You're My Only Shinin' Star (156) 心の中の会話 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

「うわぁ、ホントに女の子ばっかり。」


「ジェルミ、その表現は正しくないな。正確には女性ばかりだ。」


店に入ると辺りを見回し、感嘆の声を上げるジェルミにシヌが妙なツッコミを入れる。

店の中は学生、OL、主婦等、確かに女の子というより女性客ばかりで、男性はカップルで来ている数人と、店のスタッフ、それとハン・テギョンだけだった。


「男一人では入り辛いって台詞、ミニョを誘う為の口実だと思ってたんだけど、案外ホントかも知れないね。」


テギョン達の座った席は店の奥で、ミニョ達からは少し離れてはいるが様子は窺える。

ハン・テギョンの皿には小さなケーキがずらりと並んでいて、それらが次々に彼の口の中へと消えていった。

四十種類程のスイーツは様々な味のものが食べられるようにという店の配慮か、一つ一つが小さめで、あれもこれも食べたいという客にはもってこいの大きさ。

身体の大きなハン・テギョンはそれらをほとんど一口で食べていた。


店のテーブルにずらりと並ぶケーキ類。甘い物が得意ではないテギョンは店の中の甘い匂いと、次々にケーキを口の中へと運ぶハン・テギョンの姿を見てげんなりすると口元を手で押さえた。


「ミニョ案外楽しそうじゃん。まあ、あいつもケーキとか好きだしテギョンヒョンじゃあ絶対にこんなとこ連れて来てくれそうもないから無理ないかもね。」


大きな皿に幾つもケーキをのせて来たミナムがニヤリと笑い、テギョンを見下ろすとヘイの前へ皿を置いた。


「どうしてお前達がここにいるんだ。」


変装のつもりだろうか。伊達眼鏡をかけたテギョンはミナムを見上げるように睨みつけると口元を歪ませた。


「まあまあ、かたいこと言わないでよ。俺達が来なかったらずっとあそこでウロウロしてただけだろう?俺達と一緒ならさり気なく監視できるし・・・」


ミナムはチラリとミニョの座っているテーブルに目を遣る。


「どうしてそのことを・・・チッ、まあいい。」


ミナム達の出現は予想外だったが、お陰で店の中でミニョとハン・テギョンの様子を窺うことができると思うと、テギョンはグイッと一口水を飲み、ミニョへと視線を向けた。


「うわー、ケーキもタルトもパイもすっごく美味しい。種類がたくさんあってどれにしようか迷っちゃうけど、小さいからいくらでも食べられるね。」


ニコニコと皿にのせた桃のタルトをパクリと食べ満足気のジェルミ。


「ここのコーヒーは頼んだ時にちゃんとバリスタが淹れてくれるし、なかなかいい店じゃないか。」


口元に微笑みを浮かべブラウニーを食べながらコーヒーを楽しんでいるシヌ。


「だろ?だから一度来たかったんだ。」


ミナムはさっきとは違うケーキをのせた皿をヘイの前へ置くと、自分も座って食べ始めた。


「じゃあ店の許可はもらってるから適当に写真撮って、俺も食べよう。」


マ室長はカメラを構えるとA.N.JELLのメンバーやケーキの写真を撮っていく。

暫くするとテギョン達のテーブルに幾つもの視線が集まりだした。A.N.JELLの存在に気付いた客たちが徐々に騒ぎ始める。

しかし、サインを貰おうと近付きかけた客の足は途中で止まり、テーブルに辿り着くことなく引き返して行った。


「いやー、テギョンヒョンのお陰でゆっくり食べられるね。」


「こんなに目つきの悪いテギョンに近付こうなんてファンは誰もいないよ。」


ジェルミとシヌは向かい側に座るテギョンを見ながらのんびりとスイーツタイムを楽しんでいる。

テギョンはフンと口元を歪めると楽しそうに笑うミニョの前に座るハン・テギョンの姿を鋭い目で睨みつけた。







「テギョンさんてケーキが好きなんですね。」


目の前に座るハン・テギョンの皿に幾つものっていた小さなスイーツが次々と消えていく。

目を丸くして驚きながらクスクスと笑うミニョにハン・テギョンは照れ笑いを浮かべた。


「甘い物、好きなんだ、でもなかなか一人じゃ来られなくて。僕が一人で来てバクバク食べてたら何か変な目で見られそうで。だから今日はミニョちゃんは僕のカムフラージュってことで・・・ごめんね。」


