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中央大学ロースクール生が新司法試験合格を目指すブログ。10回受験して、10回合格する力をつけることが目標!


【論点】コース別雇用管理 『野村証券事件』
1 総合職・一般職といったコース別雇用管理制度には,公序違反として違法性が認められるか。
2 たしかに,一般的には,職種は,性別とは関係がない。
  しかし,男女雇用機会均等法の改正により,募集・採用・配置・昇進に関しては,使用者は平等取扱義務を負うと考えられる(同法5条・
6条)。
 そうすると,職種転換制度が存在しても,上司の推薦や試験が必要である等,女性に特別の条件を課している場合は,これによる正当化
は認められない。
3 したがって,同法改正後において,男女コース別雇用管理制度につき,女子は一律に一般職とするといった運用がなされている場合には,
男女雇用機会均等法6条に反して違法であると考える。
4 結果として,不法行為に基づく損害賠償請求をすることできる。
  ただし,使用者には人事に関する裁量が認められ,これまでの発令行為のない段階での昇格を認めることは困難であるため,地位確認請求及び差額賃金請求は認められない。


5 採用


【論点】採用の自由の限界  『三菱樹脂事件』(最大判昭48.12.12.) 平成21年 新司法試験第1問
1 思想・信条を理由とする採用拒否は許されるか。
2 この点,使用者は,企業の経済活動の自由(憲法22条,29条)から,採用の自由を有している。
また,労基法3条は,雇入れ後の労働条件を規制する規定であるため,雇入れそのものを制限する規定ではない。
3 よって,採用者はどのような者をどのような条件で雇うかを原則として自由に決めることができると考える。 
4 ただし,侵害の態様が社会的許容限度を超える場合は違法となると考える。
 
※ 使用者による採用拒否が公序良俗違反になる場合であっても,採用の自由の観点から,契約締結自体を強制することはできない
不法行為として損害賠償を請求できるにとどまる


【論点】調査の自由の限界
1 思想・信条の調査は許されるか。
2 この点,使用者は,企業の経済活動の自由(憲法22条,29条)から,採用の自由を有している。
また,雇用関係は継続的契約関係であり,相互信頼が重要な要素となる。
3 よって,使用者が採用過程において労働者の思想・信条を調査し,これに関連する事項の申告を求めることも直ちに違法とはいえない。
4 ただし,侵害の態様が社会的許容限度を超える場合は違法となると考える。


【論点】採用内定の法的性質 『大日本印刷事件』(最判昭54.7.20) え本8 LEC選択マスター第2回
1 契約成立と法的性質
(1)採用内定の取消に解雇権濫用法理(労契法16条)は適用されるか。
まず,採用内定の法的性質が問題となる。
   この点,採用内定の法的性質について,一義的に論断することは困難であり,採用内定の事実関係に即して,入社までに特段の意思表
示が予定されていないときは,採用内定時点で労働契約が成立すると考える(民法623条、労契法6条)。
   この判断は,契約書の文言,処遇,慣行等を考慮して行うべきである。
(2)そして,法的性質については,内定者は他企業への就職の機会を放棄するのが通例であるから,内定者の期待を保護する必要があるた
め,就労始期付留保解約権付労働契約と考える。
   (あてはめ)
2 研修への参加義務
そもそも,研修への参加義務が認められるか。
  この点,就労始期付留保解約権付労働契約と考えることから,就労を前提としない義務については,就業規則,当事者の言動・認識により義務の有無を判断する。
  (あてはめ)
3 内定取消の適法性
採用内定の取消には,解雇権濫用法理が適用される(労契法16条)。
  具体的には,解約権の行使は,解約権留保の趣旨・目的に照らし,客観的に合理的と認められ,社会通念上相当と認められる場合に適法となる。
4 取消事由
そして,解約権留保の趣旨は,内定者に関する事項で,採用内定段階では使用者が十分に知り得なかったことについて必要な調査を行い,
最終的な決定を留保する点にある。
よって,採用内定の取消事由は
①採用内定当時知ることができない事実であり
②これを理由として採用内定を取消すことが解約権の目的・趣旨に照らし,客観的に合理的な理由が認められ,社会通念上相当として
是認できるものに限られると考える。


【論点】採用内定取消についての不法行為責任 『パソナ事件』『コーセーアールイー事件』LEC選択マスター第2回 
1 Xは,採用に対する期待を違法に侵害し,財産的・精神的損害を被ったとして,不法行為に基づく損害賠償請求をすることができないか。
2 まず,内定者の採用に対する期待が法的保護に値するか。
  本件では,内定者が就労への期待を有することは当然であり,入社・内定の数日前であった等の諸般の事情から内定者の期待は十分に法
的保護に値する程度に高まったといえる。
3 次に,内定者の期待を違法に侵害したといえるか。
  本件では,使用者側が経営状態の悪化を十分に認識しつつ,採用を推し進めたことから,労働契約締結過程における信義則に反し,内定
者の期待を違法に侵害するものといえる。


