※何が残ったのか。3の続き
仕事が終わって、ベリーちゃんと冬ソナしようと決めた後、チャーハンからも食事の誘いがあった。
ベリーちゃんとごはんだからと断ると、
「話すことがいっぱいあるだろう?」
と言われた。
いっぱいなんかない。
それでも、《話すこと》の内容を言わないまま、昨日も食事したわたしと会って話そうとしているチャーハンの姿勢には好感が持てた。
わたしは、ベリーちゃんと麻布十番の『がいがい』で会った。
『がいがい』はベリーちゃんとグレーちゃんを『C』の初回に連れていく前に待ち合わせた場所だ。
あれから1年経った。
濃い1年だった。
わたしはベリーちゃんに玉子焼きとのミラノ話を聞いて、こちらの報告もした。
わたしは、玉子焼きのミラノ代が全てベリーちゃん持ちだったことに、メチャメチャ衝撃を受けた。
もちろんこんなことで衝撃を受けている時点で、わたしは青い。
そのことについて1度も聞いてはいなかったのだが、わたしは勝手に飛行機とホテルを自分でとって玉子焼きがついて行ったと思っていた。
ホスト全体にそこまで思っている訳ではないが、わたしは玉子焼きはそういう子だと買いかぶっていた。
わたしは、
「そうまでして玉子焼きと一緒に行きたかったの?」
と聞いた。
「そうでもない。ノリなんだよねー」
ベリーちゃんは去年にロマネを入れたときと同じようにすごいことをノリで決めたらしい。
「バカじゃないの?がっつり色マクで、好きで好きでたまんないとかなら納得だけどさー」
わたしはどうしてもベリーちゃんと玉子焼きの気持ちが理解できなかった。
友営のホストくん。
ベリーちゃんにとって弟みたいな存在だけど、好き。
そんな玉子焼き。
こういうことは二人にしかわからない。
「お金のことはどうでもいいの」
ベリーちゃんはどうでもよくないことをすごく簡単なことのように言った。
結局彼女はほぼ10日間、寝るとき以外はずっと玉子焼きと一緒にいた。
そして、プライベートトークをし過ぎて胸キュンしなくなったという。
わたしは今更、胸キュンするかしないかの問題ではないように思えた。
夜中に会社に戻って仕事をした。
2時過ぎて出勤したというチャーハンからメールで
《おいで S行こう》
と来店促進された。
『S』は来週とチャーハンから言って来たくせに。
スルーしていたら、電話がかかってきた。
「話すこと、いっぱいあるだろう?」
わたしは病んでいることを理由に、その後何度もあったメールを振り切り、お店に行かなかった。
話すことはあっても、わざわざお店に出向いてしなくていい話だ。
チャーハンは何も悪くないけど、このまま一生ホストクラブになんか行かなくてもいいような気がしていた。