主観的な出来は、まずまず。
分量は、8ページの前半くらいまで。
例年より難易度は低かったと感じました。
特に、設問1と3は(設問2も規範の定立までは同様)、基本知識で解答できるため、確実に点をとりたいと考えながら書いてきました。
設問2の主観的範囲の論点については、やや応用論点と考えていたため論証集に搭載していなかったことから、気づけず(泣)
民事訴訟法
第1 設問1
1 (1)について
(1)本件の連帯保証契約書(以下、「本契約書」とする。)は、一般に処分証書として扱われる。
処分証書とは、当該書面を作成した者の法律行為に向けた意思表示が記載されている証書をいう。
そして、文書の作成の真正が証明された場合には、特段の事情がない限り、記載通りの法律行為・意思表示があったものとして、裁判所による認定がなされることになる。
(2)当初の請求原因②の事実を立証する場合
ア この場合、本契約書はいかなる意味を持つか。
本契約書には、BがXとの間で連帯保証契約を締結する旨の意思表示が記載されている。
そうすると、本契約書は、特段の事情がない限り、XB間で連帯保証契約が締結されたことを立証する証拠として機能する。
イ(ア)もっとも、このような意義が認められるのも、文書の作成の真正が認められた場合に限られる。文書の真正はどのように認められるのか。
(イ)私文書の場合,民事訴訟法(以下、略)228条4項により,本人又は代理人の署名又は押印があれば,文書の成立の真正が推定される。この推定の法的性質が問題となる。
この点,同項は法定証拠法則を定めたものであり,事実上の推定に過ぎないと考える(法定証拠法則説)。
なぜなら,これを法律上の推定と捉え,証明責任の転換をもたらすとすれば,裁判所の自由心証(247条)に対する過度の制約になりかねないからである。
よって,挙証者の相手方としては,事実上の推定を破るため,裁判所にこれについての合理的な疑いを抱かせる程度の証明をすることにより,文書の成立の真正を否定することができる。
(ウ)次に,228条4項の「署名又は押印」は,本人または代理人の意思に基づくものである必要がある。
もっとも,押印の場合,文書に押捺された印影が本人又は代理人の印鑑によるものであるならば,それが意思に基づく押印であることが事実上推定されると考えられる。
なぜなら,本人の印鑑を他人が勝手に使用することは,通常はあり得ないという経験則が認められるからである。
よって,挙証者としては,押印のある文書である場合には,その印影が本人又は代理人の印鑑によるものであることさえ立証すれば,それが意思に基づくものであると事実上推定され(一段目の推定),それにより,228条4項が適用されて文書全体の成立の真正という事実が法律上推定されることになる(二段目の推定)。
(エ)本件では、連帯保証人欄にBの記名押印があるため、本人または代理人の意思に基づくものであると事実上推定され(一段目の推定)、228条4項が適用されて文書全体の成立の真正という事実が法律上推定される(二段目の推定)。
(3)第2の請求原因③の事実を立証する場合
ア 本契約書が、代理権の発生原因事実という要件事実を立証するにあたりいかなる意味を持つか。
まず、文書の作成の真正は認められるか。
前提として、Cが署名代理の方式によっていることから、本契約書に現れているのは、代理人Cの意思である。
そうすると、前述の二段の推定を用いたところで、228条4項によって推定されるのは、本人Bによる作成の真正ではなく、代理人Cによる作成の真正であることになる。
これを前提に本件をみると、やはり、本契約書には、Bの記名・押印があるところ、これは、直接本人の氏名・印章を用いるという署名代理の方式によるものである。
よって、Cの意思に基づいて記名・押印されたものと事実上推定され(一段目の推定)、228条4項によって、真正に作成されたことが法律上推定される(二段目の推定)。
イ 次に、本契約書が処分証書であるとしても、常に、直ちに要件事実を基礎づけるわけではない。
本件では、立証すべき要件事実は、BからCに対する連帯保証契約の代理権の授与の事実である。そして、本契約書に記載されているのは、代理人CとXの間で連帯保証契約が締結されたことである。
そうすると、本契約書の記載内容は、BからCへの代理権の授与があったことを推認させる間接事実としての意義を有するにすぎないことになる。
2 (2)について
(1)参考判例は、代理人による契約の締結という事実が当事者から主張されなくとも、裁判所がこれを認定して判決を下すことは、弁論主義(第1テーゼ)に反しないとする。
本件においても、この判例の趣旨は妥当するか。弁論主義の第1テーゼに反しないか。
(2)ア まず、弁論主義とは、裁判の基礎となる事実と証拠の収集・提出を当事者側の権能かつ責任とする建前という。
そして、弁論主義の趣旨は、①当事者の意思の尊重と、②不意打ち防止・手続保障機能にある。
イ では、弁論主義はどのような範囲の事実に適用されるか。
この点,主要事実は訴訟の勝敗に直結するものであり,当事者の意思の尊重及び不意打ち防止の見地から主張責任の対象とすべきである。
一方,間接事実・補助事実は主要事実の存否を推認する資料となる点で証拠と同レベルにあるため,これらの事実にも弁論主義の第一原則の適用があると,自由心証主義(247条)に反する危険がある。
よって,主要事実のみに適用があるものと考える。
なお,主要事実とは,基準の明確性の観点から実体法の規定する要件に該当する具体的事実を意味する。
本件では、代理権の授与の事実の有無が問題となっている。これは、民法99条という実体法規が定める要件事実の1つであり、主要事実にあたる。
そうすると、弁論主義の適用があり、当事者の主張がない限り、裁判所はこれを認定することはできないはずである(第1テーゼ)。