【論点】試用期間 え本9 プレテスト第1問 LEC選択マスター第2回
1 試用期間該当性
本件の期間の定めは有期契約の存続期間か、試用期間か。
労働契約に設けられた期間の意味を検討する必要がある。
  この点,期間を設けた趣旨・目的が労働者の適格性を判断するためのものであるときは,期間満了により雇用契約が当然に終了する旨の
明確な合意が当事者間に成立しているような特段の事情のない限り,当該期間は契約の存続期間ではなく,試用期間であると考える。
  (あてはめ 特段の事情がないと認定)
2 法的性質
  試用期間中の法律関係はその実態が様々であることから、一義的に判断できず、当事者の意思解釈により判断する他ない。
(あてはめ 試用期間の前後で内容が同じ、本採用拒否は例外的と認定)
 そうすると,試用期間の法的性質は,解約権留保付労働契約であると考える。
3 採用拒否の適法性
そうすると,本採用拒否には,解雇権濫用法理が適用されることになる(労契法16条)。
  よって,本採用拒否には,解約権留保の趣旨・目的に照らして,客観的に合理的な理由が認められ,社会通念上相当といえることが必要となる。
具体的には,採用決定後の調査や試用中の勤務状態によって判明した事実により試用期間後引き続き雇用しておくのが適当でない場合を指す。
  (あてはめ)
3 無効とされた場合
  試用契約は解約権留保付労働契約であるから,解約権の適法な行使がなされずに試用期間が経過すれば本採用の地位に移行する。
  したがって,試用期間が経過すれば本採用がなされたものとして正規従業員の法的地位を認めるべきであると考える。


7 非典型労働契約


【論点】期間途中の解雇
「やむを得ない事由」がある場合でなければ,期間満了前に解雇できない(労契法17条1項,民法628条反対解釈)。

※「やむを得ない事由」
→ 期間の定めのない労働契約における解雇の合理的で相当な理由(同法16条)よりも限定されたより重大な事由


【論点】雇止めの法理の適用場面『東芝柳町工場事件』(最判昭49.7.22)『日立メディコ事件』(最判昭61.12.4)
                プレテスト,平成21年 新司法試験第1問,2問
1 労働契約の更新拒否は適法か。
 まず,期間の定めのある契約は,黙示の更新(民法629条1項)がない場合,当然に終了する。
そして,労働契約の更新は当事者の自由に委ねられるので,原則として更新拒否は適法である。
2 しかし,この原則を貫いた場合,労働者の法的地位が不安定になるおそれがある。
  そこで
①有期労働契約が反復更新されて期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となった場合(実質無期型)
②期間の定めのない契約と実質的に異ならないと認められなくても,雇用関係継続への合理的期待が認められる場合(期待保護型)
(③当初から契約の更新を予定されていた結果,雇用継続に対して合理的期待が生じている場合)
には,更新拒否は,実質において解雇の意思表示にあたるといえるため,労契法16条(解雇権濫用法理)を類推すべきであると考える。
3 そして,①②にあたるかの判断は
ア 業務の内容
イ 契約更新の状況(有無・回数・勤続年数等)
ウ 更新手続
エ 雇用継続を期待させる使用者の言動・認識
オ 他の労働者の更新状況
等の事情を総合的に考慮して行うべきである。
4 あてはめ
(1)①実質無期型該当性
本件では,
(ア)Xは簡易な手続で採用され,正社員と明らかに区別された職種の臨時工であり
(イ)通算勤続期間も1年に満たないから
①期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になったとは認められない。
(2)②保護期待型該当性
しかし
(イ)本人による書類作成を行わないルーズな形で,5回更新が繰り返されたことにかんがみると,②Xは正当な理由のない限り次回も継続雇用されるという合理的な期待を有するに至ったと考えられる。
    よって,Yの更新拒絶には労契法16条(解雇権濫用法理)が類推適用される。


※え本では,①業務内容(恒常性),②当事者の主観的態様,③更新手続の実態(慣例,回数,手続)を判断基準とする


【論点】雇止め法理 整理解雇雇止め編
1 Yの更新拒絶は有効か。
Yは,業績悪化を理由に当該雇止めを行っているので,整理解雇法理に準じた検討が必要になる。
2 判断基準
この点,本件のような業績悪化を理由とする解雇は,労働者に帰責事由のない解雇であるために,通常の解雇の場合よりも厳格に有効性を判断すべきである。
  そこで
①人員削減の必要性
②解雇回避努力義務の履行
③被解雇者の選定の合理性
④手続の妥当性(協議・説明義務)
の4つの要素に関する諸事情を総合考慮して,整理解雇が客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当と認められるか否かを判断すべきである(労契法16条)。
3 あてはめ
本件では,①業績悪化による人員削減の必要性は認められる。
また,③恣意的な人員選定は認められず,④手続にも妥当性が認められる。
次に,②整理解雇回避義務の履行は認められるか。
 本件のように比較的簡易な採用手続で締結されている非正社員(有期契約による臨時員)と終身雇用の期待の下で雇用されている正社員との間には合理的差異がある。
そして,人員削減の必要性が生じた場合に,正規従業員以前に臨時従業員の削減を図るのは社会的に見て合理的であり,雇止めに先立つ希望退職を正規従業員から募ることまでは要求されないと考える。
  よって,本件においても整理解雇回避義務の不履行は認められない。
4 したがって,Yの更新拒絶は有効である。

