You're My Only Shinin' Star (27) 帰国 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

合宿所の前に一台のタクシーが停まる。中から茶色がかった黒髪が、肩より少し下まで伸びている女性と、栗色のストレートの長い髪の女性が降りる。茶色がかった黒髪の女性は建物を見上げるとゆっくりと微笑む。

二人共大きな荷物を持ち、合宿所の中へ入って行った。


「ミニョ~、おかえり~」


玄関から中庭の見える廊下を通ってリビングへ入ると、ジェルミが両腕をいっぱいに広げて茶色がかった黒髪の女性―ミニョに向かってやってくる。・・・が、テギョンとシヌに服の裾を摑まれ、その腕は空をさまよう。

そのスキにミナムがミニョにハグをする。


「お帰り、ミニョ。」


「ただいまお兄ちゃん。」


ミナムの優しい笑顔に、ミニョも笑顔でかえす。


「ずるいよミナム、俺のが先だったのに。ねぇヒョン、あいさつぐらいいいだろ~」


テギョンとシヌは顔を見合わせると摑んでいた服を離した。


「軽く・・・だからな。」


テギョンがそっぽを向き口を尖らせながら小声で答えると、ジェルミは満面の笑みで再び両腕をいっぱいに広げ、そっとハグをする。


「おかえり~、ミニョ~」


「ジェルミ、ただいま。」


「ジェルミがOKなら俺もいいよな。」


ジェルミと入れ代わりにシヌが微笑みながらハグをする。


「お帰り、ミニョ。」


「ただいま、シヌさん。」


シヌは身体を離すと、ミニョの髪をくしゃくしゃっと撫でた。髪に手を当て、照れたように笑うミニョ。

その様子にさっきより更に口を尖らせたテギョン。


「何で俺が一番最後なんだ・・・」


ブツブツ文句を言いながら、ミニョの身体を包み込むようにギュッと抱きしめた。


「やっと帰って来たな。」


テギョンの顔に笑みが浮かぶ。


「はいテギョンさん、ただいま。」


暫くそのままミニョを抱きしめているテギョン。


「テギョンヒョン、長いよ。」


「うるさい。」


ジェルミの抗議にミニョが顔を赤くすると、テギョンの腕の中でバタバタと暴れだした。それでも抱きしめる腕を緩めないテギョン。

シヌとミナムが呆れる様にテギョンを見ていると、ミニョの後ろでクスクスと笑い声がした。

顔を真っ赤にしたミニョが何とかテギョンの腕から逃れると、慌てて笑い声の方を振り返る。


「あ、ごめんなさい、カトリーヌさん。皆さんこちらはアフリカでお友達になったカトリーヌさんです。」


栗色の髪の女性―カトリーヌはニッコリ笑うと軽く会釈をする。


「はじめまして、カトリーヌ・ジョーンズです。」


韓国語であいさつをするカトリーヌにミニョが目を丸くした。


「カトリーヌさん、韓国語しゃべれるんですか?」


「ええ、ミニョと会ってから勉強したの。ちゃんと通じるかしら。」


「はい、凄く上手です。」


ミニョの後ろから覆い被さる様に抱きつくカトリーヌに、シヌ、ジェルミ、ミナムは驚き、テギョンは口を尖らせる。


ニコニコと笑いながら、ミニョはカトリーヌに皆を紹介する。


「あなたがミニョの星ね・・・・・・」


カトリーヌはテギョンを見ると口元に微笑みを浮かべた。


「ねぇミニョ、合宿所に泊まるんだろ?俺とミナムでぬいぐるみ部屋きれいに片付けたから泊まれるよ。」


「ありがとうジェルミ。ここに来る前に院長様にご挨拶して、暫く修道院の方に泊めてもらおうと思ってたんだけど、院長様がお兄ちゃんの傍にいなさいって。合宿所の方に泊めてもらうようにっておっしゃるから・・・・・・」


テギョンとミナムは相談して院長様に連絡し、ミニョが合宿所に泊まれるように手を打っていた。


「ミニョ、疲れただろう、とりあえずお茶にしよう。カトリーヌさんもどうぞ。」


リビングのソファーにテギョン、ミニョ、カトリーヌが並んで座る。テーブルを挟んだ向かい側に、シヌ、ジェルミ、ミナムが座った。


「シヌさんのお茶を飲むと合宿所に帰って来たんだなぁって、実感します。」


ミニョはほんの少しだけぬるめのお茶をおいしそうに飲むと、ニッコリと笑ってシヌを見る。

シヌは口元に微笑みを浮かべ、テギョンは口を尖らせた。

ミニョはお茶を飲みながら、ピッタリとくっつくように座っているテギョンから伝わる温もりを感じていた。


― 帰って来たんだ、私。ずっと会いたかったテギョンさんの傍に・・・


ミニョの瞳からツーっと涙が頬を伝って流れ落ちる。


「ミニョ、どうしたの?」


ジェルミの声にテギョンがミニョの方を向くと、口元を手で押さえ涙を堪えようとしているミニョの姿があった。押さえた口から漏れるおえつ。


「どうした?」


テギョンが声をかけると、涙を止める為に呼吸を整えようとしながらも、次から次へと溢れ出る涙。


ごめんなさい・・・テギョンさん・・・・・・前では・・・泣かない…宿題・・・


俯き口元を手で押さえ呟かれた言葉は、テギョンにしか聞こえないほど小さな声だった。

前のめりに倒れそうになるミニョの身体をテギョンが慌てて抱き止める。


「「ミニョ!」」


シヌとジェルミが慌てて立ち上がると、テギョンが大丈夫だというように手で制した。


「・・・・・・寝てる・・・」


ミニョは頬を濡らしたまま、テギョンの腕の中で寝息を立てていた。


「ミニョ、ここ一週間ほとんど眠ってないみたいなの。どうやらここはミニョにとって、どこよりも安心できる場所みたいね。」


カトリーヌはカップをテーブルに置くと、眠るミニョを優しい眼差しで見つめた。

テギョンはミニョの頭を自分の腿の上に乗せると、親指でそっと頬の涙を拭い髪を優しく撫でる。ミニョを見つめる目は優しくどこか悲しげだ。


「テギョンヒョン、ミニョ部屋に連れてってよ。」


いつの間にか姿を消していたミナムがリビングに現れた。


          ○          ○          ○


ミニョを抱きかかえたテギョンはぬいぐるみ部屋のドアを開け・・・固まった。

ミニョの為に部屋を片付け、ベッドも入れたのに・・・そのベッドの上に山のような雑誌が積まれている。

ミナムの部屋のドアを開ける。


「・・・まったく、ミナムの奴・・・」


ミナムの部屋のベッドには、きれいに畳まれた衣類がベッド一面に並べてあった。

安心しきったように眠るミニョの顔を見ながら、テギョンは自分の部屋のドアを開けた。




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