※歌舞伎町の3000円の花束はでかい。2の続き
一瞬ついてくれた茶碗蒸しくんの目が真っ赤で、ずいぶん調子が悪そうだったので、聞いてみるとちょっとトラブルがあって寝てないとのこと。
そうだ。160万の掛け、飛ばれそうだという噂を聞いていた。
とりあえず、大丈夫になったと言っていたが、どう大丈夫だったんだろう。
肝臓のことを忘れて、早朝生ビール。
今日は痛くない。
カステラくんは辞めるのが来月にのびたそうだ。
しかもとうぶんの間、系列店の『K』で働くとのこと。
「ちょっとぉ。おなたの分の花代、どうしてくれるのよ」
わたしはカステラくんに文句を言って
笑った。
4人分のお疲れ様で白1本入れて、それぞれに花束を渡す。
かりんとうちゃんは自分までもらえると思っていなかったようで、すごく喜んでいた。
エースっぽいお客さんとロゼなんかをしっぽり飲んでいたシナボンちゃんは、
「ノルマ届かないから、辞められないかも知れません」
と言って泣きそうな顔をした。
グレーちゃんが帰ってしまった柏餅くんに、
「柏餅くんとグレーちゃんはこれからも続くでしょう?だから、わたしも柏餅くんとさよならって思ってないから」
と言うと、
「もちろんだよ。オレはグレーさんと一生切れないよ」
と力強く言った。
一生とか言う辺り、柏餅くんっぽいけど笑ってしまう。
カラアゲくんは次に働く新しいお店を教えてくれたので、
「そこのグランドオープンには行くからね!」
と調子のいいことを言って励ました。
幹部だったカラアゲくんは2ヶ月、歌舞伎町で働くことができないことになっている。
その間に『R』で一日働く予定だど言うので、
「え?『R』体入できないよ。ショコラくん言ってたもん」
と事情通ぶった情報を教える。
とりあえず、一回、一緒に飲みに行こうということになり、ハンバーグくんとカラアゲくんと『R』に行く日を決め、約束した。
『C』の前の店ではすごく売っていたカラアゲくん。
今度のお店では代表になるらしい。
トークの腕も煽りの腕もあるが、顔は微妙だ。
『C』は彼には向かないお店だった。
でも、■ヶ月もいた。
あの、入店いきなりナンバー3になった日は■ヶ月前。
わたしはみんなのおかんへの道をつき進んでいる。
「でも、この店入ってよかった。みんなあったかい」
わたしはカラアゲくんを泣かせてしまった。
【速報】ナンバー1以外団子状態の『C』の今月のナンバーは、
1位 (常勝)プリン王子
2位 (メキメキ腹黒くなっている)カシューナッツ
3位 (最終日にごぼう抜きした)ミルフィーユくん
4位 (バースデー&ホストを上がる)柏餅くん
5位 (柏餅くんが居なくなるので表記上は4位になる)ハンバーグくん
という結果だった。
わたしは、ハンバーグくんのおみやげ「たこの塩辛」の大きな瓶を持って、職安通りで韓国のり巻きを買って、何となく歩いて帰った。もう10時を回っていた。
途中、ちゃんとまっすぐ帰ってるか、ハンバーグくんからさぐりの電話があった。
その直後に、自転車のハンバーグくんとばったり会ってびっくりする。
「掛け飛ばれたわ」
「え?」
「今、聞いてた家に行って来てん。違う人が住んどったわ」
「いくら?いくら飛ばれたの?」
「30万」
ハンバーグくんは落ちていて、
「やっぱり落ち落ちのときに神様は、すいかに会わしてくれるんやな」
とつぶやいた。
わたしは、自転車に乗ったままのハンバーグくんをハグハグして、
「元気出して」
と言った後、
「明日からサイパンじゃん!楽しんでおいでね」と頭を撫でた。