※雇止めが不当とされた場合の効果
 → 短期労働契約が更新されたのと同様の法律関係となる(下の論点)


【論点】黙示の更新の効果(同契約説)『日立メディコ事件』(最判昭61.12.4)
期間の定めのある労働契約が黙示に更新(民629条1項)された場合,労働契約の期間をいかに考えるべきか。
この点,期間の定めのない契約に転化するとすれば,労働契約法16条が適用され,臨時労働者を容易に解雇できなくなり,雇用の実態に合致しない。
 よって,同期間の契約として更新されると考える。


【意義】労働者派遣
 労派法2条1項
※業務請負とは、労働者と派遣先企業との間に一定の指揮・就労関係がある点で異なる
 

【論点】派遣先企業との関係
1  原則
   指揮命令,就労関係のみ
2  例外
   黙示の労働契約


【論点】偽装請負  『松下プラズマディスプレイ事件』  (最判平21.12.18)
1  偽装請負の場合で、かつ、労働者派遣にもあたらない場合、労働者と請負企業の間の労働契約は有効か。
2  この点,労働者派遣法は,取締法規としての性質を有するのみであり,契約の効力を直ちに左右しない。
   また,このような場合,労働契約の成立を認めて労働者を保護する必要がある。
3  よって,労働契約は有効と考える。


【論点】偽装解散
 この場合,解雇は無効となるが,解散した会社に雇用の継続を主張することは不可能である。
 よって,事業を承継した会社に対して,法人格否認の法理によって争うべきである。


8 賃金


【論点】留学費用の返還免除約定と労基法16条 『長谷工コーポレーション事件』(東京地判平9.5.26) え本5
1 被用者の海外留学等に際し,使用者が費用を貸与するが,就学後一定期間内勤続した場合その返還を免除するとの約定は有効か。損害賠償の予定を禁じた労基法16条に反しないかが問題となる。
2 この点,使用者が自企業における能力開発の一環として業務命令で研修させ,研修後の労働者に一定期間の勤務を約束させる実質のものであれば,賠償予定禁止(労基法16条)に反すると考える。
これに対し,業務性が弱く,個人の利益が強い場合には,研修後一定期間勤務すれば免除が認められる特約付きで使用者が貸与したも
のと認められ,賠償予定禁止に反しないと考える。
3 判断基準
  ①留学の業務性(留学実施・研修先の決定の自由決定の有無,職種と学位の関連性,転職に有利となるか)
  ②返還免除基準の合理性(免除期間,基準の不明確性)
  ③返還額・方式の相当性(勤続期間に応じた減額)

※一部認容もある(野村証券事件)


【論点】パ労法8条の要件を満たさない場合に公序違反が認められるか 『丸子警報器事件』 (長野地平成8.3.15)
1 正社員とパートタイム労働者の間に賃金格差が生じている場合,同一労働同一賃金の原則違反を理由に差額について不法行為に基づく損害賠償請求が認められるか。
 正社員とパートタイム労働者の間の賃金格差を生じさせる給与体系は公序良俗(民法90条)に反し,無効とならないか。
2 この点,同一労働同一賃金の原則を直接定める実定法上の根拠は見当たらない。
また,職種が異なる労働を比べて,その労働価値が同一であるか否かを客観的に判断することは困難である。
  よって,同一労働同一賃金の原則は,「公の秩序」(民法90条)の内容となっておらず,差額について不法行為に基づく損害賠償請求は認められないと考える。

(3 もっとも,労基法3条,4条のような差別禁止規定の根底には,均等待遇の理念が存在する。
そこで,同一労働同一賃金の原則の基礎にある均等待遇の理念は,賃金格差の違法性判断において,一つの重要な判断要素として考慮され,その理念に反する賃金格差は,公序良俗違反と認められると考える。
その判断においては
 ①職種,作業内容
 ②勤務時間,日数において正規労働者との同一性
 ③格差の割合
等を総合的に考慮すべきである。)


