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Super Elastic ! Super Optimistic !

中央大学ロースクール生が新司法試験合格を目指すブログ。10回受験して、10回合格する力をつけることが目標!

【論点】労働時間該当性判断基準(準備時間) (最判昭12.3.19)
1  準備行為を行う時間が労働時間にあたるか。
2 ( 「労働時間」の意義)
(3  そして,指揮命令下に置かれているか否かは,
①業務性
②場所的拘束性
③労働契約上の義務付け
等を考慮して客観的に判断すべきである。)
4  そして,準備行為であっても,事業所内において行うことを使用者から義務付けられ,これを余儀なくされたときは,特段の事情がない限り,使用者の指揮命令下に置かれたといえるから,労働時間にあたると考える。


【論点】仮眠時間  『大星ビル管理事件』 (最判平14.2.28)
1  仮眠時間が「労働時間」(32条1項)にあたるか。
(「労働時間」(労基法32条)の意義) 
2  仮眠時間(不活動時間)であっても,役務の提供が義務付けられ,労働者が労働からの解放を保障されていない場合には,労働者が使用者の
指揮命令下に置かれていると評価できるので,労基法上の労働時間にあたると考える。
3  具体的には
①臨時の職務の内容
②場所的拘束性
③職務の必要性が生じる頻度
を考慮して,役務の提供が義務付けられていたかを判断すべきである。


【論点】住み込み管理員の活動  『大林ファシリティーズ事件』 (最判平19.10.19)  2011総合起案演習第1問
1  待機時間が「労働時間」(32条1項)に当たるか。
(「労働時間」(労基法32条)の意義) 
2  待機時間(不活動時間)であっても,役務の提供が義務付けられ,労働者が労働からの解放を保障されていない場合には,労働者が使用者の
指揮命令下に置かれていると評価できるので,労基法上の労働時間にあたると考える。
3  具体的には
①使用者の指示内容
②業務の必要性
③業務実態
④業務量
⑤住民からの要望
を考慮して,役務の提供が義務付けられていたかを判断すべきである。


【論点】仮眠時間が労働時間と認められた場合の賃金請求  『大星ビル管理事件』 (最判平14.2.28)
1  労働契約に基づく賃金請求
労働契約に基づいて賃金請求できるか。
この点,仮眠時間が労働基準法上の労働時間であるからといって,当然に労働契約所定の賃金請求権が発生するものではない。
つまり,当該労働契約において仮眠時間に対していかなる賃金を支払うものと合意されているかによって定まると考える。
具体的には,手当などの規定の状況や労働密度などの諸条件を総合的に考慮すべきである。
本件では,賃金規定や労働協約は,仮眠時間中の実労働に対して時間外勤務手当や,深夜就業手当を支給する規定を置いている。
一方,仮眠時間に対する賃金の支給規定を置いていない上に,仮眠時間を伴う泊まり勤務に対しては別途泊まり勤務手当を支給する旨規定している。
さらに,仮眠時間における労働密度が高いといえないこと等の事情に鑑みると,仮眠時間に対しては泊り勤務手当以外には賃金を支給しないものとされていると考えるのが相当である。
よって,労働契約に基づく請求は認められない。
2  労働基準法に基づく賃金請求
   労働基準法に基づいて賃金請求できるか。
労働契約に基づき「仮眠時間」を賃金支払の対象となる時間としないと定めていた場合,このような定めは労働基準法37条1項,3項に違反す
る。
よって,労基法13条後段の直律的効力により,同法37条1項,3項で定める基準による賃金請求権が発生することになる。
   したがって,労働基準法に基づく請求は認められる。

※特段の合意がない場合 全国模試
 労働と賃金の対価関係は労働契約の本質的部分を構成する。
 よって、合理的解釈として、労基法の労働時間にあたれば、特段の合意がない限り、賃金支払いの対象としているものと考えられる。


【論点】時間外労働義務  『日立製作所武蔵工場事件』(最判平3.11.28)  え本13
1  36協定に基づき,当然に時間外労働義務が発生するかが問題となる。
この点,労使協定(36協定)は自体は,労基法の規制を解除する効力(免罰的効力)を有するにすぎず,私法上の権利義務を設定することはできない。
   よって,36協定を締結しただけでは,当然に時間外労働義務は発生せず,労働契約上時間外・休日労働を行う義務は生じない。
2  次に,どのような場合に時間外労働義務を生じるか問題となる。
この点,労働者の個別的同意を要件とすると,使用者の業務上の必要性から時間外労働を命じることが困難となる。
そこで
①36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば時間外労働をさせることができる旨の就業規則の定めがあり
②その内容(日時,場所,労働内容,延長時間の限度)が合理的なものである場合
には,就業規則の内容が,労働契約の内容となり(労契法7条),労働者は時間外労働義務を負うと考える。
3  ただし
①使用者に時間外労働を命じる業務上の必要性が実質的に認められない場合
②不当な動機・目的が認められる場合
③労働者に著しい不利益を負わせるものである場合
等の特段の事情が認められる場合には,命令は権利の濫用(民法1条3項,労契法3条5項)として無効となると考える。


