにロビーへ降りてきたシヌとジェルミ。今、二人の目にはラウンジで話をしているテギョンと見知らぬ女性が映っている。テギョンの表情は穏やかで、とてもただのファンを相手にしているようには見えない。
「いやぁ、ドラマのワンシーンを見てるみたいだったぞ。走って来たテギョンが「彼女はどこだ」ってすごい勢いで俺に詰め寄って。帰ろうとしてる彼女を追いかけて名前を呼びながら、こう、がしっと腕を掴んだんだ。で、振り向いた彼女をギューッと抱きしめて・・・」
マ室長は大げさなジェスチャーを加えながら説明した。
「ええーっ!テギョンヒョンがそんなことをー!?」
「・・・したらもっとドラマチックだったのにな。抱きしめたってのは俺の脚色だが、腕を掴んだとこまでは本当だぞ。」
両手で頬を挟みながらショックのあまり一瞬で銅像のように固まったジェルミは、マ室長の脚色という言葉に止めていた呼吸を再開させるが、複雑な表情をシヌへと向けた。
テギョンの様子から相手はファンではないと思う。かといってただの知り合いとも思えない。
「やっぱり・・・テギョンヒョンの元カノ?」
「えっ!テギョンの元カノだって!?」
ホテルまで押しかけてきた元カノ。
穏やかな会話は最初だけ。
今夜一晩・・・と迫る彼女を初めは相手にしていなかったテギョンだが、過去のことを記者にバラすと脅され仕方なく彼女の言いなりに・・・
「テギョン、一体どんな過去が・・・」
マ室長の妄想は、妖しい世界の扉を開けた。
じゃあねと言って去るセリをエントランスで見送ったテギョンが向かったのは先程までいたラウンジ。隅にあるテーブルにいる客の前で足を止めた。
「三人揃ってこんなとこで何してるんだ。」
「えっ、あーっと、それは・・・」
視線を泳がせ口ごもるマ室長に、仁王立ちのテギョンは覗いてたなと睨みをきかす。
「テギョンヒョン、昔付き合ってた彼女なの?」
「テギョン、変な性癖も不倫もダメだ、ミニョさんを泣かせるなよ。」
何のことだかさっぱり判らないテギョンはジェルミとマ室長の妄想話を聞かされ、呆れ顔でため息をついた。
「ファンでもなく知り合いでもなかったら元カノなのか?その頭の中には”友人”という言葉はないのか?」
クスクスと声を殺して笑っているシヌに、お前まで一緒になって俺で遊ぶなとテギョンは口を尖らせる。
そんなテギョンの様子を見ていたマ室長は、憐れむような目でテギョンの肩をポンと叩いた。
「判った、そういうことにしとこう。フラれたなんて、プライドの高いテギョンには言えないだろうからな。」
「ええーっ!テギョンヒョンあの人にフラれたの!?」
「じゃなきゃ告白もできずに片想いで終わったか・・・」
「切ないね、ヒョン。」
「おいこら、俺の話を聞いてなかったのか。勝手に人の過去を作り上げるな。」
「でも本当は彼女のこと、好きだったんじゃないのか?」
「・・・セリは友達だ。」
本当か?と探るように疑いの眼差しを向けるマ室長と、ミニョには黙っててあげるねと内緒話のように言うジェルミ。
「付き合いきれん。」
テギョンは踵を返すとラウンジを後にした。
数ヶ月・・・といっても二人が同じ時間を過ごしたのはわずかなもの。当時、そこに恋愛感情があったかどうか、テギョンにもよく判らない。
ただ、今のテギョンはセリのことを大切な友人だと思っている。
思わぬ場所で思わぬ人との再会。
昔の友人との約束は、近い将来、果たされることになる。
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この前の日曜日は住んでいる地区の運動会でした。
子ども会役員になって4年目。
4年といっても、去年と今年はOBというお手伝い係みたいなものですけど。
運動会では審判係。
去年もやったんだけど、1年前のことなんで結構みんなも忘れちゃってて(笑)
大会要項と担当表を持ちながら、1日中本部とグラウンドを行ったり来たりしてました。
普段運動不足の私にはいい運動になったかな?
4年前、「とんでもない役引き受けちゃったー」って一時期落ち込んだけど、役員メンバーがいい人ばっかりでよかったーp(^-^)q
OBとしての仕事も、この運動会で全て終了!
そう思うと、ちょっと寂しいような気も・・・(_ _。)
大変だったけど、楽しかったー♪
次にみんなで集まるのは来年の2月くらいの予定。
おいしいもの食べに行くぞー!o(〃^▽^〃)o
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