【論点】退職金不支給・減額条項の適法性 『三晃者事件』え本11,12 平成18年 新司法試験第1問
1 本件退職金減額条項は,賃金全額払いの原則(労基法24条)及び損害賠償額の予定として労基法16条に反しないか。
2 退職金の賃金性
まず,退職金は,11条の「賃金」にあたるかが問題となる。
 この点,任意的・恩恵的給付にすぎないときは賃金にはあたらないが,労働協約・就業規則・労働契約・労使慣行などによって予め支給条件が明確に定められ,使用者に支払い義務があるものは賃金にあたると考える。
3 退職金の法的性質
  この点,退職金は,通常,算定基礎賃金に勤続年数の支給率を乗じて算定される。
また,算定基礎賃金は退職時の基本給であり,支給率は勤続年数に逓増していくことから,①過去の労働の対価の後払い的性格を有するとともに,②功労報償的な性格も有すると考える。
4 退職金減額条項の有効性
そこで,退職金の功労報償的な性格からすると,退職金の額は退職事由,勤続年数などの諸要件に照らして退職時において初めて確定する。
よって,退職時までは具体的債権として発生していないため,賃金全額払いの原則及び損害賠償額の予定の禁止には反しない。
5 退職金返還請求の可否
減額規定が適法であるとして,退職金の返還請求が認められるか。
  この点,退職金が功労報償的性格に加え,賃金の後払い的性格を有することから,退職金の没収や減額をすることが認められるのは,労働者のそれまでの勤続の功を抹消するような著しい信義違反行為があった場合に限られると考える。
  具体的には
①減額の必要性
②減額率の妥当性
③退職の経緯
④退職の目的
⑤労働者の同業他社への就職によって会社が被った具体的損害
等から総合的に判断すべきである。

【短文】
1 退職金没収条項が労基24条1項に反しないか。
2 賃金全額払いの原則は,貸金請求権の発生を前提とするところ,退職金の額は,退職事由,勤続年数などの諸条件に照らして退職時に
初めて確定するのであり,退職時までは債権として成立していない。
3 したがって,不支給条項は賃金全額払いの原則(24条)には反しないと考える。
4 もっとも,退職金の功労報償的性格からすれば,没収条項を適用できるのは,労働者のそれまでの勤続の功を抹消する程の著しく信義
に反する行為があった場合に限られると考える。

※退職前の退職金没収条項の有効性と退職後に退職金と相殺する場合の混同に注意
後者については,賃金全額払の原則が相殺禁止の趣旨も含むことを前提としたうえ,退職金の賃金性を肯定して相殺禁止にあたるとする
※職務外の行為には強度の背信性が要求される
 減額については,個別事情に応じて行うことができる


【論点】退職後に懲戒解雇事由が判明した場合,労働者は退職金を請求できるか『日本高圧瓶工業事件』
1 退職後に懲戒解雇事由が判明したときでも,労働者は退職金を請求できるか。
すでに退職金請求権が発生していることから問題となる。
2 この点,退職後に判明した在職中の懲戒解雇相当事由が永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な背信行為である場合にも,退職金請求ができるとするのは公平に反する。
3 よって,このような場合の退職金請求は権利の濫用(民法1条3項)に該当し許されないと考える。


【論点】退職金支払後に懲戒解雇事由が判明した場合,使用者は労働者に返還請求できるか
1 退職金支払後に懲戒解雇事由が判明した場合,使用者は労働者に返還請求できるか。
2 この点,既に退職金が支払われてしまった以上,いかに重大な背信行為があっても返還請求できないとするのは,不当利得制度の趣旨である実質的公平の原理に反し妥当でない。
3 よって,労働者のそれまでの勤続の功を抹消してしまうほどの重大な背信行為があった場合には不当利得返還請求ができると考える。


【論点】賞与・一時金の法的性質
1 賃金該当性
 この点,賞与・一時金が恩恵的給付にすぎない場合は賃金とはいえないが,支給基準が定められていて,使用者に支払義務が認められる場合には,賃金と認められる。
2 法的性質
賞与は,通常,算定基礎賃金に支給率を乗じて計算されるので,賃金の後払的性格を有する。
また,実際上,意欲向上策としての機能を有することも否定しがたい。
よって,両者の複合的性格を有すると考える。


【論点】賞与一時金の支給日在職要件の適法性  『大和銀行事件』(最判昭57.10.7) 
1  賞与の支給日に在籍することを支給要件と定め,支給日以前に退職した労働者に対して賞与を支給しないことは適法か。
2  まず,賞与は賃金の後払い的性格を有することから,労基法24条の賃金全額払いの原則に反するかが問題となる。
   この点,賃金全額払いの原則は賃金請求権の発生を前提とする原則であるところ,賞与は,労働協約や就業規則に規定されてはじめて発生する賃金という性格を有する。
そうすると,支給日に在籍しない労働者については,そもそも賃金請求権が発生していないといえる。
よって,賃金全額払いの原則には反しないと考える。
3  次に,公序良俗(民法90条)に反しないか。
この点,賞与の任意的性格に鑑みると,支給要件をどのように定めるかは,原則として会社の自由である。
また,将来の勤務への奨励という性格もあり,本人が任意に退職日を選択して退職する限り,意欲向上策として支給日在籍要件は合理性があるといえる。
よって,支給日在籍要件は公序良俗に反しない。
(ただし,労働者が退職日を任意に選択することができないような場合にまで不支給とすることは,賞与の賃金後払い的性格を著しく軽視する結
果となる。
したがって,労働者が退職時期を任意に選択することができない場合(定年退職,整理解雇)には,公序良俗(民法90条)に反し違法であると考
える。)