【論点】違法な時間外労働に対しても割増賃金請求ができるか 『小島事件』 (最判35.7.14)
違法な時間外労働について,割増賃金請求権(労基法37条)が発生するか。
たしかに,労基法37条は,33条または36条1項の規定により時間外労働をさせた場合に限り,割増賃金を認めているため,違法な時間外労働について,割増賃金請求権は生じないとも思える。
しかし,労基法37条の強行法規性を重視して,労働者の保護を図るべきである。
よって,違法な時間外労働に対しても割増賃金を認めるべきであると考える。


【論点】「特定」(32条の2)の意義  『JR西日本事件』 (広島高平14.6.25)
 この点,労基法32条の2が「特定」を要求した趣旨は,労働者の勤務の不均等配分が生活にいかなる影響を及ぼすかを明示して生活設計をたてられるように配慮した点にある。
 そうすると,使用者が任意に労働時間を変更することができる定めは同条の要求する「特定」の趣旨に反し,無効である。
 よって,各日及び週における労働時間を,就業規則等によりできる限り具体的に特定することが必要であると考える。


【論点】確定した勤務時間の変更の可否
 この点,勤務変更は労働者の生活に対して影響を与え,不利益を及ぼす可能性がある。
 そこで,就業規則の変更条項は,労働者からみて,どのような場合に変更が行われるかを予測することが可能な程度に変更事由を具体的に定めることが必要と考える。
 また,変更事由は,業務上のやむを得ない必要がある場合に,限定的かつ例外的措置として認められるにとどまると考える。


【論点】「過半数を代表する者」(労基法36条1項)の意義  『トーコロ事件』 (最判平13.6.22)
「労働者の過半数を代表する者」とはどのような者を意味するかが問題となる。
  この点,過半数代表者は,労働者の利害に関わる事項を取り扱うため,労働者の利益を代表するに相応しい者であることが求められる。
よって,労働者過半数代表者とは,選出にあたり
①当該事業場の労働者が選出される者の適否を判断する機会が与えられ
②民主的な手続を経て選出された者
をさすと考える(労基法則6条の2第1項)。


【論点】労働協約の形式で締結された36協定の労働協約としての効力
労働協約の形式で締結された36協定に,労働協約としての効力が認められるか。
この点,36協定を労働協約の形式で締結することが認められている(労規則16条2項)。
そうすると,労働協約としての形式を充たしている以上,その効力を認めることが制度的に一貫するといえる。
よって,労働協約としての効力を有すると考える。


【論点】 時間外労働手当 『高知県観光事件』 (最判平6.6.13) 伊藤塾1回
1 一定額を予め割増賃金に充当する趣旨で支払うことが37条1項に反しないか。
2 この点、37条1項の趣旨が割増賃金の支払いを定める趣旨は、これらの労働の負担が大きいためにこれに見合う補償を与えるとともに、使用者に
経済的負担を課し、これらの労働を抑制する点にある。
3 そうすると、労基法上の計算によらずとも、十分な補償があれば、法の趣旨に反しないといえる。
4 しかし、割増賃金は労働者からみて、法所定の額が支払われているか否かが判断できる必要がある。
  つまり
①みなし割増手当であることが明示されており
②他の諸手当から明確に区別できる必要がある。


【論点】 「監督若しくは管理の地位にある者」(労基法41条2号)の意義  『神代学園ミューズ音楽院事件』  LECセミファイナル第1問
1  管理監督者(労基法41条2号)の意義が問題となる。
2  この点,労基法41条2号の趣旨は,労務管理を行い、労働時間につき裁量を有する労働者は、通常の労働者と同様の規制になじまず、厳格な労働時間規制をしなくても保護に欠けない点にある。
3  よって,「管理監督者」とは,労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいうと考える。
そして,その判断は
 ①職務内容,権限及び責任に照らし,労働管理を含め,企業全体の経営に関する重要事項に関与していること
 ②自己の労働時間についての自由裁量
 ③役職手当等の優遇措置をうけていること
等に着目して実態に即して行うべきである。
4 ①当該店舗に関する事項に限られており満たさない
  ③月80時間もの時間外労働に対して5万円の手当では十分とはいえない

