You're My Only Shinin' Star (110) プロポーズ 3 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

「結婚したい・・・結婚してくれ・・・結婚して欲しい・・・ストレート過ぎるか?毎日お前の作る飯が食べたい・・・いやこれだと 『はい、では毎日合宿所にご飯作りに来ますね。』 と言いそうだ。一緒に暮らしたい・・・これはすでに言ってある、これでは通じない。子供が欲しい・・・家族になりたい・・・う~む・・・」


テギョンはテジトッキを前に腕組みをしながらうろうろと部屋の中を歩いていた。

半年後には合宿所を出て、ミニョと一緒に住むことを真剣に考え始めた時頭に浮かんだ結婚の文字。

あれから何度も考えたが自分にとって結婚とは何か未だによく判らない。ただミニョを誰にも渡したくないという思いは依然として変わらず、ここ数週間ミニョと過ごしたことでその想いはより一層強さを増していた。

プロポーズ・・・今まで意識したこともなかったが、すると決めたらビシッとキメたい。だがミニョ相手に遠回しな表現では伝わらず、カッコよくキメるには何と言ったらいいかと悩んでいた。


ミニョへのプロポーズの言葉もだが、テギョンにはもう一つ気になることが。

・・・モ・ファラン・・・

彼女がミニョの両親にしたことを思うと、ミニョへのプロポーズも言葉が詰まる。

テギョンの母親であることは変えようのない事実。ミニョがテギョンと結婚すれば必然的に、モ・ファランはミニョの義理の母親になる。ミニョはそれを受け入れられるのだろうか。

モ・ファランは今、海外へ行っているようで韓国にはいないことをテギョンに知らせたきり音沙汰がない。

顔を合わせることがないことにホッとしているテギョン。自分ですらそうなのに、ミニョはどうだろうか。

テギョンはテジトッキを見つめると、ポケットの中の小さな箱を握りしめた。




朝食を終え、後片付けを済ませ、ミニョがぬいぐるみ部屋で最後の荷造りをしているとテギョンからメールが入った。


『今すぐ部屋に来い。』


ミニョがテギョンの部屋のドアを開け中を覗くと、机の上に置かれたテジトッキの前をうろうろ歩きながら何やらブツブツ言っているテギョンの姿があった。


「オッパ?」


ミニョが声をかけるとテギョンは慌ててミニョの方に歩み寄り、腕を摑んでぐいっと引っ張りミニョの身体を部屋の中へ入れる。ドアの隙間から廊下をキョロキョロ見回し、誰もいないことを確認するとバタンとドアを閉めた。


「オッパ、どうしたんですか?」


テギョンの不審な行動にミニョが首を傾げていると、テギョンはミニョを自分の前に立たせコホンと咳払いをした。


「ミニョ、俺が一緒に暮らしたいと言った意味が判るか?」


「合宿所を出るってことですよね。」


「もっと深く考えたことはないか?」


「深く…ですか?」


ミニョは答えが出ないのか、しきりに首を捻っている。テギョンは大きく息を吸うとミニョの瞳をじっと見据えた。


「ミニョ・・・・・・結婚しよう。ずっと一緒に暮らしたい。・・・もちろん今すぐではないし、俺にとって結婚とは何なのか考えてみたが、正直今でもよく判らない。それでもこれからの人生をずっとミニョと一緒にいたいという思いに揺るぎはない。」


ミニョは大きな瞳でじっとテギョンを見つめている。


「あの・・・えっと・・・」


突然のプロポーズに驚き固まるミニョにテギョンは話し続けた。


「俺はミニョと結婚したいと思った。だが俺の母親がお前の両親にしたことを思うと、許されるのだろうかと悩んだ。今は海外にいるらしいが、いずれは戻って来るだろう。俺の前に姿を現すかもしれない。その時にお前が俺と一緒にいることで辛い思いをするんじゃないかと思うと、言うべきではない言葉のような気もする。」


ミニョはテギョンがモ・ファランの話をした途端、眉根を寄せ苦しそうに顔を歪める姿を見て、とっさにテギョンの腕を摑んだ。


「モ・ファランさんのことはもう気にしていません。それに私の両親との三人のことですからオッパが気に病むことではありません。私は父を信じています、モ・ファランさんは一度も父はなびかなかったと仰いました。父が愛したのは母だけだと。その言葉も信じます。母が私達を産んで亡くなったのは事実ですが、そこに直接モ・ファランさんが関係していたとは限りません。」


テギョンを見つめる真っ直ぐで真剣なミニョの瞳はその言葉が心からのものだと語っているようだった。


「では・・・返事は?」


皇帝と呼ばれる姿からは想像もできない自身のなさそうで不安な顔。テギョンはミニョの瞳を見つめたままその口から発せられる言葉を固唾を呑んで待った。


「あの、えっと、こういうことを言われるのは初めてなので、何と言ったらいいのか・・・」


ミニョは一度大きく深呼吸をすると、俯き加減で呟いた。


「よろしく・・・お願い・・・します・・・じゃ・・・変でしょうか・・・」


頬を赤く染め、上目遣いでテギョンを見るミニョに、おどおどと不安げに動いていたテギョンの目が輝き出し、その顔に徐々に笑みが広がる。身体の横にある拳をギュッと握りしめると、クルッと向きを変え机の方へ歩いて行き、テジトッキを抱きしめ 「よしっ。」 と言ってミニョの方へと戻って来た。

テギョンの行動を呆然と見ているミニョの身体がきつく抱きしめられる。


「ミニョ・・・ありがとう・・・」


ミニョの身体を抱きしめながら暫くの間嬉しさの余韻に浸っていたテギョンは、ポケットから小さな箱を取り出した。蓋を開けると中から指輪を取出し、ミニョの左手の薬指へ・・・

ウェーブのかかったプラチナのリングにリボンをモチーフにしたデザイン。真ん中には大粒のダイヤモンド、両サイドにはピンクダイヤが輝いている。

心持ちテギョンの手もミニョの手も震えていてすぐには指に嵌められなかったが、ゆっくりゆっくりと指輪を嵌めていく。


「ミニョ・・・俺に時間をくれないか?社長を説得して結婚発表にまで持ち込むには時間がかかる。二人で一緒にいるところを誰に見られても文句を言わせないようにする為に、俺に時間をくれ。」


「オッパ・・・」


「俺が、お前を待たせる許可をくれ。」


テギョンは真剣なまなざしをミニョへと向ける。ミニョは左手に輝く指輪を見た後テギョンへと顔を向けた。


「今までオッパはずっと私を待っていて下さったんですよね。二度もアフリカへ行った私を・・・。私待ちます、一年でも十年でも、ずっとオッパと一緒にいられる日が来るなら、何年でも待ちます。」


「いや、何年もって・・・俺はそんなに待たせるつもりはないが・・・」


テギョンは首を傾げながらも、潤んだ瞳を自分へ向け微笑むミニョの姿を見て笑みを浮かべると、右手の指を指輪の光るミニョの左手の指に絡ませる。


「ミニョ、サランヘ。」


左手をミニョの頭の後ろへ回し、繋いだ右手に力を込めると、ゆっくりと唇を重ねた。



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