ウ ここで、参考判例は本人が契約した場合も、代理人が契約した場合も生じる法律効果が異ならないことを理由に、弁論主義違反はないとする。
参考判例の事案は必ずしも明らかではないものの、少なくとも本件においては、代理権の授与の事実の有無によって、有権代理(民法99条)となるか、無権代理となるかが異なる場合である。つまり、生じる法律効果は異なる。
さらに、本件の場合に、当事者の主張しない代理権授与の事実を裁判所が認定すれば、当事者にとって不意打ちになることは明らかである。
そうすると、弁論主義の趣旨に真っ向から反することになるといわざるを得ない。
(3)よって、本件においては、参考判例の趣旨は及ばないと同時に、弁論主義の趣旨に反するため、Pの見解は不当である。
第2 設問2
1 訴訟告知を受けたCが、①CがBの代理人として保証契約を締結したこと(以下、「①事実」とする)、②CがBから代理権を授与されたこと(以下、「②事実」とする)を否認できない理由は、「効力」(53条4項、46条)が及ぶ可能性があるからである。
2(1)訴訟告知を受けた者には,参加した訴訟の結果について一定の「効力」が及ぶ(46条)。
しかし,いかなる場合に,どのような範囲で及ぶかが条文上明らかでなく,問題となる。
この点,補助参加人に判決効が及ぶ根拠は,補助参加したにもかかわらず,被参加人が敗訴した場合に,公平の観点から,敗訴責任を分担する点にある。
よって,補助参加人に及ぶ効果は,既判力とは異なる特別の効力である参加的効力であると考える。
(2)主観的範囲は、敗訴当事者間であるが、本件では訴訟告知を受けたCに参加的効力が及ぶ。
(3)客観的範囲については、いかに考えるべきか。
この点,参加的効力が及ぶ範囲は,この趣旨に沿うように考えるべきである。
具体的には,参加人は前訴において主に理由中の判断について争うのが通常である。
よって,参加的効力は判決の理由中の判断にも及ぶ。
もっとも,参加的効力の及ぶ理由中の判断とは,判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断をいう。
以下、①②について検討する。
3 ①事実について
(1)まず、訴訟1で裁判所は表見代理(民法110条)に基づいて保証契約を認め、履行請求を認容している。
そうすると、裁判所は主文を導くための理由中の判断として、ⅰ基本代理権、ⅱ越権行為、ⅲ正当な理由という主要事実ついて法律判断していると考えられる。
(2)そして、①事実は、ⅱ越権行為に該当する事実である。
よって、①事実は、参加的効力の客観的範囲に含まれる事実であり、Cを拘束する。
(3)したがって、Cは、①事実を否認することはできない。
4 ②事実について
(1)②事実は、保証契約についての代理権の授与の事実である。
そうすると、②事実は、ⅰ基本代理権を基礎づけるものとして主要事実に係る認定に用いられた可能性がある。
しかし、民法上、基本代理権と保証契約についての代理権は異なる。
よって、②事実は、判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断には該当しない。
したがって、②事実については、参加的効力が生じないため、Cは、当該事実について否認することができる。
第3 設問3
1 ①Cのみが控訴した場合
(1)本件では、XとBC間の訴訟は、同時審判申出訴訟(41条1項)である。
Cのみが控訴した場合には、いかなる範囲で控訴審に移審するか。
この点、同時審判申出訴訟はあくまで通常共同訴訟であるため、共同訴訟人独立の原則(39条)の適用がある。
そうすると、1人の者が控訴をしたところで、他の当事者間の審理対象は、控訴審に移審しない。
本件でも、Cの控訴の効果はXC間にのみ及び、Bには何ら影響を及ぼさない。
よって、控訴審での審判範囲はXC間の訴訟物の存否に限られる。
(2)そうすると、後述のように、②の場合では事実上、裁判所の自由心証によって両負けの防止が図られるのに対し、本件の場合は、事情を異にする。
つまり、Xは一審において、Bに敗訴しているところ、控訴審でCに敗訴した場合には、両負けの事態を甘受せざるをえないといえる。
①の場合は、審判の統一は図られないといえる。
このような事態をXが避けるためには、一審でBに敗訴したことを捉えて、控訴し、41条3項によって、控訴審での弁論の併合を期待する他ないといえる。
2 ②C及びXが控訴した場合
(1)②の場合は、39条が適用されるとしても、XB間、XC間の審判対象が各々控訴審に移審することになる。
そして、41条3項が同一の控訴裁判所に継続する場合に限り、弁論の併合を義務付けているため、両者の審理は併合して行われる場合がある。
(2)ア ここで、併合審理をうけることで、どの程度、審判の統一が図られるか。共同訴訟人間の証拠共通及び主張共通は認められるか。
証拠共通の原則は認められるか。
この点,自由心証主義の下では,1つの歴史的事実の心証は1つしかあり得ない。
また,本原則を採用すれば裁判の矛盾回避に資する。
よって,証拠共通の原則は認められると考える。
イ 主張共通が認められるか。
この点,抗弁の内容について,他の共同訴訟人に有利なものについては,当然の補助参加の理論を認めるという見解がある。
しかし,いかなる事実主張をするかの自由は弁論主義に妥当するものである。
証拠共通は自由心証との関係で認められても,事実主張のレベルにおいては同様には考えられない。
そうすると,明文もなく,その自由を侵害することは許されない。
よって,当然の補助参加の理論は認められない。同様に,主張共通の原則も認められないと考える。
ウ 以上のように、共同訴訟人間では証拠共通の原則が認められるため、事実上、裁判所の自由心証によって審判の統一が図られることになる。
よって、一定の範囲でXは両負けを防ぐことができる。
以上