【論点】小切手による賃金支払は通貨払の原則(労基法24条)に反しないか
小切手による賃金支払は通貨払の原則を定める労基法24条に反しないか。
 この点,通貨払の原則(労基法24条)の趣旨は,現物給付は価格が不明瞭で換価も不便であるため,労働者の生活が不安定になることを防止することである。
 ここで,小切手も確実に支払われるかは不明であり,労働者の生活が不安定になるおそれがある。
そうすると,小切手による支払を認めることは通貨払の原則の趣旨を没却することになる。
  したがって,小切手による賃金支払は認められないと考える。


【論点】賃金請求権の譲渡の可否  『電電公社小倉電話局事件』  (最判昭43.3.12)  え本11
賃金請求権が譲渡された場合,譲受人に賃金を支払うことが,直接払の原則(労基法24条1項)に反しないか。
 この点,直接払の原則(労基法24条1項)の趣旨は,仲介人が賃金を代理受領して中間搾取を行うことや親が年少者の賃金を奪うことを防止することにある。
 そうすると,譲受人に対する支払を有効とすると,賃金債権の譲渡という形式をとることにより直接払の原則の趣旨が潜脱されるおそれがある。
  したがって,譲受人に対する支払は直接払の原則に反し認められないと考える。
そこで,債権自体は譲受人に移転するが,使用者は譲受人に支払うことはできず,労働者は法律上当然に譲受人の代理人となると考える。


【論点】使者への支払は直接払の原則に反しないか え本11
使者への支払は直接払の原則に反しないか。
 この点,直接払の原則の趣旨は,仲介人が賃金を代理受領して中間搾取を行うことや親が年少者の賃金を奪うことを防止することである。
 そうすると,支払先が本人と同一視できる使者であれば,直接払の原則の趣旨に反するおそれはない。
よって,本人と同一視できる使者への支払は直接払の原則に反しないと考える。


【論点】賃金全額払の原則は相殺禁止の趣旨を含むか (最判昭36,5,31) え本11
1 賃金全額払の原則(労基法24条1項)は相殺禁止の趣旨を含むか。「控除」に相殺が含まれるかが問題となる。
2 この点,賃金全額払の原則の趣旨は,労働者に賃金全額を確実に受領させることにより経済生活の安定を図る点にある。
ここで,賃金の相殺が認められると,労働者が賃金を確実に受領しえなくなり,賃金全額払の原則の趣旨が没却される。
  また,労基法17条は前借金との相殺禁止を明示的に規定したにすぎず,それ以外の賃金債権との相殺を許容する趣旨ではない。
3  よって,「控除」には相殺も含まれ,賃金全額払の原則は相殺禁止の趣旨も含むと考える。


【論点】調整的相殺は賃金全額払の原則に反しないか『福島県教組事件』(最判昭44.12.18)  え本11
1 調整的相殺は,賃金全額払の原則(労基法24条1項)に反しないか。
2 (賃金全額払の原則は相殺禁止の趣旨を含むか)
3 そうすると,調整的相殺は労基法24条1項に反するとも思える。
  しかし,賃金過払は不可避的であるから,賃金支払事務の円滑な運営にとって調整的相殺を認める合理的理由がある。
  また,賃金と関係のない他の債権を自働債権とする相殺と異なり,実質的にみれば,本来支払われるべき賃金はその全額の支払いを受け
ているため,本条の趣旨には反しない。
   ただし
①過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期になされ
②労働者に予告され
③額が多額にならない等,労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合
に限り,調整的相殺は許されると考える。


【論点】合意相殺は賃金全額払の原則に反しないか『日新製鋼事件』(最判平2.11.26)  え本11
1 合意相殺は賃金全額払の原則(労基法24条1項)に反しないか。
2 (賃金全額払の原則は相殺禁止の趣旨を含むか)
3 しかし,労働者がその自由な意思に基づき相殺に同意した場合までこれを禁止すべき理由はない。
   そこで,同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは,相殺は賃金全額払の原則に反しないと考える。


【論点】賃金請求権の放棄が賃金全額払の原則に反しないか  『シンガーソーイングメシーン事件』(最判昭48.1.19)  え本11
                                        平成18年 新司法試験第1問
1  賃金請求権の放棄が賃金全額払の原則に反しないか。
2  この点,賃金全額払の原則の趣旨は,労働者に賃金全額を確実に受領させることにより経済生活の安定を図る点にある。
そうすると,賃金請求権の放棄は労働者の自由な意思に基づいてなされるかぎり,全額払の趣旨に反しないといえるため,賃金債権放棄
が認められると考える。
3 ただし,使用者と労働者の間には交渉力の差があるため,労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときに限り、法規は有効と考える。


