合宿所のリビング。
ソファーに座るジェルミは後ろを通りかかったミニョに声をかけると手に持っていた雑誌を見せた。
「ねぇ、ミニョ、これ見てよ~、俺って結構セクシーだろ?」
ジェルミは雑誌の『A.N.JELL特集』のページを開き、自分の水着姿の写真を見せながらニコニコと笑う。
「そうですねぇ・・・この濡れた髪から落ちる滴とか、真剣な表情がいつものジェルミの感じと違ってとっても素敵ですね。」
ミニョは雑誌を見ながらうんうんと頷くとパタパタとスリッパの音を響かせキッチンへと行く。
「これ水着はいてるけどさぁ、本当はまだ寒い時期でガタガタ震えながらの撮影だったんだよね~。トリハダ立っちゃって大変だったんだ~」
ジェルミは手に持っていた雑誌を床へ置くとすぐ横に置いてあった別の雑誌を開く。
そこには泣きそうな顔をしたジェルミとその周りで大笑いをしているA.N.JELLのメンバーの姿。
「あ、これ!バラエティー番組の罰ゲームだ!俺辛いカレーは食べれるけどさぁ、苦いカレーって反則だと思わない?あれはもうカレーじゃなかったよ、ただの苦い物体!」
二階から下りてきたシヌに「あれは本当にすっごく苦かったんだよ~」と話しかけるがシヌはそのまま素通りして行く。
ジェルミは雑誌を置くと今度は新聞を捲った。
「あーっ!このCM撮影の時、大雪で撮影出来ないと思ってたら急に雪が止んで太陽が出たんだよね。今だ!って、慌てて撮ったんだよなぁ・・・。そう言えばさぁ、撮影の後で雪合戦したけどミナムって何であんなに強いの?」
丁度地下から階段を上がって来たミナムに声をかけるが、ミナムはジェルミの方を振り向くことなく通り過ぎる。
「ねぇミニョ~、これ見てよ~、これ番組でお花見に行った時のなんだ。綺麗だろ?来年は皆でお花見に行きたいよね~」
声をかけられたミニョはキッチンから手を拭きながらやって来て、ジェルミの持っている雑誌を見て「本当に綺麗ですね」とニッコリ微笑み再びキッチンへと行く。
「シヌヒョンもミナムも何で返事もしてくれないんだろう?ま、いいか、ミニョはちゃーんと俺の話聞いてくれるもんね。」
ジェルミの傍を通りかかりジェルミに声をかけられても何も言わずに行ってしまう二人に口を尖らせるが、ミニョが相手をしてくれることに上機嫌なジェルミはニコニコと笑いまた別の雑誌を手にする。
「何で、だと?・・・いいか、だと?」
鼻歌まじりでパラパラとページを捲っていると、不意に後ろから地を這うような低ーい声がしてジェルミは思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
嫌な予感がし恐る恐る振り返ると、案の定そこには頬を引きつらせたテギョンの姿が。
怒りの為か雑巾を持つテギョンの手はプルプルと震えている。
「シヌはテラスと屋上、ミナムは地下の練習室、俺は全ての窓拭き、ミニョにも手伝ってもらってるのにどうしてお前は未だに雑誌と新聞が片付いてないんだ!」
リビングに積んであったはずの雑誌や新聞が今はテーブルいっぱいに広がり、床にも散乱しているありさまにテギョンは信じられないといった目を向ける。
「え、だって、片付けようと思ってはいるんだけど、つい気になって・・・ほら、こういうことってよくあるだろ?懐かしいな~とか色々思い出して見ちゃうこと。何もそんなに怒んなくても・・・」
テギョンの剣幕に、つい先程までニコニコと笑っていたジェルミは今にも泣きそうな顔でしゅんと身体を小さくし、上目遣いでテギョンをチラリと見る。
「忙しい俺達の貴重なオフを使って皆で大掃除をしようと言い出したのはジェルミだぞ!」
テギョンの怒鳴り声に「ごめんなさ~い」とジェルミはソファーから跳びあがる。
「まずはその雑誌を何とかしろ!」