「いえ、私もおいしいケーキが食べられて嬉しいです。」


美味しそうにケーキを食べているミニョを見て、ハン・テギョンも嬉しそうに笑う。


「ミニョちゃんはこういう所、友達とかと来たりしないの?」


「はい、初めてです。」


カトリーヌはケーキは好きだが一つ食べれば十分というし、テギョンは半分食べるともういいと言う。

ミニョが 『一緒に食べた方がおいしいですね。』 と言うと、テギョンはケーキを三つ買ってマンションへ来るが、半分ほど食べると口元を押さえ 『やる。』 と言ってミニョが食べることになる。

きっとテギョンとはこういう店には来ることはないだろうと思い、テギョンだったら皿の上に並べられたケーキを見ただけで 『うっ・・・』 と引き気味に口元を押さえるだろうと思うと、何だか可笑しくてクスッと笑った。


ミニョが小さなグラスに入ったゼリーを手に取りスプーンで口に運んでいると、何となく店の中がざわついていることに気が付いた。

客の女性達がヒソヒソと話す声に混じって小さくキャーという声が聞こえる。まるで芸能人でも近くで見ている様な声・・・

彼女たちの視線は店の奥にあるテーブルに注がれていて。

ミニョはふとそちらへ目を遣ると、自分の方をじっと見ている眼鏡をかけた一人の男性と目が合った。


― え?オッパ?


ミニョは噴き出しそうになったゼリーを何とか飲み込むとゴホゴホと咳込む口を手で押さえた。


「大丈夫?ミニョちゃん。」


「は・・・はい・・・大、丈夫・・・です・・・」


ミニョは猶も咳込みながら、奥のテーブルを見るとやっぱりテギョンがいる。しかも不機嫌オーラ全開で水を飲んでいるテギョンの姿。

ミニョ、お前・・・ずいぶん楽しそうだな・・・

そんな地を這うような低い声が聞こえてきそうなテギョンの鋭い視線。


― どうしてオッパがお店の中に・・・バレちゃうから来ないでって・・・あれ?お兄ちゃん?ヘイさんも・・・シヌさん、ジェルミ・・・マ室長まで・・・何で皆がここにいるの?


テギョンだけでも十分吃驚するのに、何故か他の皆も一緒にいることに更に驚き、ミニョは口に手を当てたまま動けずにいた。

ミニョが自分たちの方を見ていることに気付いたジェルミはニッコリと笑うと小さくミニョに手を振り、同じ様にミニョを見て微笑むシヌはジェルミの手を押さえた。


― もしかして仕事?・・・え?オッパ、怒ってる?


店の中でテギョンを見つけて驚いていたミニョだったが、その表情から機嫌が悪そうだと察すると何故だろうと首を傾げる。


― ミニョ、そんなに笑顔を見せるな。


ハン・テギョンと二人で楽しそうに見えるミニョに、笑うな、と眉を動かしながらアイコンタクトを送るテギョン。


― やっぱり場所がマズかったのね・・・こんなにケーキに囲まれた場所じゃあ、オッパの気分も悪くなるわよね。お水ばっかり飲んで・・・


― 今日はこの間の礼をする為に来ただけなんだろう?何でそんなに楽しそうな顔をしてるんだ。


― ああ、眉間にしわ寄せてケーキなんて見るのも嫌だって顔してる。きっと当分買ってきてくれないだろうな・・・


― もう十分あいつに付き合ってやっただろ。お腹いっぱい、とか言ってさっさと店から出るように仕向けろ。


― オッパと一緒に食べた方がおいしいのにな・・・・・・。判りました、暫くケーキは我慢します・・・その代わりに今日はもうちょっとだけ・・・


― おい、何で次のケーキを取りに行く?そんなに笑顔で食べるな、また変な誤解されるぞ。


― オッパ、やっぱりチョコケーキにはコーヒーが合います。


― こら!そんなにのんびりするなー


コーヒーカップを持つミニョにひたすらアイコンタクトを送るテギョン。
二人は離れた席で互いの顔を見ながら、噛み合わない会話を心の中で交わしていた。



。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆



あぁ、遅くなってしまいました。


ちょっと色々と・・・うん・・・考えてます。


もうちょっと、頑張れそうかな・・・?



宜しければ1クリックお願いします

  更新の励みになります

         ↓

   にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
    にほんブログ村



  ペタしてね    読者登録してね