You're My Only Shinin' Star (45) 対立 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

「シヌ、ジェルミ、そろそろ行くぞ。」


無言のまま食事が終わり、三人でリビングにいるとマ室長が二人に声をかけ玄関へと向かう。


「ねぇ、テギョンヒョンの言ってたことってどういうこと?ミニョとテギョンヒョン一緒に寝てたってこと?」


「・・・テギョンヒョンが自分で言ってたんだ、そういうことだろ」


「だってミニョはぬいぐるみ部屋だろ?疲れてるから起こすなって言われて・・・だから部屋も覗いてないのに。テギョンヒョンはミニョと一緒にいたってこと?」


ジェルミはショックでガックリと肩を落とす。


「あれ?前にもこんなことがあったような・・・。ミニョは別の部屋で寝ていると思ってたのに何故かテギョンヒョンの部屋にいて・・・」


目を瞑り、考え込むように腕組みをするジェルミ。


「あ、思い出した。ミニョがアフリカへ行く前の日、パーティーで寝ちゃった時だ。ミニョを起こしにミナムがテギョンヒョンの部屋に行った時だ。・・・あれ?そういえば何でミニョはテギョンヒョンの部屋にいたんだ、ミナムの部屋で寝てると思ったのに。」


「・・・ミナム・・・お前の仕業なんだろ・・・」


今まで黙っていたシヌが静かに口を開いた。

あの日シヌはミナムの行動をじっと見ていた。そしてミナムがミニョを起こしに行った時、ついて行こうとしたジェルミを止めている。 『ジェルミ、行かない方がいい』 と。ミナムが何をして、テギョンがどうしたかは判らないが、ミニョのところへ行かない方がいいと瞬時に判断した。


「そうだよ、俺がミニョをテギョンヒョンの部屋に連れて行くように仕向けたんだ。」


ミナムが何でもないことのようにサラッと言う。


「何でそんなことしたんだよ。俺すっごくショックだったんだぞ。」


「俺は俺の部屋に寝られないようにしただけ。でもまさかテギョンヒョンが部屋で一緒に寝てるとは予想外だったけど。」


あの時のことを思い出し、ミナムはクスクスと笑う。


「ミニョがアフリカへ行く前だけじゃなさそうだな。」


シヌが感情のこもらない冷ややかな目でミナムを見る。


「ああ、帰って来てからも俺が手を貸した、って言っても最初だけだけどね。後はテギョンヒョンの判断だよ。だいたいさぁ、何でそんなに気にするの?あの二人がどこの部屋で誰と寝てたって関係ないだろ。」


ミナムはシヌの方をじっと見ながら語気を強める。それはまるで、ミニョが好きなのはテギョンなんだからシヌには口を挟んで欲しくないと言っているようにも聞こえた。


「でもミニョはお前の妹だろ。いくら相手がテギョンヒョンだからって、男と一緒に寝てるなんて知って平気なのかよ。それに、自分からそう仕向けるってどういうつもりだよ。」


ジェルミが怒ったようにミナムに詰め寄る。

ミナムは俯いたまま何も言わない。両手をギュッと握りしめ、目を固く閉じている。

その目が開かれると同時に、いつものミナムのおどけたような声とは違う、少し低い声で話しだした。


「妹、妹って、ジェルミ・・・うるさいよ・・・」


ジェルミを軽く睨み言葉を続ける。


「ミニョだってもう子供じゃないだろ。それとも何、俺はミニョの恋愛にいちいち口を挟まなきゃいけないわけ?俺はこれからもミニョの面倒をみなきゃいけないわけ?俺はずっとミニョを守ってかなきゃいけないって言うのかよ!」


ミナムが叫ぶ。

それは今まで心の奥底に隠していたミニョに対する感情の一部。

生まれた時からずっと一緒だった。

ずっと守ってきた。

ずっと守ってやると思っていた。

だがその思いは時の経過と共に変化する。


そこには口元にいつものシニカルな笑みはなく、奥歯をぐっと噛み必死で溢れてくる涙を堪えているミナムの姿があった。身体の横に置かれた両拳は、手の平に爪がくい込むほど強く握りしめられていた。


「どうしたんだよミナム急に・・・」


あまりにもいつものミナムと違う様子にジェルミは驚きオロオロとする。

ミナムは二人に背を向けると手の甲で目に溜まった涙を乱暴に拭い、二度三度と大きく息をし荒くなった呼吸を静めた。


「ミニョがテギョンヒョンを必要としてるんだよ。俺でもシヌヒョンでもジェルミでもないんだ。」


ミナムが先程とはうって変わった静かな声で俯きながらそう言った。

ジェルミはミナムの変化に声もかけられず、黙ったまま立ちつくす。

シヌはミナムの言葉に苦い顔をした。ミニョがテギョンを必要としてる・・・最初から判っていたこと。


「確かに俺達が口を挟む問題じゃない。テギョンとミニョが二人で決めることだ。だが俺達は一つ屋根の下で共同生活してるんだ。いつどんなトラブルが起こるか判らない。ミニョが誰と一緒でも構わないが、どこで寝てるかくらいは把握しておく必要があると思うんだが。」


シヌはゆっくりと自分に言い聞かせるように静かに話す。


「おーい、シヌ、ジェルミ、遅れるぞー。」


玄関からマ室長の声が聞こえる。


「判った。テギョンヒョンが帰ってきたら話しておく。」


シヌとジェルミは玄関へ向かい、ミナムはリビングの床に座り込んだ。



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