最近、ジェルミが太った。
ミニョがアフリカへ行って一ヶ月が経った。
ミナムは元気いっぱい。
シヌはいつものポーカーフェイス。
テギョンは相変わらず不眠症で。
ジェルミは・・・太った。
ミニョからはまだ手紙が来ない。寂しさからか、アイスを食べ、シュークリームを食べ、ケーキを食べ、スナック菓子を食べ。その結果・・・太った。
メンバーは最近ジェルミがあまりにも菓子類を食べるのを知ってはいたが、その理由も判っていた為何も言わずにいたが、ワン・コーディから苦情が入る。
「ジェルミ、歌謡祭はとりあえず何とかするけど、アジアツアーまでには、元のサイズに戻しなさい。」
「ドラムはすごい体力使うんだよ。ちょっとくらい体重が増えたっていいでしょ。」
「ジェルミ、体力と体重は関係ない。ぜい肉をつけるより、筋肉をつけろ。」
テギョンに言われ、しゅんとなる。
「ミナムだって、アイスもお菓子もたくさん食べてるだろ。何で太らないんだ?」
不思議そうにミナムを見る。ミナムの体形は変わっていない。それどころか、少し引き締まって見える。
「だって俺、ジム通ってるもん。」
ミナムがサラッと答えた。
「ジムかぁ・・・一人で行っても続かないんだよなぁ」
チラッとミナムを見る。
「あ、俺ヘイさんと行ってるから邪魔しないでくれよ。」
最近のミナムは時々ヘイと出かけることがある。
「え~。じゃあ・・・シヌヒョン、一緒に・・・」
行かない?と聞こうとしたが、微笑むシヌの目が笑っておらず、無言で拒否しているのが伝わる。
「行かないよね~。う~ん・・・テギョンヒョンは?」
暫く考え、テギョンを誘ってみる。
「俺はジョギングしている。最近は忙しくて走ってないが。走るなら一人で走れ。」
テギョンはアジアツアーに向けて、曲をツインボーカル用にアレンジしている最中だ。
「身体動かすのは嫌いじゃないんだろ?」
「うん…」
しかし今のジェルミは、ジョリーの散歩くらいしかしていない。
「そういえば、ミニョはスポーツ苦手だったな~」
突然のミニョの話題に三人は一斉にミナムの方を振り向いた。
「自分にはないものだからって、男の人の硬い腹筋が好きだって言ってたな~」
幾分わざとらしい言い方だったが、三人は全く気づかない。
テギョンとシヌの目がキラリと光るのをミナムは見逃さなかった。
○ ○ ○
早朝、ジェルミはいつもならまだ寝ている時間なのに何故か目が覚めてしまい、リビングへ降りて行くと、外から帰って来たらしいテギョンが、白いパーカーのフードをとりながらキッチンへと入って来た。
「ヒョン、おはよう、早いね。」
「あぁ、おはよう・・・」
少し息を切らし、赤らんだ顔の汗をタオルで拭くと、冷蔵庫の中から青い瓶を取り出す。
「ヒョン、ジョギングして来たの?最近忙しくて走ってないんじゃなかった?」
「忙しくてもたまには走っておかないとな。ボーカルは肺を鍛えておかないと。」
水を飲むと、今度はリビングへ行き腹筋を始める。
「腹筋もするの?」
「あたり前だ、腹から声を出す為に、腹筋も鍛えておかないと。」
そう言うと、テギョンは黙々と腹筋を始めた。
○ ○ ○
「あれ~、シヌヒョン。」
ジェルミがジムへ行くと、シヌがエアロバイクをこいでいるのを見つけた。
「来ないんじゃなかったの?」
「俺は何も言ってないが。」
フッと口元に微笑みを浮かべ、今度は腹筋を始めた。
「腹筋もするの?」
「ステージでギターを弾くのには、腹に力を入れるからな。腹筋も鍛えておかないと。」
そう言うと、シヌは黙々と腹筋を始めた。
ジェルミは朝のテギョンの様子を思い出し、目の前のシヌを見る。
昨日のミナムの言葉を思い出し、あっと小さい声を上げる。
「そうそう、ドラムも腹に力を入れるんだよね。腹筋鍛えておかないと。」
そう言うと、ジェルミは黙々と腹筋を始めた。
○ ○ ○
「あら、珍しいわね。」
ミナムと一緒にジムに来たヘイが、シヌとジェルミを見つけた。
「あれ~、どうしたのかな急に二人して。」
ニヤニヤしながら二人を見るミナム。
その様子を見てヘイが軽くため息をついた。
「はぁ~、あんたまた何か言ったんでしょ。」
「いや、別に。」
そう言いながらもニヤニヤは止まらない。
「ヘイさん、俺だいぶ腹筋硬くなったよ。男の人の硬い腹筋が好きだって言ってたよね。」
昨日の会話。
ミナムは『ミニョが好き』とは言わなかった。
硬い腹筋が好きなのは・・・ユ・ヘイ。
真実を知らない三人は、その後ひたすら腹筋を鍛えた。
* * * * * * *
― 次回予告 ― (次のお話のどこかで出てきます)
「テジトッキ、仲間からだぞ。」
テギョンは部屋に入ると椅子に座り、ライム色の封筒をテジトッキに見せながら、ニンマリと笑った。
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