賃料和解交渉-鑑定士的視点で、継続賃料はむずかしい | 稼ぐ不動産にする!不動産鑑定士社長の極意

稼ぐ不動産にする!不動産鑑定士社長の極意

「フローク・アドバイザリー」社長で不動産鑑定士の成田隆一による不動産投資、借地借家問題(立退料、賃料改定など)、不動産相続に特化した情報提供サービスサイト。
不動産投資家、ビルオーナー、地主、企業経営者、不動産所有企業におすすめです。

こんにちは。

不動産鑑定士成田です。


【賃料訴訟】


一時期、不動産ファンドバブルの頃は一部の不動産ファンド等から賃料訴訟が頻発しました。


当時は2003年頃のオフィス賃料底値から都心部のオフィス賃料が右肩上がりで上昇しており、既存の契約賃料とマーケットの新規賃料との間に乖離が生じていたのが原因です。


【継続賃料は新規賃料とは違うのです】

私のところにもよく賃料増額請求のエビデンスとしての賃料に関する鑑定評価書の依頼がありました。


しかし、時にファンド側が想定している賃料水準が「継続賃料」ではなく、「新規のマーケット賃料」であったことから、殆ど断ったことを思い出します。


「継続賃料」は過去の経緯を引きずったものであり、「新規賃料」とは考え方が違います。


鑑定での評価手法も当然違っています。


例えば現在の賃料が坪15,000円だったとして、新規のマーケット賃料が25,000円だったとした場合、継続賃料の評価をしても25,000円にはなり得ません。


せいぜい間を取った水準でしょう。


実際上、賃料改定は非常にもめることが多く、それをリスクと感じた貸主が定期借家+契約期間中賃料改定不可というような契約内容にシフトしていったふしがあります(それとて万全かどうかは別として)。


しかし今は賃料の安い時期、高い時期、下がった時期それぞれの契約(または更新)が錯綜しているので、なかなか継続賃料の交渉も大変ですね。一筋縄ではいきません。


報道によると、丸の内トラストタワーN館の賃料改定をめぐって、森トラスト(貸主)が住友林業(テナント)を訴えた裁判で和解が成立し、住友林業が賃料増額の差額と金利に消費税を加えた4億8400万円を森トラストに支払うことになったとのことです。

2004年に約33,000円でスタート。2007年に貸主が5.5万に改定要求、2008年11月の訴訟定期時点では45,600円。

結局和解は40,800円のようです。


まあこんなものかなあと。

継続賃料は難しいですよ。


ペタしてね