You're My Only Shinin' Star (86) 予期せぬ出来事 2 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

ミニョの朝は相変わらず早い。しかしここ数日起きても気分が優れないことが多い。降り続く雨のせいだろうか、何となく身体が重く感じられる。

ソユンとシヒョンの話を聞いてから仕事中もテギョンのことが気になって仕方ない。

ライブツアーも三日前のステージで全て終わった筈。一昨日は皆合宿所でゆっくりして昨日からはまた仕事だろう。

自分もあと少しでボランティアが終わる。毎日忙しく動き回って疲れた身体も韓国へ帰ってゆっくりすれば元に戻るだろう。いや、テギョンの顔を見ればすぐに回復するかも。

食事の後、腹部に感じる不快感に手をお腹へ当てる。痛みと吐き気、めまいもする。生理の影響かとも思ったが、終わった後も不快感は続いている。


「きっと、疲れてるのよね。」


自分の身体に言いきかせるように声に出して言ってみる。

そう、疲れているだけ、ゆっくり休めば大丈夫・・・

ふうっと大きく息を吐いて仕事にとりかかろうとすると、ソユンとシヒョンが息を切らせてやって来た。


「ミニョさん大変、テギョンオッパ怪我したみたいですよ。」


「えっ?」


「ライブの最終日のリハーサルで怪我したみたいなんです。」


「痛み止めを打ってライブは何とかできたみたいなんですけど、腕を怪我したみたいで、ギターの演奏はしなかったって。」


「ライブの後、またすぐに病院に行って精密検査しなきゃいけないから、詳しいことはまた後日って事務所から発表があったって・・・」


興奮しているのか早口で交互にしゃべるソユンとシヒョン。


― オッパが怪我?病院で検査?


「私達もう、心配で、心配で・・・」


ミニョには二人の話声が徐々に小さく聞こえてきた。

目の前に霧がかかったように霞んで見える。地面が揺れている・・・いや、揺れているのはミニョの身体・・・。そして、暗転。


― ・・・あれ?・・・真っ暗・・・何だろう・・・立ってられない・・・


ソユンとシヒョンの目の前でミニョの身体がゆっくりと崩れ落ちていった。





ミニョさん・・・

ソユンの声が遠くで聞こえる。


― あれ?どうしたんだろう、身体が重い・・・思うように動かない。


「ミニョさん!」


先程よりは、はっきりと聞こえるソユンの声。


「ミニョさん、テギョンオッパ呼んできましたから。」


シヒョンが外で作業をしていたハン・テギョンを連れて来た。


― 誰?・・・誰を呼んできたって・・・?


シヒョンの声に閉じていた瞼をうっすらと開ける。目に映るのは木製の床。皮膚に感じる硬く冷たい床。


― ・・・私・・・倒れてるの?


「とりあえずミニョさんを向こうへ。」


奥の部屋へと案内をするソユン。

ぐらりと揺れたかと思うと、ふわりと浮きあがるミニョの身体。

ハン・テギョンはミニョの身体を抱き上げるとソユンの後をついて奥の部屋へとミニョを運ぶ。


― あれ?この感じはどこかで・・・


韓国を出る前日、パーティーで酔ったミニョをテギョンが抱き上げ部屋まで運んだ。

フワフワと宙に浮いている感じが心地よくて。

目を開けたら大好きなテギョンの顔が見えて。

もっと近くで見たくて、もっと近づきたくて。

明日には韓国を出ると思うと、離れるのが嫌で。

そう思ったら自然にテギョンにしがみついていた。

伝えたかったのに結局言えなかった言葉・・・

こんな時でもないとなかなか言えないのに、こんな時ですらなかなか言えない自分に後で随分と落ち込んだ。


「テギョンオッパ、ミニョさんをここへ。私はシスターを呼んできます。」


ソユンは部屋の長椅子にクッションを置くと、そこへミニョを寝かせるように促し、シヒョンと共にシスターを呼びに行った。


― テギョンオッパ?・・・オッパ?オッパなの?・・・顔を見たいのに、瞼が重くて開かない。・・・近づきたいのに、腕が重くて動かない。・・・・・・伝えたかったのに・・・今なら・・・言える・・・か・・・も・・・


薄れていく意識の中、ミニョの脳裏には優しく微笑むテギョンの顔。


「・・・オッパ・・・好き・・・」


自分の腕の中で呟かれたミニョの言葉にハン・テギョンはドキリとした。




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