※『C』同窓会。4の続き
「すいか、ひさしぶり」
ハンバーグは軽く抱きついてきて、わたしは鳥肌がたった。
人の気持ちは不思議である。
さっきまで楽しかったわたしは、シメサバを睨みながらハンバーグを連れて来た罰として、彼の短すぎる髪型をけなした。
それから、また乾杯して、このヘンな集いの経緯を話した。
「俺、すいかに捨てられたことになってんで」
「どこで?」
「『C』っていう狭い世界やねんけど」
「そういうのって誰が言うの?」
「イカ納豆さんとかやな」
「へぇ・・・」
「ハンバーグ、すいちゃんに捨てられちゃったねー。新規とらなきゃねーとか言われてんで」
「ふーん。そう」
わたしはハンバーグに何を言われても、嫌味にしか受け取ることができず、とても嫌な気分になった。
そして、極めつけのことを言われた。
「すいか、今日はごちそうさま」
「!!!」
冗談なのかわからないが、彼は勝手に来て、『S』代をわたしに支払わせようと思っているようだった。
「え?何で?」
「俺、貧乏やねん・・・」
ハンバーグはわたしに財布の中身を見せようとした。
本気っぽかったので、ひいた。
もちろん、全額払わせるつもりはさらさらないが、このメンバーでは『C』でハンバーグが一番上の幹部だった。
わたし自身、わたしが声をかけてしまったゴディバくんやシメサバの飲み代については支払ってもいいような気がしていた。
声をかけたとは言っても、ただの電話係だったのだが。
でもゴディバくんはお客さんを連れてきていたし、その分までわたしが支払うのはヘンな気がした。
もちろん男前に全部払うという手もあったが、残念ながらそんなにお金持ちではないし、グレープフルーツちゃんや柏餅くんが許さないだろう。
面白がってどんどん人数を増やして飲んで、シャンパンなどを卸したりしてはいなかったが、確かにわたしは支払いが心配になってきていた。
誰がどう払うんだろう。という一点において。
いやな気分になって、チャーハンにメールを返した。
《不思議な飲みに巻き込まれてる》
「巻き込まれてる」の表現は微妙だ。
わたしがみんなを「巻き込んでいる」の方が近い。
《はぁぁ?どこよー》
《今 どこ?》
チャーハンから2通続けてメールが来て、笑った。
今、ここにチャーハンが来たら、みんなドンビキだろう。
一瞬だけ、迎えに来てほしいような気もした。
それほど隣のハンバーグが嫌だった。
わたしは、ハンバーグに対してニコニコする気分になれず、ずっと不機嫌な顔をしていた。
ハンバーグはそれが気に入らないようで、何度もわたしに抱きついたりくすぐったりして親密度を復活させようとした。
わたしはくすぐられたりするのが本当に嫌で、どんどんブルーになって行った。
《△△くんところで飲んでる。メンバー最悪。帰りたい・・・》
とチャーハンにブルーな気持ちをメールして、ある意味安心させた。
『S』で飲んでるにしても、
「超楽しい」
と言われると、チャーハンとしてもそんなにいい気持ちはしないだろうと思った。
チャーハンからは
《帰ったら連絡しろな》
と返って来た。
もちろんチャーハンに、わたしを他店まで迎えに来る気なんかない。
つづく