【論点】民法536条と労基法26条の関係  『ノースウエスト航空事件』  (最判昭62.7.17)
 この点,労基法26条の趣旨は,労働者の所得保障にある。
 よって,同条の帰責事由は,民法536条2項の帰責事由より広く,使用者側に起因する経営,管理上の障害まで含むと考える。
 ただし,天災等の不可抗力は含まれない。
 そして,民法536条2項に基づく賃金請求と休業手当の請求は競合すると考える。


9 休日・休憩


【論点】休憩自由利用原則の制約 『目黒電報電話局事件』 (最判昭52,12,13)
(抽象的危険説)
1  休憩時間中の事業場内での政治活動を禁止する就業規則が「合理的」(労契法7条)といえるか。
休憩時間自由利用の原則(労基法34条3項)に反しないかが問題となる。
2  この点,休憩時間自由利用の原則の趣旨は,休憩時間中に労働から解放させることにあり,従業員の事業場内での秩序維持義務まで免除したものではない。
   そして,政治活動が休憩時間中に行われると,他の従業員の休憩時間の自由利用を妨げてその後の作業能率を低下させる等,企業秩序の維持に支障をきたすおそれが強い。
3  よって,使用者は企業秩序維持の見地から,就業規則により休憩時間中の事業場内での政治活動を禁止することは許されると考える。

(具体的危険説)
1  休憩時間中の事業場内での政治活動を禁止する就業規則が「合理的」(労契法7条)といえるか。
休憩時間自由利用の原則(労基法34条3項)に反しないかが問題となる。
2  この点,判例は,企業秩序の維持という観点から,企業秩序の維持に支障をきたすおそれがあれば合理的な定めとして許されるとしている。
   しかし,このような抽象的な可能性があるだけで制約が許されるとすれば,あらゆる行為を制約することができ,休憩自由利用の原則の趣旨が
没却される。
3  よって,企業活動を具体的に侵害する場合に限り,制約の合理性が認められると考える。


【論点】年休自由利用の原則  『白石営林署事件』(最判昭48.3.2)
 この点,労基法は年休の利用目的を規定していない。
 また,年休権は,39条1項2項の要件を満たせば当然に発生し,原則として使用者の承諾を要しない。
 よって,年休の利用目的は労基法の関知しないところであり,労働者は取得した年休を自由に利用できるのが原則であると考える。


【論点】年次有給休暇の法的性質  『白石営林署事件』(最判昭48.3.2)   え本14
1  年休の発生には労働者の請求が必要か。労基法39条5項が「請求」としているため問題となる。
2  この点,労基法は、年休権の発生(39条1項、2項)と行使方法(同5項、6項)を別個に定めている。
また、使用者には時季変更権が認められており、年休取得に使用者の承諾を要する実益もない。
3  そうすると,年休権は39条1項2項の要件を満たせば法律上当然に発生すると考える。
   そして,5項の「請求」とは,時季指定権を意味し,使用者が時季変更権を行使しない限り,指定された日の就労義務が消滅すると考える。


【論点】就業規則等により,具体的時季指定を休暇日の一定日までになすべきことを規定できるか(最判昭57.3.18)
1  就業規則によって,具体的時季指定を休暇日の一定日までに届ける旨の規定が,労基法39条に違反しないか。
2  この点,届出制により,年休取得者の代替要員の確保が容易になり,時季変更権を行使する必要がなくなるため,年休の取得に資する。
また,使用者には,時季変更権の行使の判断をするための時間的余裕が必要である。
3  したがって,当該規定が代替要員の確保ための合理的な内容であれば許されると考える。
もっとも,年休権保障の趣旨から,年休取得の緊急性がある場合には一定日数前に指定をなさなくても,使用者に年休付与義務が生じ得る。
なお,この場合には,年休自由利用の原則にもかかわらず,使用者は年休取得事由を尋ねることができると考える。


【論点】事後請求の可否
 欠勤後に年休としての扱いを求めることができるか問題となる。
 この点,使用者の同意がある場合や,就業規則等に定めがある場合,慣行によって許容されている場合を除き,原則として適法な時季指定権の行使とはいえないと考える。


【論点】「事業の正常な運営を妨げる場合」の意義  『時事通信社事件』 (最判平4.6.23)  え本14
1  「事業の正当な運営を妨げる場合」(労基法39条5項ただし書)の意義が問題となる。
2  この点,年休権は労基法が特別に認めた権利であり,その実効性を確保するために付加金および刑罰の制度が設けられている(労基法114
条,119条1項)。
また,休暇の時期の選択権が第一次的に労働者に与えられている。
そうすると,使用者は可能な限り,労働者が指定した時期に休暇を取れるように配慮をすべきであるといえる。
3  よって,「事業の正常な運営を妨げる場合」とは,
①当該労働者の年休取得日の労働がその者の担当業務を含む相当な単位の業務の運営にとって必要不可欠であり
②代替要員を確保することが困難であること
をいうと考える。
4  そして,使用者としての通常の配慮をすれば,代替要員を確保することが客観的に可能な状況であるにもかかわらず,使用者がそのための配
慮をせずに代替要員を配置しないときは,「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当しないと考える(弘前電報電話局事件)。
5  また,人員不足のために代替要員の確保が常に困難であるという場合には,適正な人員配置を行えば,代替要員を確保することが客観的に可
能な状況となる以上,使用者がこのような手段をとらずに代替要員を配置しないときは「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当しないと考える。

