夜、二人並んで合宿所のテラスで夜空を見上げている。
待ってて下さいと言うミニョに星のネックレスを渡し、肩を抱くテギョン。
しばらくそのままでいたが、やっぱり納得がいかない。
「・・・だが何故アフリカなんだ?ボランティアならもっと近くの・・・国内でだって出来るだろう?」
わざわざ遠くへ行こうとするミニョの考えが判らず、どうしても聞いてしまう。
肩を抱かれたまま、夜空を見つめていたミニョがゆっくりと口を開いた。
「私は今まで色々な方々に助けられてばかりでした。修道院ではジェンマとして院長様やシスター達に迷惑ばかりかけて。A.N.JELLではコ・ミナムとしてテギョンさんやシヌさん、ジェルミにいつも助けられて・・・。ですから、今度はコ・ミニョとして、一人で頑張ってみたいんです。知らない土地で、知らない誰かのお役に立ちたいんです。」
ミニョはそう言うと、手の中の星を胸の前でギュッと握りしめた。
「アフリカは遠いです。寂しいからといって簡単には戻ってこられません。だから、頑張れると思うんです。」
手の中の星を見つめ、再び握りしめると、テギョンの方へ顔を向ける。
「ですから、今回のボランティアは修道院とは全く関係ありません。私個人でお願いして、コ・ミニョとして行くんです。アフリカは確かに遠いです、・・・でも、ちゃんと手紙書きます。楽しみに待ってて下さいね。」
「おい、ちょっと待て。修道院と関係ないって・・・知り合いのシスターの手伝いだってマ室長に聞いたぞ。」
「あ、あれは・・・私が個人でお願いしたボランティアに偶然知り合いのシスターがいらっしゃるみたいで・・・」
「それに、手紙って・・・」
テギョンはミニョの肩を摑むと自分の方へと向かせた。
「携帯は繫がらないのか?パソコンは?メールもダメなのか?そんなところに行くのか?」
「携帯もパソコンも大丈夫だと思います。でも、メールはしません。携帯も・・・置いて行きます。」
「はあ?何だそれは。それじゃあ連絡がとれないじゃないか。」
「ですから、手紙を書きます。」
「手紙って・・・何日もかかるだろう。せめてメールだけでも・・・」
テギョンの口が尖る。
A.N.JELLは忙しい。兄のミナムが入ってからは特に。時には眠る間もないくらいスケジュールが詰まっているのを、ミニョは知っている。
「メールはしません。テギョンさんはとてもお忙しいですから、そんなことを気にしている暇があったら、少しでも身体を休めて下さい。」
メールの遣り取りは、きっとすぐ返事が欲しくなってしまう。
忙しいテギョンを相手に、いつ返事が来るのかと待っているのは辛い。何故返事が来ないのかと考えてしまう自分も嫌だ。
そんな気持ちのまま、アフリカで子供達と接することは出来ない。
それならいっそのこと、手紙にしてしまえば気が楽になる。
「そんなことって・・・いつでもお前の様子が知りたいと思うのは、いけないことなのか?」
「私は・・・手紙が好きなんです!」
ミニョの返事に、テギョンの口が更に尖った。
宜しければ1クリックお願いします
更新の励みになります
↓