※「機密の事務を取り扱う者」(2号)
→ 秘書その他職務が経営者または監督若しくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって,厳格な労働時間管理になじまない者
※監視・継続労働従事者(3号)
  → 常態として,一定部署で監視することを本来の業務とする労働
常態として,実作業が間欠的に行われて手持時間の多い労働
※ 深夜労働の割増賃金の規定は適用される


【論点】割増賃金の計算 LEC選択マスター4回
1 本件では,家族手当を除く,基本給及び役職手当が「基礎となる賃金」(37条5項)となる。
2 次に,「月における所定労働時間数で除した額」は,「月によって定められた・・・賃金」(規則19条4号)である32万円を,月20日分の所定労働
時間(1日8時間)の合計時間数で除した2000円となる。
3 これに,①時間外労働時間のうち60時間については,1,25を乗じた15万円及び②20時間については1,5を乗じた5万円を請求できる。


【論点】代償休日
使用者が代償休日を与えた場合,割増賃金支払義務を免れるかが問題となる。
この点,代償休日を付与しても休日に労働させたことには変わりはない。
よって,使用者には割増賃金支払義務が認められると考える。


【論点】振替休日 (昭63.3.14基発150)
使用者が振替休日を与えた場合,割増賃金支払義務を免れるかが問題となる。
この点,就業規則の休日の振替規定により,本来の休日を労働日とし,通常の労働日を休日とした場合には,当該休日は労働日となるので休日労働にはならない。
よって,割増賃金を支払う必要はないと考える。


【論点】時間外・深夜・休日労働が重なった場合の割増賃金の取扱
1  時間外・休日労働が深夜労働と重なる場合は,重なる部分についての割増率は50%以上(時間外労働と深夜業が重なる場合)ないし60%以上
(休日労働と深夜労働が重なる場合)となる(労基法施行規則20条1項,2項)。
2  これに対し,休日における労働については休日労働に関する規制のみが及び,時間外労働に関する規制は及ばない。
なぜなら,休日労働の中に時間外労働という概念は観念し得ないためである。
よって,その労働が深夜に及ばない限り,休日労働が8時間を超えても35%以上の割増賃金を支払えば適法である。


12 人事


【論点】職能資格の引き下げとしての降格の可否  『アーク証券事件』 (東京地平12.1.31)
1  職能資格の引き下げとしての降格が認められるか。
契約上の根拠の要否が問題となる。
2  この点,職能資格制度における降格は,基本給の引き下げ等労働条件の変更を伴うものである。
よって,職能資格の引き下げは,労働者の合意または就業規則の定めがあることが必要であると考える。
3  次に,降格は常に有効と考えてよいか。
   この点,一定の場合には権利濫用(労契法3条5項)として無効となると考える。
この際,評価制度や,評価基準の相当性によって権利濫用性を判断すべきである。
   

【論点】役職の引き下げとしての降格  『マナック事件』 (広島高平13.5.23)
1  役職の降格が認められるか。
契約上の根拠が必要か問題となる。
2  この点,人事権は,組織的管理を行う必要性から,労働契約上当然に使用者の権限として認められる。
よって,役職の降格は,就業規則に根拠規定がなくても,成績不良や職務不都合その他の必要性があれば,使用者の裁量権の行使として行うことができると考える。
3  ただし
①業務上の必要性の有無
②能力欠如についての労働者の帰責性の有無
③労働者の被る不利益の程度
から判断して,権利濫用となる場合には,人事権の濫用(民法1条2項)となると考える。


【定義】配転
 労働者の職種・職務内容または勤務場所を同一企業内で相当長期にわたって変更すること


【論点】配転命令の法的根拠  『東亜ペイント事件』 (最判昭61.7.14)
1  労働者の同意なく配転命令を発することができるかが問題となる。
2  この点,労働契約には,一般に,労働の場所,種類の決定を包括的に使用者に委ねる旨の労使間の合意が含まれているといえる。
そこで,
①就業規則や労働協約などで配転命令権が規定されており
②かつ,勤務場所や職種を限定する明示または黙示の合意若しくは慣行がない場合
には,使用者は労働力の包括的処分権を有し,これに基づき労働の種類・場所を決定し,労働者の配転を命ずることができると考える(労契法7
条)。
3  もっとも
①業務上の必要性がない場合
②業務上の必要性が認められても,当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき
③労働者に対し,通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき
等の特段の事情が認められる場合には,配転命令は権利濫用(民法1条3項,労契法3条5項)として無効となると考える。
4 あてはめ
①業務上の必要性とは、余人をもって容易に替え難いほど高度のものを要せず、必要性の程度等と労働者が受ける不利益等の相関的な比較に
よって判断すべきである。
③労契法3条3項(ワークライフバランス),育児介護休業法26条への配慮(元原裁判官補足意見)

