日曜日にイベントがあったせいで、『C』の営業は変則的になっていた。
月曜日が休み。
火曜日が週初めのミーティングだった。
そして、来週社員旅行で休みである彼らの今月の営業は、木曜日が最終日だ。
そこで先週引っ越したハンバーグくんからのメール。
《部屋少し片づいたで!ミーティング終わったら少し帰るけどその時見に来る?》
ミーティングは基本的に営業時間前に行われる。
ミーティングのあと、売り上げによって決まっている出勤時間まで彼らはヒマだ。
もちろんお店に出てもいいが、開店後すぐにはお店は混まない。
わたしは月曜日から目黒の編集室に篭っていて、終了時間が未定だった。
《終わらないかも・・・時間見えたら連絡します》
とだけ返事して、様子をみた。
結局ミーティングの終わる1時半までには、仕事は終わらなかった。
《残念だけど》
とメールして、アシスタントに任せてもいい仕事の片付けを手伝う。
ハンバーグくんの新居には少し興味があったが、別に今日でなくてもよい。
ただハンバーグくんはここのところ、順番にプリン王子や後輩を家に連れて行っていて、わたしにも早く部屋からの夜景を見せたいようだった。
わたしの使ったシャンパン代の一部で彼はその夜景を手に入れている。
こう書いてしまうとヘンなかんじだが、社会生活とはそんなものだ。
視聴者がテレビを見たいと思うからわたしたちに仕事がある。
でも、テレビの制作費となる広告の商品を買っているのはわたしたち。
だからハンバーグくんの家賃がどうとか、考えるのはおかしな話だ。
ただ、実際にわたしが使ったお金の何割がハンバーグくんの手元に渡るか、具体的な金額がわかる。
わたしたちはあまりにもリアルな関係だ。
それなのにわたしはすごく勘違いをしてしまう。
人として、仲のよい友達かのような錯覚を抱いてしまう。
彼らはそれが、仕事なのに。
お店に来てとかいう、ご来店促進。
シャンパン飲みたいとかいう、煽り。
イチャイチャしたり、好きだと言ってみる色恋を含む営業。
毎日メールが来たり、店外デートをしたりする親密感UP。
これらは全部、彼らの仕事の業務内容なのだ。
だから「ご来店促進ばっかりするんだね」と文句を言ったりしたことがあるが、それは間違い。
ご来店促進が、彼らの仕事なのだ。
ただ、こちらには「興ざめ」というジャンルの感情がある。
彼らもよく「デリカシーがない」という表現をする。
つづく