You're My Only Shinin' Star (72) 相変わらず | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

ミニョがアフリカへ出発する前日。

スケジュール調整はバッチリで、その日四人は一日中オフだった。といっても特別なことをする訳でもなく、ミニョは朝早く起き、テギョンとジョギングに出かけ、シヌと一緒にお茶を飲み、ジェルミとジョリーの散歩に出かける。ミナムはヘイと一緒にどこかへ出かけ、帰って来たのは夕方だった。

特に代り映えのない日常を過ごし、夜になるとパーティーが開かれた。


「これ、ヘイさんがミニョにって。」


ミナムは手に提げた袋から数本のカクテルの缶を取り出すとテーブルに並べる。


「どうせビールくらいしか用意してないだろうからって。これならアルコールほとんど入ってないようなものだし、飲んでも大丈夫じゃないかって。」


「お兄ちゃん、どうしてヘイさん一緒じゃないの?会いたかったのに。」


喜んで受け取るミニョに、ミナム以外の三人が驚いた表情をする。


「どうしてユ・ヘイがミニョに・・・それにミニョも会いたいって・・・」


「アフリカへ行っている時に手紙をもらって、何度か遣り取りをしてる間に仲良くなったんですけど・・・知りませんでした?」


「手紙?ユ・ヘイが?」


「はい、皆さんから頂く大きな封筒。初めのころは中身は三通だったんですけど、途中から四通になって・・・一通はヘイさんからでした。」


「四通のうち一通がユ・ヘイって・・・ミナム、お前のは?」


「俺、一回も手紙出してないもん。」


フフンと笑うミナムをジェルミが信じられないという顔で見る。ミニョもミナムから手紙が来なかったことを全く気にしていないようだ。


「お前達兄妹って変わってるな・・・」


ジェルミが首を傾げながら呟き、ビールを口にした。


「テギョンさん・・・飲んでもいいですか?」


ミニョはカクテルの缶が気になっているのか、さっきからチラチラとテーブルを見ている。

どうせミニョは自分の部屋で寝るんだし、ミニョと一緒にいられるのも今晩だけだと思うと寛大な気持ちになってくる。シヌとジェルミにミニョの酔った姿を見せるのは抵抗があったが、そうなる前に部屋へ連れて行けばいいだけのこと、そう思いカクテルの缶を手に取り眺めていると、 『アルコール分3%』 ・・・これなら大丈夫だろう。


「・・・少しにしておけよ。」


テギョンの許可が出たミニョは大喜びで缶を開けた。


「ミニョ、俺が注いでやるよ。」


ミニョからスッとカクテルの缶を取ると隣に座りグラスへとピンクの液体を注ぐシヌ。


「甘そうな香りだな。ミニョは甘い物は一気に飲む傾向があるからゆっくり飲むようにした方がいい。」


「やっぱりシヌさんはすごいです。」


好みだけでなく飲み方まで見ているなんて凄いと感心するミニョ。


「お茶の話は誰にもするなよ。あれは俺の秘密なんだからな。」


ミニョの耳にそっと口を寄せて囁くように言うシヌに、ミニョはコクコクと黙って頷く。


「ミニョ~、今度帰って来たら絶対カレー食べに行こうね。その後アイスも食べに行こう。」


シヌとは反対側のミニョの隣にジェルミが座り、ニコニコしながら話しかける。


「はい、楽しみですね。」


三人で並んで笑っている姿を見てテーブルを挟んだ向かい側に座ったテギョンは手にしたビールをぐいっと飲んだ。


「テギョンヒョン、随分我慢してるんだね。間に割り込んで行かないの?」


テギョンの横にガタガタと椅子を移動させ、ニヤニヤしながらミナムがテギョンの顔を覗き込む。


「俺がいない間、二人には世話になったからな。」


テギョンが合宿所へ帰ってこない間、落ち込むミニョを元気づけようと色々と気を遣っていたシヌとジェルミ。それが判っているテギョンは黙って三人を見ている。


「ミナム、本当にに一度も手紙を出さなかったのか?」


背もたれに体重をかけ腕組みをしながらミニョを見ていたテギョンが横にいるミナムに聞いた。


「ん?ああ、俺宛の封筒にはいつも俺の分とヘイさんの分が入ってたけど、こっちから出す時はヘイさんの手紙しか入れなかったから。」


ミナムは何でそんなことを聞くんだと不思議そうな顔をテギョンに向ける。


「今自分が何をしているのか伝えたいと思ったことはないのか?」


「別に・・・伝えることなんてないし。」


そう言いながらミナムはテギョンを見るとニヤリと笑った。


「俺とミニョには言葉なんていらないからね。黙っててもちゃんと通じるんだよ。」


テギョンの反応を窺うようにわざと大きな声で言ってみる。


― 何だと?言葉で伝えろと言ったのはお前じゃないのか?黙ってても通じるだと?


テギョンは頬をピクピクと引きつらせると一気にビールの缶を傾けた。


練習生をしていた三年間連絡を取らなかった。身代わり騒動がなければずっと会わなかったかも知れない。それがネルソンのことがあって以来、いつの間にかミニョの為に色々と動いている。自分の為だと言いきかせながら・・・

ミナムはたった二週間の間に随分とミニョのことを考えていたと思うと苦笑いを浮かべた。


「俺のことより、あっちを気にした方がいいかも。」


ミナムが指差す方を見ると・・・頬をほんのり・・・よりももう少し赤く染めたミニョがニコニコと笑いながら、シヌの肩にしなだれかかっている。

困った表情をしながらもまんざらでもなさそうなシヌと、ずるいといいながら羨ましそうに見ているジェルミを見下ろしながら、テギョンが間に割って入りミニョの腕をぐいっと摑むと立ち上がらせた。


「一体どれだけ飲んだんだ?」


「一本だけだよ。」


テギョンの呆れたような声にジェルミが肩をすくめながら答えた。


『アルコール分3%』 を一本。・・・これで酔うか?これでも酔うのか?


「テギョンさ~ん、カッチーニ歌ってもいいですかぁ~?この前より上手に歌えるように頑張りますからぁ~」


酔っているせいかふらふらしながら潤んだ瞳でテギョンを見つめ許可を求めるミニョ。


― おいおい・・・頼む、それだけはやめてくれ、あれは絶対にダメだ・・・


「ミニョ、ここは屋上だ、防音設備がなっていない。周りに聞こえたらまずいだろう。」


言い聞かせるようにミニョに言葉をかける。


「あ~、そうでしたぁ~・・・ざんねんですぅ~」


「おい、しっかり立て、部屋へ行くぞ。」


ニコニコと笑い気分のよさそうなミニョの腕を引っ張り階段まで行き抱き上げると、ミニョはテギョンの首にしがみつくように腕を回してきた。

テギョンは突然のミニョの行動にドキドキと鼓動を速くしながら部屋へ入るとそっとミニョを降ろす。スルリと首から腕が外れ、シャワーを浴びてきますとミニョはシャワールームへ消えていった。

テギョンはシヌにしなだれかかっていたミニョにやっぱり飲ませるんじゃなかったと思いつつ、抱き上げた時に自分の首にしがみついてきたミニョに頬を緩ませる。

一連のミニョの行動に今度から酒を飲む時は二人だけの時にしなければと考えていると、暫くしてミニョがバスローブ姿で現れた。

てっきりパジャマを着てくると思っていたテギョンはミニョの思いもかけない姿に顔を赤くしつつ、ちゃんと着替えておけよと言い残し自分もシャワーを浴びに行った。



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