※請求内容
→ 原告が被告〇〇支店(新部署)に勤務する雇用契約上の義務のないことの確認の訴え
※職種限定契約による制限もある
※あてはめ
全国展開している会社 → 限定なし
期間の定めのない契約 → 限定なし
※「仮に必要性および手続が合理的としても、後述のように本件配転命令は、不当労働行為にあたり無効となる。」


【定義】出向
 労働者が使用者との雇用関係を維持しつつ,長期にわたって他の企業の指揮命令に服して労働すること
 その法的性質は,労働者の契約上の地位の一部譲渡である


【論点】出向命令の法的根拠 『新日本製事件』 (最判平15,4,18)
1  出向命令の有効要件が問題となる。
具体的には,いかなる場合に「出向を命ずることができる場合」(労契法14条)が満たされるか問題となる。
出向は,出向元企業が労働者の労務提供請求権を出向先企業に譲渡することを意味するため,民625条1項により,労働者の「承諾」が必要となる。
2  この労働者の同意として,個別的同意が必要か。
   この点,承諾が要求される趣旨は,労務提供の相手方が変わることによる労働者の不利益を防止することにある。
   よって
①就業規則等に業務上の必要によって出向をさせることができる旨の規定があり
②出向の定義,出向期間,出向中の地位等に関して,出向労働者の利益に配慮した出向規定が明確に定められている場合
には,個別的同意なしに出向を命じることができると考える。
3  ただし,当該出向命令が
①出向の必要性
②人選の合理性
③労働者の不利益の程度
④手続の相当性 
   を総合的に考慮して,「権利」の「濫用」(労契法14条)となる場合には出向命令は無効となる(労契法14条)。


【論点】出向期間中の労働関係
1  この点,労働者と出向元,出向先について二重の労働関係が成立するとする見解がある。
   しかし,必ずしもこのように一律に決まるものではない。
2  よって,出向契約の内容から個別具体的に判断すべきである。
3  ここで,労働者は実際に就労するのは出向先においてであるが,出向先との関係は出向元との労働契約の上に成り立つものである。
したがって,明確な規定がない場合には,労務提供請求権,指揮命令権など労務に関わる権利義務は出向先企業に移り,解雇権,復帰請求権
など労働契約関係の存否・変更に関わるような権利義務は出向元に残ると考える。

※出向先が懲戒権を行使する場合は,「使用者が労働者を懲戒することができる場合」(労契法15条)にあたるかという問題として出題される
 あてはめ
  Y1とY2は,出向規定による他は特段の合意はしていなかった
  出向規定によると,懲戒権についてはY1社の就業規則よるとされている
よって,Y2はY1の就業規則に基づき懲戒することができる


【論点】復帰命令の適法性
1  復帰命令には,労働者の同意が必要か。
2  たしかに,復帰命令は,指揮監督の主体を出向先から出向元へ変更するものである。
しかし,労働者が出向元の指揮監督の下に労務を提供するということは,出向元との当初の雇用契約において合意されていた事柄である。
3  よって,出向元へ復帰させない旨の合意が成立した等の特段の事由がない限り,労働者の同意を得る必要はないと考える。
ただし
①業務上の必要性がない場合
②労働者に多大な不利益を課する場合
等の事情があるときは,権利濫用(労契法3条5項)として,復帰命令は無効となると考える。


【定義】転籍
 従来の使用者との労働契約を終了させ,新たに別会社との労働契約関係に入ること


【論点】転籍命令の有効要件
1  転籍の有効要件が問題となる。
2  まず,移籍元との労働契約を合意解除して移籍先と労働契約を締結する転籍は,当然に労働者の個別的合意が必要である。
3  次に,労働契約上の地位の譲渡としてなされる転籍にも労働者の合意が必要である(民法625条)。
そして,転籍は,移籍元との契約関係が消滅する点で労働者への不利益が生じるおそれが大きい。
よって,個別的同意が必要であると考える。

※ 転籍後に転籍先企業との労働契約が無効であることが判明したときには,転籍元企業との労働契約の終了は転籍先企業との新たな労働契約の成立を停止条件としていたと解釈して,転籍元企業と労働契約関係にあることを求めることができる場合がある