慌ててガサガサと雑誌を掻き集めていると掃除を終えたシヌが車のキーを持ち「じゃあ俺出掛けるから」と玄関の方へと向かった。
そのすぐ後に続くようにミナムも「ヘイとご飯食べて来る~」と出掛けて行く。
「あ、俺もお腹すいたなぁ。ヒョン、片付けはご飯食べてからやるからさ、ちょ~っとご飯食べに」
「行ってくるね~」と玄関へ行こうとしたジェルミの襟をガシッと摑むと、テギョンはジェルミを再び怒鳴りつけた。
「メシならここで食え!全部の床の雑巾がけが終わるまで外には行くな!」
「えええ~~~っ、そんなぁぁぁ~~~。冷蔵庫の中、何にもないじゃないかぁ~」
「そんなこと知るか!今までサボってたお前が悪い!」
ガックリと肩を落とし項垂れるジェルミをしりめに、テギョンはミニョを呼ぶと二人で出掛ける準備をする。
「待って下さいオッパ。何にも食べないで一人でお掃除するのは大変です。」
ミニョの言葉にジェルミは、もしかしたらミニョが掃除を手伝ってくれるのか、それともご飯を作ってくれるのかと期待したが・・・
キッチンの棚をゴソゴソと探っていたミニョはニッコリ笑いなが見つけたものをジェルミへと手渡した。
「はい、一つだけありました♪」
それは小さなカップラーメン。
ジェルミの期待に満ちた表情が絶望へと変わった瞬間を見たテギョンは思わずプッと噴き出した。
「よかったなジェルミ、取り敢えず食べるものがあって。」
クックッと喉の奥で笑うテギョンはミニョの肩を抱き合宿所を出て行く。
一人合宿所に残されたジェルミは手に持ったカップラーメンを見つめる。
『はい、一つだけありました♪』
いつもは温かく感じるミニョの言葉が、今はやけに冷たく感じた。
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年末です。
皆様、如何お過ごしでしょうか?
私は今年も大掃除の『大』が抜けてしまいそうです(笑)
もう開き直ります。
「お客さん来る訳じゃないし、いいも~ん」
・・・・・・・・・
ピグ、最近ほとんどやってなくて・・・すみませ~ん。
お部屋に色々と置いていって下さった方、ありがとうございます。
お庭のお手伝いをして下さった方、ありがとうございます。
お世話になりながら、お礼にも行けなくて・・・
冬休みが終わればまたピグにも手がつけられると思います(;^_^A
*:.。。.:゜ *:.。。.:゜ *:.。。.:゜
今年一年、ずいぶんゆっくりのんびりした更新にも拘らず、見捨てないでお付き合い下さりありがとうございました。
テギョンとミニョのゆっくりとした歩みを今後も見守って下さると嬉しいです。
といいつつ、急に終わっちゃったりして(笑)
コメやメッセはいつも頬を緩めながら読ませていただいています。
更新もしていないのにいつもペタして下さる方もいて、本当に感謝の毎日です。
ブログを通して皆さんとお話が出来ることをとても幸せに感じた一年でした。
今年の年始に掲げたブログ目標
『テンポのよい話を!』
・・・・・・ダメダメですね~
相変わらず話のスピードはスローです。
これが私のスタイルなのねとやっと気づきました(笑)
今頃かいっ!とツッコんで下さい(笑)
『アメ限を増やす!』
こっちはギリギリ何とかクリアかな?
考えてると楽しいんですけどね~、依然として私にはハードルが高くって・・・
皆さんに支えられた一年。
ありがとうございました。
お話を書くことで少しでもお返しできたらと思い、来年も続けていきたいと思います。
2013年という年が皆さんにとって良い年でありますように。
― らん ―
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