※ 判断要素  『関東電気通信局事件』(最判平1.7.4)
勤務割変更により代替要員の確保が客観的に可能な状況か否かは
①勤務割の変更の方法
②使用者の従前の対応
③他の者による代替勤務の可能性
④使用者が代替勤務者を確保できるだけの時間的余裕の有無
⑤週休制の運用状況
等の事情を総合的に考慮して判断すべき


【論点】長期休暇の請求  『時事通信社事件』(最判平4.6.23)  
1  長期休暇請求に対する時季指定権についての「事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条4項ただし書)の意義が問題となる。
2  この点,長期休暇の実現には,使用者の業務計画や他の労働者の休暇請求などとの事前の調整の必要がある。
また,使用者はこの調整について,休暇期間中の業務量,代替勤務者の可能性,他の労働者の休暇請求の状況などに関する蓋然性に基づい
て判断せざるをえないため,使用者の時季変更権についてある程度裁量的判断の余地を認めざるを得ない。
   しかし,その裁量は,労働者の年次有給休暇の権利を保障している労基法39条の趣旨に鑑みて,合理的な範囲で認められるにすぎない。
3  つまり,このような裁量的判断が
①事業場の規模,事業の内容
②当該労働者の担当業務の内容,地位,代替性
③業務の繁閑
等から,不合理であると認められる場合には,労基法39条4項ただし書の要件を欠き,時季変更権の行使は違法となると考える。

【短文】
(【論点】年休権の法的性質)
しかし、本件のような長期休暇の実現には,使用者の業務計画や他の労働者の休暇請求などとの事前の調整の必要がある。
また,使用者はこの調整について,休暇期間中の業務量,代替勤務者の可能性,他の労働者の休暇請求の状況などに関する蓋然性に基づいて判断せざるをえないため,使用者の時季変更権についてある程度裁量的判断の余地を認めざるを得ない。


【論点】休暇日が差し迫った時季における時季指定権の行使
1  休暇日が差し迫った時季における時季指定権の行使が認められるか。
2  この点,時季指定権は,使用者による時季変更権の行使がありうることを前提として,適切な年休取得時季を定めるための権利である。
そして,休暇日が差し迫った時季における時季指定権の行使は,使用者に時季変更権の行使をすべきか否かを考えさせる余裕を与えず,使用
者の適法な時季変更権の行使を不可能ないし困難ならしめるものである。
3  よって,このような時季指定権の行使は,権利の濫用(労契法3条5項)として無効であると考える。


【論点】年休の使途を尋ねることの適法性
1  年休の利用目的を尋ねることは,年休自由利用の原則に反しないか。
2  (【論点】年休自由利用の原則)
よって,使用者が年休の使途を尋ねることは許されないのが原則である。
   しかし
①休暇の目的によって時季変更権の行使を控えて年休の取得を認める目的
②または,複数の時季指定が競合した場合に使途によって年休の取得を認める目的
で,年給の使途を尋ねることは,労働者の年休取得に資するものである。
3  したがって,これらの場合には,年休の使途を尋ねることは許されると考える。


【論点】一旦年休を受理した後になされた時季指定権の可否  LECセミファイナル第1問  重判18-8
この点,年休がいったん承認された場合においても,使用者の経営上の利益に鑑み,やむを得ない理由があれば時季変更権行使は許されると考える。
しかし,労働者に年休取得の期待が生じている場合は,その期待を保護する必要がある。
そこで,時季変更権の行使に必要な合理的期間を徒過した不適切な時期における時季変更権の行使は,権利の濫用(労契法3条5項)として許されないと考える。


【論点】一斉休暇闘争  『津田沼電車区事件』 (最判平3.11.19) 『国鉄群山工場事件』 (最判昭48.3.2)
(自発的争議行為参加型)
1  一斉休暇闘争目的での年休取得が認められるか。
2  (【論点】年休自由利用の原則)
   しかし,39条5項ただし書が使用者に時季変更権を与えた趣旨は,年休権の行使はあくまで業務運営のための正常な勤務体制の存在を前提としている点にある。
そうすると,この前提を欠くものは本来の年休権の趣旨に反するもので,適法な年休権の行使とはいえない。
   さらに,一斉休暇闘争は,その実質が年休に名を借りた同盟罷業に他ならず,正常な業務の運営を阻害することが目的となっている。
3  よって,正常な勤務体制の存在を前提とする年休権の趣旨に反し,本来の年休権の行使とはいえないため,一斉休暇闘争目的での年休取得
は認められないと考える。