【論点】 起訴休職の有効要件 『全日本空輸事件』 (東京地平成11、2,15)
1  起訴休職の有効要件が問題となる。
2  起訴休職は,実際に行われると賃金カット等の労働者に重大な不利益を与えるため,制限する必要がある。
3  よって,単に労働者が刑事事件で起訴されたという事実のみでは足りず
①企業の対外的信用が毀損される場合
②起訴に伴う勾留により労務提供が困難となる場合
③懲戒処分の可否を決定するまでの間就労させることが適切でない場合
に限られると考える。



13 懲戒


【論点】懲戒権濫用法理
 ①就業規則における根拠規定の存在(「懲戒することができる場合」(労契法15条))
 ②懲戒事由該当性(「客観的に合理的な理由」)
 ③内容・手続の適法性(「社会通念上相当」)
  →平等取扱の原則
    適正手続

※傷害等の懲戒該当行為をした労働者に対し、7年以上経過した後、諭旨退職処分をした事例 『ネスレ日本事件』
  ①捜査の結果を待たずとも処分を決めることができた
  ②諭旨退職処分の重さ
  ③長期間の経過による企業秩序の回復
  →濫用にあたる


【論点】懲戒権の根拠  『関西電力事件』 (最判58.9.8)
1  使用者は懲戒処分することができるか。懲戒権の根拠が問題となる。
この点,労働者は使用者に対して,企業秩序遵守義務を負い,使用者は労働者に対して企業の円滑な運営を図るために一種の制裁罰である懲戒権を有すると考える。
2  ただし,懲戒処分には刑事罰との類似性が認められる。
よって,罪刑法定主義類似の要請から,あらかじめ就業規則に懲戒の種別及び事由を定めておく必要があると考える。


【論点】懲戒事由の追加の可否  『山口観光事件』 (最判平8.9.26)
1  懲戒処分後に判明した非違行為を懲戒処分事由に追加できるか。
2  この点,懲戒処分は,労働者の企業秩序遵守義務違反行為に対する一種の秩序罰である。
そうすると,具体的な懲戒の適否は,その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきである。
3  よって,懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は,特段の事情がない限り,当該懲戒の理由に追加することができないと考える。

※ 特段の事由
   → 追加前の事由と密接に関連した同種の非違行為である場合


【論点】経歴詐称  『炭研精工事件』 (最判平3.9.19)
1  経歴詐称は懲戒事由にあたるか。
2  この点,実害が生じうる重大な経歴詐称に限り,懲戒事由にあたるとする見解がある。
しかし,一般に,経歴詐称は,労働力の評価を誤らせ,労使の信頼関係や賃金体系・人事管理を混乱させる危険がある。
また,懲戒権の根拠は,使用者に企業の円滑な運営を図るために一種の制裁罰である懲戒権を認めたものである。
そして,経歴詐称には,上記の危険があり,企業秩序違反が認められる。
3  よって,重要な経歴詐称に限らず,懲戒事由にあたると考える。


【論点】 業務命令違反  所持品検査の有効性 『西日本鉄道事件』 (最判昭43.8.2)
1  所持品検査を拒否したことが懲戒事由となるか。
所持品検査命令の有効性が問題となる。
2  この点,使用者は,金品の不正隠匿の摘発・防止のために,所持品検査を行う必要がある。
一方,所持品検査は,被検査者のプライバシー権を侵害する。
3  そこで
①検査を必要とする合理的理由があり
②一般的に妥当な方法と程度で
③職場従業員に対して画一的に実施され
④就業規則その他明示の根拠に基づく場合
に限り有効であると考える。

※その他の業務命令違反については
①当該業務命令が労働契約の範囲内か
②不服従にやむをえない事由があるか
によって有効性を判断


【論点】職場規律違反  事業場内の政治活動  『電電公社目黒電話局事件』 (最判昭52.12.13)
1  政治活動を禁止する就業規則は有効か。
2  この点,事業場内における従業員の政治活動は従業員相互間の政治的対立を生じさせるおそれがあり,企業秩序維持に支障をきたすおそれ
が強い。
   よって,企業秩序維持の見地から,就業規則により職場内における政治活動を禁止することは,合理的な定めとして許されると考える。
ただし,政治活動は表現の自由(憲法21条1項)の保障をうけるため,一定の保護を及ぼすべきである。
3  よって,実質的に事業場内の秩序風紀を乱すおそれがないという特別の事情が認められるときには,就業規則違反とならないと考える。

※休憩時間自由利用原則との関係については前述