二人で顔を見合わせた後、先に口を開いたのはテギョンだった。
「マンションの件だが、カトリーヌさんにもしもダメだと言われても俺が何とか説得しよう。今までホテルで一人でいたことを考えると他人と一緒に生活することに抵抗はあるかも知れないが、相手はミニョだ、たぶん大丈夫だろう。部屋数は十分にある。個人のプライベートルームは保障するし、バスとトイレは二つずつある。リビングやキッチンなどの共用スペースは二人で上手く使ってもらって、家具類は大きなものは付いているし、冷蔵庫や洗濯機もある。ベッドやソファーは好きなものを選んでくれれば俺がすぐに用意する。食器類や細かいものは二人で好きなものを選んで買えばいい。ミニョにカードを渡しておくから支払いはそれで済ませろ。住居費、光熱費は全て俺の口座から引き落とされるから半年間ホテルへ支払うことを考えれば彼女にとってメリットの方が大きいと思うが・・・」
しゃべり続けるテギョンにミニョはさっきから首を傾げている。
今の話だと自分はすでにマンションに住むことが決まっているように聞こえるのだが・・・
「ちょっと待って下さい。今のお話を聞いていると私はマンションに住むことになっているようですけど・・・」
「それがどうかしたか?」
何を当たり前のことを聞いてるんだ?という目でミニョを見る。
「えっと・・・私、まだ仕事も住む場所も考えているところなんですけど。」
「仕事をしたいというならゆっくり考えればいい。住む場所は考える必要はないだろう。」
「でもオッパは聖堂の施設に住まわせてもらうのはダメだって・・・。ですから私、今からお部屋を探さないといけないんです。」
「何故だ?俺のマンションがあるだろう。元々お前と二人で住むつもりで買ったんだ。」
「・・・・・・えーーっ!私とオッパが!?」
テギョンはミニョのあまりの驚きように目を点にしながら額に手をやり、大きく息を吐いた。
「おい、ミニョ・・・まさかお前今まで俺の話を聞いていなかったんじゃないだろうな。」
そういえば・・・と、考えてみる。ピアノを弾いてくれた時にそんなようなことを・・・それに今日も・・・
『ミニョと暮らそうと思って・・・』 『ミニョと住もうと思って・・・』
普通の会話の中でサラッと言われていた為、聞いていなかったというより気づいていなかった。
「俺の話は聞き流されていたのか?」
「オッパ、違います、聞き流していたのではなく、気づかなかっただけです!」
胸の前で拳を握って力説する全くフォローになっていないミニョの言葉にテギョンは怒るよりもショックの方が大きかった。
― 気づかなかった?俺は今まで自分から誰かと一緒に暮らしたいなどと思ったことはなかった。それが初めて二人で一緒に暮らしたいと思って俺なりに緊張しながらさり気なく言った言葉だったのに・・・気づかなかっただと?さり気なさ過ぎたのか?・・・・・・ああ、そうだった、こいつは俺が好きになることを許可すると言ったらファンで構わないと言ってファンクラブに入会した奴だ。ハッキリ言わなければ伝わらないだろう。
「ミニョ、ちゃんと聞いてくれ。俺は、お前と、一緒に、暮らしたい。ここまではいいか?」
一語一語丁寧に区切ってミニョが気づかないことがないよう顔を見ながらゆっくりと話す。
ミニョは何も言わずにコクンと頷く。
「よし。一緒に暮らしたい・・・だが、俺は今すぐには合宿所を出られない。だがお前はここを出た方がいい。だからまずお前がマンションに住め。しかし一人だと不安だからカトリーヌさんに一緒に住んでもらいたい。」
「でもオッパのマンションってきっと凄く高いんですよね。私あんまり高い家賃は払えないんですけど。」
「家賃?何でお前がそんなものを払うんだ?」
「だってお部屋を貸して頂くのでしたら、家賃を払わないと。」
「・・・・・・」
テギョンは頭を抱えたまま言葉も出ない。
― こいつは俺が一緒に暮らしたいと言った意味が判ってないのか?俺達の関係はいつから恋人から大家と店子の関係になったんだ?
「俺達は恋人同士じゃないのか?」
「え?でも、それとこれとは話が別かと・・・」
ごにょごにょと口ごもるミニョにテギョンは苛々と足を動かしながら、ふとあることを思い出した。
「ミニョ、金のことはおいておくとして、マンションに住むこと自体反対はしないな?」
ミニョは暫く考えた後、無言のまま頷いた。テギョンの口の片端が上がる。
「よし、貸だ、この間の貸を返してもらう。金を払わずにマンションに住め。」
「えっ!?でもそれでは・・・」
「何でも一つ、言うことを聞くんだったよな。」
「うっ・・・」
ニヤリと笑うテギョンにミニョは納得できないという顔で口をつぐんだままじっと動かずにいる。
確かにそういう約束をした。テギョンの怪我を悪化させたお詫びに何でも言うことを聞くと。しかし、それをこういう形でというのははたして貸を返すことになるのだろうか?
「あの時お前は何でも言ってくれと言った筈だ。忘れたとは言わせないぞ、俺は貸を返してもらう。ミニョ、マンションに住め、金は要らない、いいな。」
テギョンの強い語尾に、ミニョは黙ったまま頷いた。
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子供達が冬休みに入りました。
さようなら、穏やかな日々・・・こんにちは、騒がしい日々・・・
今年の冬休みは長い・・・何でこんなに長いんだろう?
昔ってこんなにも休みはなかったよ~!!
何故か進んでいない大掃除・・・いえ、ただやってないだけなんですけどね。
少しくらいはやっておかないと、マズいかな?
毎年思うんですよね、もう少しあったかい時にやっておけばよかったと・・・
来年こそは!・・・って来年の大掃除の心配より、今年のお掃除をしなければ。
あ、大掃除がお掃除になってしまった・・・
年末年始、更新が不定期になりそうです。(あ、今までも時間はバラバラですね)
無理はしないので、出来そうなときにUPしますね。
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