(上記にあたらない場合)
4  他の事業場における争議行為に参加する目的での年休取得は認められるか。
この点,他の事業場における争議行為への参加であって,自己の事業場においては正常な勤務体制を妨げるものではない。
   よって,年休制度の前提となる枠内での年休取得といえるため,このような目的での年休取得は認められると考える。


【論点】有給休暇取得の不利益取扱  『沼津交通事件』 (最判平5,6,25)
(判例)
1  精勤手当の算定において有給休暇を欠勤扱いしたことは適法か。
不利益取扱の禁止を定める労基法附則136条に反し,無効となるのではないか。
2  この点,労基法附則136条は使用者の努力義務を定めた規定であり,直接私法上の効力を発生させるものではない。
   よって,労基法136条によって無効とはならない。
3  次に,有給休暇を欠勤扱いとすることは,公序(民法90条)に反して無効にならないか。
この点
①有給休暇を不利益に取扱う制度の趣旨,目的
②労働者が失う経済的利益の程度
③年休取得に対する事実上の抑止力の程度
を考慮して,年次有給休暇を取得する権利の行使を抑制し,労基法が労働者に年休権を保障した趣旨を実質的に失わせる場合に限り,公序に
反して無効となると考える。


【論点】産前産後休業の不利益取扱   『東朋学園事件』  (最判平15,12,4)
1  賞与の支給基準を出勤率が90%以上の者とし,産前産後休業した日数は欠勤として取扱うことは適法か。
本件90%条項において,産前産後休業の日数を出勤すべき日数に参入し,産前産後休業の日数を欠勤扱いにしたことは公序(民法90条)に
反しないか。
2  産休期間について法は特に有給であることを保障していないから,不就労期間を出勤として扱うかどうかは原則として労使間の合意に委ねられ
ている。
 そして、出勤率の低下防止のための措置には一定の経済的合理性が認められる。
しかし
①労働者が失う経済的利益の程度
②産前産後休業の取得に対する事実上の抑止力の程度
を考慮して,産前産後休業を取得する権利(労基法65条、育児休業法10条)を抑制し,労基法等が上記権利を保障した趣旨を実質的に失わせ
る場合に限り,公序に反して無効となると考える。
3 本件では,
①従業員の年間総収入額に占める賞与の比重は相当大きいので,賞与が支給されない者の受ける経済的不利益は大きく
②本件90%条項において基準とされている90%という出勤率の数値からすれば,従業員が産前産後休業を取得すれば賞与の支給を受けら
れなくなる可能性が高いので,産前産後休業をとる権利の行使に対する事実上の抑止力は相当強い。
      そうすると,産前産後休業を欠勤扱いにしたことは,産前産後休業を取る権利を抑制し,労基法が労働者にこのような権利を保障した趣旨を実
質的に失わせるものといえるので,公序に反する。
よって,出勤率90%を算定するにあたり,産前産後休業を欠勤扱いとする規定は無効である。


【論点】計画年休の効果 スタ論2回
計画年休が私法上の拘束力を有するかが問題となる。
労基法39条6項の趣旨は,年休消化を促進する点にある。
よって、協定に定められた日の就労義務が当然に消滅する。


【論点】 賞与算定における年休権行使の不利益取扱
1 このような不利益取扱が労基法附則136条に反し、無効にならないか。基法附則136条の法的性質が問題となる。
2 この点、条文の文言からすると、直接的な効力を認めることは困難である。
  そこで、労基法39条の趣旨が、労働者の年休取得を保証する点にあることに照らし、年休権の取得も保証を実質的に失わせるものに限り、公序違反として無効とする趣旨であると考える。
3 あてはめ
  39条の趣旨から、原則として認められない
  当該措置を採るべき合理的な目的や、不利益が実質的に存在しないといえる特段の事情が必要


【論点】 有期雇用の場合の年休権の取得 スタ論2回
1 期間の定めのある労働者について、「継続勤務」(39条1項)が認められるか。
2 この点、「継続勤務」にあたるか否かは、労働契約関係が実質的に存続しているかにより決すると考える。
3 よって、反復継続されている場合は、「継続勤務」の要件を満たす。


【論点】繰り越しの可否 スタ論2回
この点、条文上、年休の繰り越しを認めない根拠はないし、労働者の保護に資するといえる。
よって、繰り越しは認められる。


10 労働時間


【論点】「労働時間」(労基法32条)の意義  『三菱重工長崎造船所事件』 (最判平12,3,9)
1  「労働時間」(労基法32条)の意義が問題となる。
2  この点,当事者間の合意によるとすれば,罰則(労基法119条,120条)の対象範囲が曖昧となる。
また,労基法が労働時間を規制する趣旨は,現実の長時間労働を防止する点にある。
そうすると,労使間の合意に委ねるとすれば,この趣旨に反する危険がある。
3  そこで,労基法の趣旨が,労働者保護にあることから,客観的に判断すべきであり,「労働時間」とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を意味すると考える。